©NHK
NHK『すくすく子育て』とは?
毎週土曜日午後9時(再放送は翌土曜日午後0時)から、NHKEテレで放送中の『すくすく子育て』。育児奮闘中のパパやママの不安や質問をテーマにした、育児応援番組です。
小坂大魔王さんと鈴木あきえさん司会のもと、全国のパパ・ママの疑問や質問に対してそれぞれの専門家が答えてくれます。実際のアドバイスによってどう変化していくのかまで検証するので、見ごたえあり。
母乳育児から習いごと、感染症予防など幅広いテーマを取り扱っています。育児をしていく上で知りたいこと、知っておくと便利なこと満載の番組です。
今回は番組で紹介された、子供の接し方についての内容をご紹介します。
どう子供に声をかければよいの?
大人同士の会話と同じようにいかない子供への声かけ。反応がないこともあるので、この声かけであっているのかと不安になることもありますね。
1歳の女の子をもつママから、以下のような声かけについての質問がありました。
私は子どもへの声かけが苦手です。マイペースな性格で、子どものテンションに合わせて「わ~すごいね!」と言ったりできません。どう声をかけたら子どもが楽しいのかわからず、気の利いた言葉があまり出てきません。そのため、娘と2人で過ごすときは、どうしても静かな時間が長くなってしまいます。子育て支援センターに出かけると、声かけが上手なママを見かけます。擬音を使ったり、褒めてあげたり。そんなママたちと比べると、私はできていないなと悩んでしまいます。 ※1
1歳くらいの年齢だと、一方通行になることもある子供への声かけ。子供を喜ばせてあげたい気持ちはあっても、どの言葉や言い方をすればよいのか悩むところです。
この質問に対し、専門家はどのようなアドバイスをくれるのでしょうか。
パパに話しかけるような自然な声かけでいい
回答:岩佐寛子さん
ママのように「子どもにどう話していいのかわからない」と悩んでいる方から相談を受けることはよくあります。そんなときは「パパに話しかけるような、自然な声かけでいいですよ」と答えています。パパに「おはよう」「今日はいい天気だよ」と声をかけるような気持ちで、子どもにも話してあげればよいのです。ママから自然と出てくる言葉で、優しく見守ってあげてください。 ※2
ママたちをサポートしている助産師である、岩佐 寛子さんの回答です。
「母として言葉を選ばないと」と思うと、どう声かけをすればよいのか悩んでしまいますね。しかし、パパに話しかけるように自然に、と言われるとそんなに難しいことではないのではないでしょうか。
こうしなければと気負わずに子供を大切に、いとおしく思っている気持ちをそのまま口にすればよいのかもしれませんね。
親子の気持ちが通じ合うことが大事
回答:汐見稔幸さん
ママ・パパと赤ちゃんの気持ちが通じ合うことが大事だと思います。子どもがよい気持ちでいるとママも気持ちがいい。その感情は、どこかで通じ合っているものです。言葉がなかったとしても、子どもの目をしっかり見てあげたり、子どもに合わせて手足を動かしたりすることで、十分通じ合えるのです。親子の気持ちが通じ合うことで、子どもの心の大事な部分がきちんと育っていきます。
その上で、声をかけることは、気持ちを伝えやすくしたり、言葉を学ぶためのひとつの練習だと考えてみましょう。例えば、食事のときに「はい、ご飯だよ。おいしいね」と言っていると、「これは『ご飯』なんだ『おいしい』なんだ」と、学んでいくこともあります。無理に声をかける必要はなく、自然に出てくる言葉でよいのです。単語のように短い声かけでも十分です。 ※3
教育学、教育人間学、育児学の専門家、東京大学名誉教授の汐見 稔幸さんはこのように回答されました。
言葉がでない場合には行動で示し、気持ちを通じ合わせるというアドバイス。それだけで心の大事な部分が育っていくという言葉は、育児に奮闘しているママたちにしみる言葉なのではないでしょうか。
ただママの感じたこと、伝えたいことを言葉にするだけでよいのかもしれませんね。
子供の1人遊び。親子2人で遊んだ方がいいの?
