子宮体がんの初期症状
子宮は子宮の入り口に位置する子宮頸部と、胎児が育つ場所である子宮体部に分けられます。
子宮体がんは子宮体部に起こるがんのことで、子宮内膜の組織で発生することから、子宮内膜がんとも呼ばれています。
子宮体がんに多く見られる自覚症状は不正性器出血です。子宮体がんと診断された人の約90%に不正性器出血の症状があり、褐色やピンク、黄色っぽいおりものが出ることもあります。
子宮体がんはどのような人がなりやすい?
子宮体がんは40代後半から60代くらいまでの世代がかかりやすい病気です。
子宮体がんの発生には、卵胞ホルモン(エストロゲン)が深く関係しています。子宮内膜や卵胞の発育のためにホルモン補充療法を受けることや、卵胞ホルモンが過剰分泌されることによって起こる子宮内膜増殖症の影響で子宮体がんが起こりやすくなります。
また、生理不順や排卵異常がある場合や、妊娠や出産の経験がないということも子宮体がんになりやすい要因であるとされています。
妊娠・出産・子育てアプリの「ママリ」では以下のような声がありました。
不正出血が続いていて不安…
色は茶色です。
たまに生理と生理の間に不正出血があったんですがいつもは2,3日で終わるのでこんな長いのは初めてでものすごく不安です…
ネットで調べれば調べるほど不安になってきて見ないようにしてますが、出血が止まる気配もなく、きっと病気なんだと考えると涙がとまりません…
気になって気になって仕方ないので近々病院に行こうとおもってます…
子宮頸がんや子宮体がんのどちらかだとおもってます。
頭のなかはそればっかりで怖くて怖くて何も手につきません…
もしがんだとしたら家族に何て言えば…泣
おなじような経験された方いますか?
だらだらと続く不正性器出血に悩む方もいるようです。子宮体がんの典型的な症状は不正性器出血で、病状が進行していない初期の段階で不正性器出血がみられることがあります。
子宮体がんは、不正性器出血による発見が約90%にのぼるため、少量であっても生理の時期以外に出血がみられる場合は早めに検査を受けてみるとよいでしょう。
生理後にピンク色のおりものが…
生理が7日間で終わり、終わったと思えば8,9日目におりものがピンクになることが何ヶ月か続いています。
それもひいた頃に産婦人科を受診していますが、生理直後の子宮内膜がちゃんと薄くなっていることから、今すぐ体がん検査は必要ないということでしていません。
子宮体がんだと、その前兆として必ず子宮内膜が厚くなるのでしょうか?
また、生理直後に同じような不正出血ある方はいらっしゃいますか?
ちなみに子宮頸がんは異常なし、卵巣の腫れもなし、子宮の大きさも普通、びらんはありです。
9月から基礎体温つけ始めました。9,10月はいい感じで2層なことから、医師も排卵しているようだし、ということでした。
おりものに血が混じってピンク色や茶褐色っぽいおりものが出るという経験がある方もいるでしょう。がん細胞はもろく、出血しやすい特徴があるため、赤色の不正性器出血だけでなく、ピンク色や茶褐色のおりものにも注意が必要です。
ピンク色や茶褐色のおりものを含む不正性器出血が続く場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
- 岡井崇(編)他「標準産科婦人科学」P131(医学書院,2014年)
- 和歌山県立医科大学 産科婦人科学教室「婦人科【子宮体がん】」(https://www.wakayama-med.ac.jp/med/sanfujinka/contents/fujinka/taigan.php,2019年4月15日最終閲覧)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「子宮がん検診の勧め」(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/uterine_cancer.html,2019年4月15日最終閲覧)
- 日本婦人科腫瘍学会「子宮体がん」(https://jsgo.or.jp/public/taigan.html,2019年4月15日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「子宮体がん」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=11,2019年4月15日最終閲覧)
- 鹿児島県民総合保健センター「子宮頸がん検診」(http://www.kpchc.or.jp/kenshin/shudan_kenshin/cervical_cancer/,2019年4月15日最終閲覧)
子宮体がんの検査
子宮体がんの検査は、細い棒状の器具を直接子宮内膜に挿入して細胞を採取する子宮内膜細胞診が一般的な検査です。細胞診で疑わしい部分があった場合は、子宮内膜の組織を採取する組織診が行われます。
ただし、出産の経験がない方は子宮口が狭く検査器具をうまく挿入できないことがあるため、あらかじめ子宮口を広げる処置をしたり、麻酔をかけて検査したりすることもあります。
また、子宮体がんになると子宮内膜に厚みが見られるようになるため、超音波検査で子宮内膜の厚さを測ることでがんのリスクの高さはある程度確認できます。ただし、必ずしも子宮体がんのときに子宮内膜が厚くなるとは限らないため、超音波検査では初期の子宮体がんを発見できない可能性もあります。
検査時の痛みはある?
