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虐待としつけの違いを見極める、3つの境界線
「どこから虐待で、どこまでがしつけか」。その答えについて、実はよくわかっていない自覚のある親も少なくないかもしれません。子どもを強く叱った後に、児童虐待防止を訴えるテレビCMを見て「私は大丈夫かな」と不安になったことがある方もいるでしょう。
ここからは、自治体などが発行した資料などをもとに、虐待としつけの違いについてまとめます。これから子どもを傷つけずに関わるために、心にとめておいてくださいね。
1. 子どもの安全や健康は守られているか
たとえば「子どもが道路に飛び出しそうになった」という状況で、子どもの腕を強く引いて叱りつけたとしても、それは虐待ではありません。子どもの安全や健康を守るための行為はしつけで、叱った結果として子どもが大泣きをしたとしても「飛び出してはいけない」が伝わることが最も大切と考えましょう。
一方「言うことを聞かない」などの理由で子どもの食事を抜いたり、冷たい水をかけたりして脅すような行為は虐待です。子どもの安全や健康を損なうような行動は絶対にいけません。
叱り方に悩んだら「わが子は安全で健康的な状態を保たれているか」を見直してくださいね。
2. 子どもが自分の気持ちを言える状況か
叱っている途中、子どもがおびえて何も言えない状態になっていないかも一つの境界線です。しつけとは、子どもに対して良いこと、いけないことを伝えるもので、親の言うとおりにするようにコントロールするものではありません。
おびえさせて言いなりにさせるのは、虐待に近い状態。叱っている最中も、子どもは言いたいことを言える状態かを、親が見直せるのが理想です。
不安になったら、静かなトーンで「どう思う?」と問いかけてみるのも良いでしょう。
3. 親が感情を爆発させていないか
親が感情をコントロールできず、単に爆発させている状況でないか見直しましょう。ついイライラがつのり、大声で脅したり、力で押さえつけたりしていませんか。こうした行為は子どもを怖がらせ、親も自己嫌悪から余計に気分が滅入ってしまうことがあります。
気持ちが高ぶる渦中にいるときは冷静になれなくても、後で「感情が爆発していなかったか」を振り返ってみましょう。もし「感情的だった」と気づいたら、後からでも子どもに謝りましょう。
何度もコントロールできなくなるときは、人に相談したり自分のストレスの原因に対処したりと、親側のケアも考えてみてくださいね。
- かすみがうら市 保健福祉部「躾(しつけ)と虐待の境界線」(https://www.city.kasumigaura.lg.jp/page/page001535.html,2021年6月3日最終閲覧)
- 大阪府「児童虐待としつけの違い」(https://www.city.yao.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000024/24178/h2411.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 東京慈恵会医科大学 看護学科 細坂泰子「しつけと虐待の境界は どのようなものなのだろう」(https://www.jans.or.jp/uploads/files/committee/tamate201904-02-2.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 千葉県庁「児童虐待防止啓発パネルの作成・貸出について」(https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/gyakutai/jidou/panel.html,2021年6月3日最終閲覧)
- 奈良県「奈良県「どこまでが『しつけ』で、どこからが『虐待』??」」(http://www.pref.nara.jp/45177.htm,2021年6月3日最終閲覧)
向き合い方は、時々見直して
虐待としつけは全く違うものですが、子どもと日々関わるうちに境界線があいまいになったように感じたり、自分の子どもとの向き合い方に自信がなくなったりすることがあるかもしれません。
そんなときは、今回ご紹介した3つの境界線を思い出して、子どもとの向き合い方を時々見直してみましょう。直すべき部分は直し、できていることは続けていけば「虐待をしているかも」という不安を抱えずに子育てができるはず。
子育ては優しく接するだけでは成り立たないからこそ、親自身が行動を見直す気持ちを持っていたいものですね。