成長にともない起きている時間がだんだん長くなっていき、動きも大きくなってくるとよく遊ぶようになってきますね。気がつくと1人遊びをしていることも。
でも、1人遊びをしているとき親の対応はどうするのが正しいのか気になるところです。10ヶ月の子供を持つママからも、次のような質問がありました。
子どもが10か月になり、1人遊びが増えてきたのですが、一緒に遊んであげた方がよいのか迷っています。1人で遊ぶより、親子2人で遊んだ方が、子どもがより多くのことに気づけるのではないかと思っています。でも、1人遊びで得られるものもあるのではないかと気になっています。 ※4
1人遊びをしている姿を見ているのもいとおしいし、ママも家事をする時間が必要。1人遊びしていてほしい気持ちはあるけれど、一緒に遊んであげたほうがよいのか葛藤もありますよね。
果たしてどう対応するのがよいのでしょうか?専門家からの回答をみてみましょう。
1人遊びは探求心の芽生え
回答:岩佐寛子さん
1人遊びは子どもの探求心の芽生えです。いろいろなことに関心を持って「これは何だろう」「どうなっているんだろう」と「探求」しているのです。とても大事なことなので、見守ってあげましょう。
子どもが遊んでいるうちに何かがあれば、声を出したり泣いたりして、必ず助けを求めてきます。そのときに、「どうしたの?」と反応してあげると、子どもは「困ったときは、ちゃんと応えてくれる」と感じて、安心の土台となっていきます。安心の土台があれば、子どもはさらなる「探求」へと進んでいくことができると思います。 ※5
1人遊びによって探求心が身についていくと岩佐さんは回答しています。1人遊びから学ぶこともあるので貴重な時間とも言えますね。
ただし、常に見守り、子供が助けを求めてきたときにはすぐに声をかけるなどの対応をしなければなりません。ママはいつも見ていてくれると安心感を得ることで、より愛情のつながりも深くなるのではないでしょうか。
親子の2人遊びは、子供の1人遊びのお手伝い
回答:汐見稔幸さん
子どもの「遊ぶ力」は、基本的には「1人で遊ぶ」方向に発展していきます。1人で遊べるようになったことは、大きな進歩なのです。
子どもが小さいころは、おもちゃの使い方を教えてあげるなど、大人が手伝ってあげることもあります。このとき、大人は2人で遊んでいると思っていても、実は子どもは1人で遊んでいる感覚なのです。大人が子どもの1人遊びを手伝っていることになります。その後、子どもが自分でできるようになると、いろいろなことを試しながら一生懸命に遊びます。そうなると、他者は入ってこないのです。 ※6
子供は基本的には「1人で遊ぶ」方向に遊ぶ力が育っていくと汐見さんは回答しています。子供と2人で遊んでいると思っていたのが、子供にとっては1人で遊んでいる感覚だったというのに目からうろこが落ちた感覚を得ました。
1人遊びをしている姿をみると「自分がかまってあげないから…」と罪悪感を抱くこともあるかもしれません。しかし、子供の成長だと喜ぶべきものなのですね。
ごっこ遊びなど、相手がいると楽しい遊びは付き合う
回答:汐見稔幸さん
子どもが2歳ぐらいになると「ごっこ遊び」をするようになります。この遊びは、1人で遊ぶより相手がいる方が楽しいので、相手をしてあげるとよいでしょう。子どもが1人遊びとは違う遊びができるようになったことを喜んでよいと思います。
今は、お子さんがようやく1人で遊べるようになってきた段階ですので、あたたかく見守ってあげましょう。 ※7
また、子供の成長とともに遊び方が変わってくると汐見さんは答えています。「ごっこ遊び」のように相手がいると楽しい遊びには付き合ってあげるとよいそうです。
筆者の子供も、2歳くらいからままごとのような遊びを始めました。「はいどうぞ」とコップやお皿を渡してくるので「ありがとう」と食べるふり。これをずっと繰り返していたことを懐かしく感じます。
赤ちゃんとの時間を大切に
まだ自分の意思が伝えられない赤ちゃんとの過ごし方は、悩みも多いことと思います。「これでよいのかな?」、「どうするのが正解?」と試行錯誤しながらの育児もまた後々よい思い出になることでしょう。
他にも「すくすく子育て」ではいろいろな悩みや質問に答えてくれます。気分転換にもなるので、まだ見たことのないママは一度ご覧になってみてくださいね。
子供の成長はあっという間。子育てに悩みはつきものですが、そんな時間も楽しみましょう。
6月8日に放送予定の『すくすく子育て』では、増刊号を放送予定です。つい見逃してしまった子育てのコツはありませんか?情報をまとめて集められるよい機会にもなりそうです。番組はNHKにて21時より放送です。ぜひ、ご覧ください。