就学時健康診断(就学前健診)とは
まず「就学前健診」とは、小学校入学5~6か月前に実施される健康診断のこと。正式には「就学時健康診断」と呼ばれます。「学校保健安全法」により、毎年11月30日までに行うことが各市町村教育委員会に義務付けられているので必ず実施される健診です。
東京都世田谷区のホ-ムページには、就学前健診について以下のように記載されています。
就学時健康診断は、学校保健安全法に基づいて内科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科等について行い、疾病等が見つかった場合は、あらかじめ必要な治療を勧め、学校での集団生活に備えることを主な目的としています。また、就学にあたって心配なことや、障害のあるお子さまの就学についての相談窓口などをご案内しております。 ※1
身体的な健康状態だけでなく、心配ごとの相談もできる場なのですね。
就学前健診を実施する目的
それでは、就学前健診とはどのような目的で実施されるのでしょうか。目的は主に次の三つです。
- 治療を勧めたり必要なアドバイスをしたりするため
- 就学義務の猶予や免除を行うため
- 特別支援学校への就学などのため
子どもの心身の状態をチェックし、必要な治療を勧めたり、保健上で必要なアドバイスをしたりするために行われます。
また、検査の結果によっては就学義務の猶予や免除などの措置、特別支援学級への就学を推奨されることも。就学前健診の目的とは、子どもの健康や発達の状態を確認することに加え、就学先を決めることにもあります。
- 新潟市「就学時の健康診断について」(http://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/gakko/sho_chu_school/gakohoken/gakohoken/shugakuji/1syugakujikenshin.html,2022年11月14日最終閲覧)
- 小児保健研究「就学時の健康診断マニュアルの改訂について」(https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2019/007801/002/0002-0008.pdf,2022年11月14日最終閲覧)
就学前健診では何をする?
小学校入学前に必ず受ける就学前健診。どのような検査が行われるのか、事前に内容を確認しておきましょう。
- 栄養状態が正常であるか
- 視力・聴力
- 目に病気や異常がないか
- 脊柱・胸郭に病気や異常がないか
- 耳・鼻・喉・皮膚に病気がないか
- 歯・口に病気や異常がないか
- その他の病気や異常がないか
就学時健康診断で実施される体に関する検査は紹介したとおりですが、知的発達の検査としてことばの検査も行われます。ことばの検査は就学時健康診断において「耳・鼻・喉の病気」「その他の病気や異常」の中に含まれる検査。具体的な検査方法は、自分の名前を言ったり、発音が正確か確認したりする内容です。
その他の知的発達の検査として、情緒・精神発達の状態を確認するために子どもの行動を観察します。また、場合によっては面接やアレルギー面談も実施されるので、アレルギーの状態なども事前にまとめておくのがおすすめです。
- 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所「指導対象児の決定までのプロセスから見えること」(https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-167/b-167_11.pdf,2022年11月14日最終閲覧)
- 小児保健研究「就学時の健康診断マニュアルの改訂について」(https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2019/007801/002/0002-0008.pdf,2022年11月14日最終閲覧)
就学前健診の準備について
それでは、就学前の健診を受けるための準備について見ていきましょう。必要な持ち物は早めに準備し、スムーズに健診を受けられるようにしてくださいね。
就学前健診で必要な持ち物
就学前健診当日になり慌てないよう、事前に必要な持ち物を確認しておくことが大切。大津市・横浜市が実施する就学時健康診断のお知らせによると、次のような持ち物が必要と記載されています。一例として紹介します。
- 就学時健康診断通知書
- 就学時健康診断調査票
- 母子健康手帳
- 上履き
- 下履き入れ
- 筆記用具
基本となる持ち物はこのとおりですが、自治体により持ち物が異なる場合もあります。たとえば、横浜市では「就学時健康診断調査票」が同封されますが、大津市では就学時健康診断通知書の裏側に「健康チェック表」が印刷されるそうです。
細かな内容が違う可能性もあるので、各自治体からの事前案内をよく確認して準備を進めてくださいね。
- 大津市「令和3年度 就学時健康診断を実施します」(https://www.city.otsu.lg.jp/soshiki/070/2402/g/nyugaku/26006.html,2022年11月14日最終閲覧)
- 横浜市「就学時健康診断」(https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/hoken/syuken.html,2022年11月14日最終閲覧)
就学前健診当日の流れと所要時間
次に就学前健診当日の流れについて順を追って解説していきます。
- 入学予定の小学校に行く
- 受付をして視力検査を受ける
- 内科・耳鼻科・眼科・歯科健診を受ける
- 聴力検査を受ける
- 検査結果を受け取る
子どもが健診を受けている間、付き添いのパパママは子どもと一緒に健診のための教室を一緒に回ったり、学校によってはその時間は学校からの説明があったりさまざまです。
- 世田谷区「就学にあたっての健康診断(令和4年度)」(https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/005/002/002/d00198261.html,2022年11月14日最終閲覧)
就学前健診に関する先輩ママの体験談
就学前健診について詳しく説明してきましたが、自治体によって検査の項目や当日どのように過ごすのかは異なります。実際に健診の付き添いを経験した先輩ママの体験談をみてみましょう。
健診のときは親と子どもは別々?内容は?
また、特別支援の学級に関しては最初は誰も通級せず全て普通級に入り、1学期半ばを過ぎた辺りから個別面談を経て数人が通うようになっていました。
これらの体験談を見ても、親と一緒に健診を受ける場合もあれば別々に過ごす場合もあることがわかりますね。自治体によりさまざまな方法があるようですので、事前にいくつかのパターンを想定しておくとよさそうです。
引っ越しをする場合、どこで就学前健診を受ける?
小学校入学のタイミングで引っ越しをする方も少なくないので、該当する方は紹介する先輩ママたちの体験談から学んでくださいね。
基本的に就学前健診までに引つ越した場合は、多くの自治体で「引越し先(通学予定)」の学校で健診を受けることができます。その際、健診に必要となる「就学時健康診断票」は以前住んでいた自治体から送られたものを使用しても大丈夫です。
ただ、新型コロナ感染症の感染防止策のため、就学前健診を受ける場所は、引っ越しの時期や引越し先などにより変わる可能性もあるので、就学のタイミングと引つ越しが重なる場合は、必ず以前の居住自治体または引つ越し先の役所や入学予定の小学校に問い合わせて案内を受けてくださいね。
- 堺市「指定された小学校での受検ができない方、転居(転出)を予定されている方、国・私立の小学校へ入学される方へ」(https://www.city.sakai.lg.jp/smph/kosodate/kyoiku/tetsuzuki/nyuennyugaku/kenkoshindan/kenkoshindanetc.html,2022年11月14日最終閲覧)
- 世田谷区「就学にあたっての健康診断(令和4年度)」(https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/005/002/002/d00198261.html,2022年11月14日最終閲覧)
事前に就学前健診の持ち物や流れを把握して
小学校入学直前に実施される行事である就学前の健診。就学時健康診断では子どもの健康状態を確認するだけでなく、ことばの検査なども行い、就学先を決めるための健診でもあるので非常に大切な存在です。
記事の内容を参考にしながら事前に準備し、当日の流れも把握しておくと当日に慌てずに済みますね。もし引っ越しをする予定があるなら、役所や入学予定の小学校への問い合わせも忘れずに行いましょう。