漢方薬の種類
「漢方」とひとくくりに言っても、タイプはさまざまです。種類によって長所・短所が異なります。
煎じ薬
生薬を煮出して、その汁を飲むのが煎じ薬です。生薬は漢方薬の原料のことで、草や木など天然由来の医薬品の総称を指します。
煎じ薬のメリットは、成分の分量を柔軟に変えられること。ただし、生薬を自分で煎じる必要があるので手間はかかります。煎じ薬は、漢方薬局や漢方クリニックで購入可能です。
エキス剤
エキス剤は生薬を煎じたものを顆粒(かりゅう)・粉末状にしたもので、薬局やドラッグストアで購入できる漢方のほとんどはエキス剤に分類されます。
エキス剤のメリットは1回分ずつパックされているので服用しやすいということ、そして煎じ薬と異なり生薬を煎じる必要がないため、一定の品質が担保されていることが挙げられます。
錠剤
錠剤は「エキス剤」や「粉末」同様、生薬を煎じた液を濃縮や乾燥させ、錠剤の形状にしたものです。病院などでも処方してもらえますが、ネットや薬局などでも購入できます。
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p126〜127、p132~133(主婦と生活社,2016)
漢方薬を飲むタイミング
漢方薬は、成分が吸収されやすいように、基本的に食前や食間などの空腹時に服用する方が効果的と言われています。
ただし、食前・食間はついつい飲み忘れてしまうことの多い時間なので、その場合は食後の服用でも問題ありません。また、食前・食間に漢方を服用して調子が悪くなってしまう場合も、食後に服用するのがおすすめです。
- 田中良子(監)「薬効別服薬指導マニュアル 第8版」p965(じほう,2015)
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p128(主婦と生活社,2016)
漢方が苦くて飲めないときに試したい飲み方
漢方薬は基本的に水・白湯(さゆ)で飲む必要があります。なぜかというと、ジュースや牛乳、お茶で服用すると薬の吸収に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
しかし、「漢方薬は苦くて飲めない…」という方もいらっしゃると思います。どうしても漢方を飲めない場合は、以下の方法を試してみてください。
オブラートに包む
まず試したいのは、オブラートを使って服用する方法です。オブラートとは、体内で溶ける薬の包み紙のこと。漢方をオブラートに包むことにより、漢方特有の苦味を感じにくくすることができます。
オブラートは薬局やドラッグストアで購入できるので、漢方の味がどうしても苦手な場合はぜひ検討してみてください。
服薬ゼリーに混ぜる
服薬ゼリーはオブラートの一種で、名前の通りオブラートをゼリー状にしたものです。包み紙タイプのオブラートと異なり、いちごやチョコレートなどの味がついている商品が多いことが特徴です。
服薬ゼリーも薬局やドラッグストアで購入することができます。
錠剤・丸剤タイプの漢方に切り替える
顆粒(かりゅう)状・粉状の漢方が苦手な場合は、錠剤・丸剤タイプの漢方に切り替えるという方法もおすすめです。錠剤や丸剤は、顆粒(かりゅう)状・粉状の漢方に比べると苦味を感じにくいです。
ただし、漢方によっては錠剤・丸剤タイプのものが販売されていない場合もあります。
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p129〜131(主婦と生活社,2016)
- ツムラ「漢方薬を飲みやすくする工夫(オブラートに包んで服用する方法)」(https://www.tsumura.co.jp/qa/kampo/fukuyaku/2.html,2020年10月21日最終閲覧)
- 龍角散「ゼリー状のオブラート」(https://www.ryukakusan.co.jp/promotion,2020年10月21日最終閲覧)
服用の相談は医師や薬剤師へ
苦い漢方薬との付き合いはなかなか難しいですが、少しの工夫で飲みやすくすることができます。
漢方によって味は異なるので、どうしても継続して服用することが難しい場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。
執筆:薬剤師 加藤智之
北里大学薬学部を卒業後、大手ドラッグストアに就職。市販薬や健康食品・サプリメントの相談販売、処方薬の調剤業務に従事。その後、不妊専門クリニックの門前薬局にて、多くの不妊患者へ服薬指導を行った。現在はオンライン薬局YOJOにて、一人ひとりの体質に合わせた漢方薬の提案やサービス開発に従事している。
監修:医師 辻裕介
順天堂大学医学部卒業。ヘルスケア・フィットネスアプリのFiNCで事業開発。順天堂医院にて臨床と研究に従事した後、2018年12月にオンライン薬局「YOJO」を展開する株式会社YOJO Technologies設立。