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監修:清水なほみ

妊婦健診の超音波検査でわかる障害や病気はどんなものがある?

妊娠すると、母体や胎児の健康状態を定期的に確認するために妊婦健康診査(妊婦健診)が始まります。妊婦健診では、腹囲や血圧、体重などの計測のほかに超音波検査も行いますが、超音波検査にはどんな役割があるのか、どんな障害や病気の可能性がわかるのか、意外と知られていないのではないでしょうか。この記事では超音波検査でわかる障害や病気の可能性について紹介していきますので、これから妊婦健診を受ける方は参考にしてください。

PIXTA

超音波検査の二つの役割

妊婦健診で行われている 超音波検査には二つの役割があります。

一つは胎児の発育や胎盤の状態を確認する基本的な検査で、全妊婦が対象となりますが、もう一つは出生前診断の一つとして、赤ちゃんに先天性の異常があるか確認するものになります。出生前診断としての検査は任意となり、「胎児に異常があるなら知りたい」と思う親の希望によって行われるものです。

妊婦健診の基本的な検査で異常が偶然見つかることもありますが、医療機関によっては出生前診断は初期スクリーニング検査や胎児ドックなどの名前で通常の検査とは別枠にしていることもありますし、積極的には検査を行っていない病院もあります。

妊婦健診以外で超音波検査を希望する場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。

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超音波検査で見つかる先天性異常の特徴

超音波 PIXTA

超音波検査では、まれに胎児の先天性異常が見つかることもあります。

ただ、超音波検査でわかるのはあくまでも可能性で、確定的な診断ではないので、検査で先天性異常の特徴が見つかった場合でも、健常な子どもが生まれることもあります。

ここでは超音波検査で見つかる先天性異常の特徴例をお伝えしますので、見つかった際には精密検査を受けるための判断材料として受け止めるようにしてください。

NT(首や頭の後ろの厚み)

  • 見つかりやすい時期:妊娠初期~中期
  • 可能性がある病気・障害:ダウン症(21トリソミー)を含む染色体異常、心疾患など

妊娠初期の胎児ドックでは、NTと呼ばれる赤ちゃんの首や頭の後ろにある、超音波で黒く見える部分の厚みを確認することができます。

ダウン症(21トリソミー)を含む染色体異常や心疾患があると、NTが通常より厚い場合が多いとされています。

ただ、NTは生理的に厚くなることもあるため、妊娠初期に厚さがあっても中期にかけて薄くなるケースもあります。また、NTの厚さは病気ではなく、障害や疾患を診断できるものではないので、可能性を詳しく知るにはより精密な検査が必要です。

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鼻骨の欠損

  • 見つかりやすい時期:妊娠初期~中期
  • 可能性がある病気・障害:ダウン症(21トリソミー)を含む染色体異常、心疾患など

出生前診断や胎児ドックの超音波検査で、鼻骨がない、あるいは欠損しているなどが認められた場合、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーの可能性が疑われることがあります。

ただし、鼻骨が欠損していても染色体に異常がない子どもが生まれるケースも多く、鼻骨の欠損があるからと言って、すべてが染色体異常を表すわけではありません。

鼻骨の欠損があって染色体異常に不安がある場合は、精密な検査でさらに詳しく調べる必要があります。

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静脈管血流

  • 見つかりやすい時期:妊娠初期~
  • 可能性がある病気・障害:ダウン症(21トリソミー)を含む染色体異常、心疾患

出生前診断や胎児ドックの超音波検査では、へその緒から心臓までの血液の流れを計測することができます。

血液の流れに逆流が見られる場合、通常と比べて染色体異常の可能性が高まるとされています。

ただ、確定的な診断ではなくあくまで可能性を測るものであり、逆流が見られる場合でも問題のないこともあります。

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形態異常

  • 見つかりやすい時期:初期~中期以降(異常の種類によって異なる)
  • 可能性がある病気・障害:(初期~)無頭蓋症など(中期~)口唇口蓋裂、心奇形など

超音波検査では、 妊娠初期の胎児に頭蓋骨の欠損(無頭蓋症)など大きな形態異常があれば、その特徴を見つけることができますが、細かな異常まで見つけるのは難しくなります。

妊娠中期(妊娠18週ごろ~)以降になると、比較的細かい部分まで観察できるようになり、口唇裂や心奇形、軟骨無形成症、消化管閉鎖、横隔膜ヘルニア、消化管脱出などが見つかることもあります。

超音波検査によって生まれる前に形態異常を知ることができれば、産後にすぐ治療できたり後遺症を防いだりできる可能性が高まります。

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超音波検査で見つからないものもある

超音波 PIXTA

超音波検査では、胎児の状態を詳しく調べることができますが、見つけられない先天的な異常もたくさんあるのが現状です。

その代表的な疾患には以下のようなものがあります。

  • 皮膚の病気
  • 内臓の機能的な障害(心疾患を除く)
  • 知的障害・視覚や聴覚の障害
  • 染色体や遺伝子の異常の確定診断

上記のことから、超音波検査で判明する異常や疾患は、あくまで目に見える範囲のことだけということがわかります。

特に、染色体異常については可能性の高さを測ることはできても確定診断はできないので、超音波検査で異常が見つかった際には、より詳しく可能性を知るために別の検査を受けるか検討することになるでしょう。

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詳しい検査を受けるか否かはじっくり検討を

検査 PIXTA

超音波検査によって胎児の状態を確認することができますが、判明する疾患は先天性異常のほんの一部であり、超音波に映らない部分や機能面は確認することができません。

特に染色体異常については、超音波検査で確実に診断することは不可能ですし、精密な検査を受けてもわからない異常もあります。

生まれる前に異常がわかれば、産後に早く治療できるなどのメリットはありますが、「異常があるかもしれない」と知ることで不安が募ったり、生まれるまで悩み続けたりすることになるかもしれません。検査結果だけで一喜一憂せず、夫婦や家族で「どのくらい知るか」を話し合うことも大切になるでしょう。

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記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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