子宮体がんの検査は、子宮の入り口付近に位置する子宮頸部とは異なり、子宮の奥の方にある子宮体部から細胞や組織を採取します。
出産経験のない方や高齢の方は、子宮口が狭くなっていたり閉じてしまっていたりするため検査器具がうまく体内に入らず痛みを感じることがあります。
妊娠・出産・子育てアプリの「ママリ」でも、子宮体がんの検査について以下のような声がありました。
子宮体がん検査後に痛みが出たり出血したりする?
これは普通ですか?子宮体がん検診は子宮削る検診ですか?子宮傷つけることになったらと思うと後悔し始めました。
子宮体がんの検査は痛みを感じるのでは?という不安を持つ方が多くいるようです。子宮体がんの検査は、検査時間は数分と短いものの、子宮頸がんの検査と違って痛みや出血伴うことがあります。また、個人差はありますが、出血は検査後数日間にわたって続く場合もあります。
子宮体がんの検査は生理中でもできる?
子宮体がん検査を一応受けましょうと言われ、2週間後に来てくださいと言われました。
本日その2週間後なのですが、生理になってしまいました。
生理中でも子宮体がん検査をした方いますか?
血がかなり出ている状態で検査はなんとなく嫌です😭
子宮体がんの検査日程を決めたにも関わらず、検査予定日に生理になってしまったということもあるでしょう。生理中に検査を受けられるのかどうか気になりますよね。
生理中は子宮内膜の細胞が採取しにくく感染の原因になるため、検査はできるだけ出血がないときの方がベターです。ただし、完全に出血しない時期がない場合、止血を待っていては病気を見逃してしまう可能性も否定できないため、医師の判断で出血中でも検査を行うことがほとんどです。
- 砂川市立病院「検診・人間ドック」(http://www.med.sunagawa.hokkaido.jp/dock/details/post-28.html,2019年4月15日最終閲覧)
- 佐世保中央病院「よくある質問」(https://www.hakujyujikai.or.jp/chuo/health/question/index.html#q14,2019年4月15日最終閲覧)
- 横須賀共済病院「子宮がん検診/各種健診のご案内」(https://www.ykh.gr.jp/patients/doc/doc_04/exam07,2019年4月15日最終閲覧)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「子宮体がん(子宮内膜がん)」(https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/diagnosis.html,2019年4月15日最終閲覧)
子宮体がんの治療
子宮体がんは、病変が子宮にとどまっている状態の初期の段階であれば手術だけで治すことも期待できます。
子宮体がんの主な治療方法は、病巣部を切除する手術(外科治療)です。基本的には子宮、卵管を摘出する手術が行われますが、症状が進行した際にがんの転移が考えられるリンパ節も取り除くことがあります。
子宮体がんの前段階ともいえる子宮内膜異型増殖症や初期の子宮体がんの一部に対しては、子宮温存が可能なホルモン療法が行われることがあります。
ただし、限られた初期の子宮体がんのみに適した治療方法であることや、治療時に副作用が起こる可能性があることから、主治医と相談した上で治療方法を選ぶようにしましょう。
また、患者自身の体の状態やがんの広がりに応じて、放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法などいくつかの治療方法を組み合わせる集学的治療が行われます。
- 九州大学病院がんセンター「子宮がん」(https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/uterine_cancer/index3,2019年4月15日最終閲覧)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「子宮体がん(子宮内膜がん)」(https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/treatment_option.html,2019年4月15日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「子宮体がん」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=11,2019年4月15日最終閲覧)
- 日本婦人科腫瘍学会「子宮体がん」(https://jsgo.or.jp/public/taigan.html,2019年4月15日最終閲覧)
不正出血など気になる症状がある場合は検査を受けましょう
子宮体がんは早期発見、早期治療を行うことで治すことができる病気です。主な症状は不正性器出血ですので、生理の時期ではないのに出血がある、生理が終わった後もおりものに血が混じるなど自覚症状がある場合は一度検査を受けてみましょう。
検査を受けて子宮体がんと診断された場合は、病気の進行状況によって治療方法が異なるため、主治医と相談をしながら進めていけるとよいですね。