新愛称「育業(いくぎょう)」4割以上が「期待できない」と回答
東京都の育休新愛称発表を受け、ママリを運営するコネヒト株式会社は、新愛称「育業」に関する調査結果を公開しました。
その結果、有効回答3,899名のうち4割以上が「育休の休みのイメージが払しょくできそうか」という質問に対し「期待できない」と回答しました。
ⓒコネヒト
育休は子どもを育てる期間であって、ただ仕事を休むだけの期間ではありません。しかし「休み」というイメージを払しょくするのが難しいと考えている人が多いことが、この調査から見てとれます。
- コネヒト株式会社「【調査結果】東京都が育休の新愛称「育業」に決定、約4割が期待せず」PRTIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000019831.html,2022年6月30日最終閲覧)
- 東京都「育休の愛称が決定しました」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003193.000052467.html,2022年6月30日最終閲覧)
育休は内容がともなって初めて意味をなす
愛称変更が話題になる一方、実態として「育休」の期間は育児をする期間としての役割を果たし、家族にとって「育休があってよかった」と思える期間になっているのでしょうか。
ママリを運営するコネヒトは、2019年10月に公益財団法人 日本財団と共同で「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査」を実施。その結果、以下のような実態が浮き彫りになりました。
・育休中の1日あたりの家事・育児時間が2時間以下の男性が約3人に1人(以下グラフの通り)
ⓒコネヒト
・夫が育休を取得しない、あるいは育休を取得しても家事育児時間が短い場合、妻の「家事・育児分担の納得度」は低い
・特に、育休中の家事・育児時間が1日あたり2時間以下の場合、育休を取得しない場合よりも妻の役割分担納得度が下がる
育児のための期間として育休を取得するつもりが、思うように家事や育児の負担を家族で分け合うことができていない場合があるようです。
このような経験のある方や話を聞いたことがある方にとっては「育休」が「育業」に愛称変更されただけでイメージが変わるとは思えないのかもしれません。
- 日本財団,コネヒト株式会社「パパ・ママの育児への向き合い方と 負担感や孤立感についての調査」(https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/11/new_inf_20191202_07.pdf,2022年6月29日最終閲覧)
満足する育休につながる7つの法則
同調査内で夫(パートナー)の育休について満足と答えた人に「夫(パートナー)の育休に満足した理由」、不満と答えた人に「どうすれば夫(パートナー)の育休の満足度は上がったか」をたずねたところ、ある7つの要素が育休の満足度に深く関わっていることがわかりました。
これをコネヒトでは「満足する育休につながる7つの法則」としています。
- 量的に担当する:家事・育児の負担を分散させる
- 主体的な姿勢で取り組む:積極的で一生懸命な家事育児の実施
- 精神的に支える:精神的余裕や安心感を持たせ、孤独を防ぐ
- 休息をとらせる:母親の一人の時間、睡眠時間を確保
- 十分な期間取得する:取得期間や時期が家族にとって適切
- 必要なスキルを習得する:夫の家事育児スキルが上がる
- 家族との時間を楽しむ:一緒に過ごす時間を楽しむ
内容がともなわない育休を、コネヒトでは「とるだけ育休」と呼んでいます。育休をただ取得するだけで、家族の満足度が高まるわけではありません。育休の期間中、どう過ごすかがもっとも大切なことです。
今回の東京都の愛称発表を受け、育休の取得率だけではなく内容も見直されれば、当事者にとって育休はより良い期間になり、育休のイメージは徐々に変わっていくのではないでしょうか。
- コネヒト「夫が育休を取得した508名のママ調査から見えた「とるだけ育休」の実態と育休の「7つの法則」ー男性育休義務化の流れの中、「育休の質」に焦点ー」(https://connehito.com/news/proposal/,2022年6月30日最終閲覧)
育休の課題解決は「これから」
育休の愛称が発表され、育休の役割が改めて見直されつつあります。育児休業は「仕事を休む期間」ではなく「社会の宝である子どもを育む期間」とする東京都ですが、実際にどんな期間かを決めるのは育休を取る夫(パートナー)とその家族です。
ママリで掲載中の漫画『育休夫にモヤッとした話(ツムママさん作)』の作中では、育休を取得したにも関わらず、なかなか満足のいく期間にできなかった体験談が描かれています。
ⓒtumutumuo
ⓒtumutumuo
ⓒtumutumuo
ⓒtumutumuo
ツムママさん夫婦は同作の中で幾度も話し合いを重ね、夫とともに育休の意味や夫婦の役割を考え直すことができましたが、同様の事態になり、話し合いができないまま育休を終えてしまった夫婦も存在します。
育休に注目が集まっている今こそ、家族にとって育休とはどんな期間であるべきなのか、育休を取り巻く一人一人が考えていくことが大切であるといえそうです。
本文中の調査概要
「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査」
【調査対象者】
ママリのアプリ利用者(子どもがいるママ)3,992名から回答を収集 *有効回答3,899名
【調査時期】
2019年10月15日(火)~23日(水)
【企画・実施】
日本財団、コネヒト株式会社(「変えよう、ママリと」)
育休の新愛称「育業」に関する調査
■調査概要
調査期間:2022年6月29日〜6月30日
有効回答数:3,923件
調査方法:インターネット調査
※本調査は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100%とならない場合があります