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厚労省「授乳・離乳の支援ガイド」改定。毎日の子育てにどんな影響があるの?

2019年3月、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」が改定され、その内容が公表されました。2007年に作成された「授乳・離乳の支援ガイド」。作成より12年が経過し、授乳や離乳と関わる社会環境の変化などを踏まえて改定されたものですが、果たして「授乳・離乳の支援ガイド」とはどのようなものでしょうか。今回は「授乳・離乳の支援ガイド」について、また改定のポイントなどについても具体的に紹介していきます。

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「授乳・離乳の支援ガイド」とは?

「授乳・離乳の支援ガイド」とは、妊産婦や子供に関わる保健医療従事者が基本的な事項を共有し、妊産婦に対して一貫した支援を進めるために、2007年3月厚生労働省により作成されたものです。望ましいかたちで授乳や離乳の支援を行うため、医師や助産師、保健師、管理栄養士のような医療機関や自治体などで活用されてきました。

作成から12年が経過する中で、科学的知見がより集積し、また育児環境や就業状況の変化、母子保健施策の充実等、授乳・離乳を取り巻く社会環境は変化。その変化を背景に、ガイドの内容について検証、改定が行われたのです。

改定された主な4項目を紹介

文書 PIXTA

授乳・離乳を取り巻く事情も、時代を追うごとに変化していきます。現代における社会環境や最新の科学的根拠を踏まえた形で行われた今回の改定。

授乳・離乳に関わる支援や情報提供のあり方などについて、主に4つのポイントが挙げられています。それぞれの項目について内容を見ていきましょう。

1.授乳・離乳の適切な支援の充実

授乳 PIXTA

近年では少子高齢化や核家族化などが進み、妊産婦を取り巻く社会環境もどんどん変化してきています。一方、あらゆる分野での研究は日進月歩。授乳や離乳に関するものも同様であり、今回の改定でも専門分野から集約される知見に基づいて支援内容の充実がはかられました。

支援ガイドでは、母親が自信をもって授乳・離乳をできるよう一人一人の状況に応じた支援を行い、また、たとえば低出生体重児など個別の配慮が必要な子供への、きめ細かな支援が重要であるとされています。

子供のアレルギー疾患予防に関しては、母親の食事が影響するものではなく、また母乳が小児期のアレルギー疾患発症に対する予防効果はないとの見解を表記。

その一方で、母乳育児の利点などについても明記されています。さらに、平成30年より販売が開始された「液体ミルク」についても、コラムという形で特徴や使用上の留意点など情報が記載されています。

2.授乳リズムを確立する支援の充実

授乳 amana images

「授乳・離乳の支援ガイド」では「母子にとって母乳は基本であり、母乳で育てたいと思っている人が無理せず自然に実現できるよう、妊娠中から支援を行う」ことを基本的な考えとしています。

そのうえで個別の事情に応じて「育児用ミルクを選択する母親に対しては、十分な情報提供の上、その決定を尊重するとともに、母親の心の状態に十分に配慮した支援を行う」とも記載されています。

授乳期の母親と子供の状態を把握するとともに、母親の気持ちや感情を受けとめ、あせらず授乳のリズムを確立できるよう支援。また授乳は母子間のスキンシップの上で重要な役割を果たすものとして、栄養方法のいかんに関わらず、授乳を通した健やかな親子関係づくりが進むように支援することも明記。

母乳、育児用ミルク、混合栄養それそれの場合における支援のポイントについて記載されています。

3.食物アレルギー支援の充実

離乳食 PIXTA

食物アレルギーに関して、従来のガイドでは参考として記載されていたものが、今回の改定版より新たな項目として記載されることとなっています。

小児期のアレルギー疾患については、母乳による予防効果はなく、子供のアレルギー疾患予防のために母親が特定の食品を極端に避けたり、過剰に摂取したりする必要はないことを明記。牛乳アレルギー治療用の加水分解乳の予防効果についても、同様に効果がないとする報告が多い旨が記載されています。

また、近年食物アレルギーを持つ子供の増加や科学的知見などを踏まえたうえで、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせる必要がないという開示や、子供の食物アレルギーが疑われるような場合には必ず医師の診断に基づいて対応することなど、支援の在り方が定められています。

4.妊娠期からの授乳・離乳等に関する情報のあり方

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今回の「授乳・離乳の支援ガイド」では、妊娠期から授乳、離乳期のそれぞれの時期に対し、母乳育児であるか育児用ミルクをもちいるかなど、個別の事情に応じた支援のポイントも記載されています。

妊婦健康診査や両親学級、3~4ヶ月健康診査といった母子保健事業などを通じて、必要な支援、指導が行えるように。授乳方法や離乳開始時期などに応じて提供すべき情報、支援内容などが表の形で示されており、よりわかりやすい記載形式をとの配慮がうかがえます。

出典元:

改定により、より充実した支援を期待

育児 PIXTA

育児の悩みというのはいろいろとありますが、なかでも授乳や離乳食に関することは、多くのママが悩みや不安を持った経験があるのではないでしょうか。インターネットなどの環境が発展し、さまざまな情報が簡単に手に入るようになった現代。便利になった一方で、多すぎる情報に惑わされてよけいに不安になってしまったり、誤った情報をうのみにしてトラブルになったりするようなこともあります。

妊娠、出産や育児に関わる専門家が正しい情報をきちんと伝え、育児に対する支援が滞りなく行われるための指針として作成された「授乳・離乳の支援ガイド」。改定の前後では情報が異なるようなこともあり、育児中のママには戸惑う場面もあるかもしれませんが、今回の改定を期に、育児支援がより一層充実したものになっていくことを期待します。

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本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

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