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藍子と夫・祐樹はついに結婚式の日を迎えました。幸せを祝う友人に囲まれた楽しい式になる予定でしたが、親友・希のスピーチの内容により、悪い意味で忘れられない式になってしまうのでした…。
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挙式当日、親友の様子に違和感
結婚式当日―――抜けるような青空の下、チャペルでの挙式が行われた。家族や親せき、同僚、友人たちに祝福されて、本当に幸せな式だった。
その後、ガーデンでのフラワーシャワー。友人たちの祝福の声が飛び交う中、私は希の姿を探した。すると、友人グループの後ろの方に希を見つけた。他の子たちのように満面の笑みではなく、どこか硬い表情をしている。目が合っても、一瞬微笑むだけ。なぜかすぐに逸らされてしまった。
写真撮影もあえて端に避けているように見えたし、暇さえあればスマホをいじっていた。
「誰かから大事な連絡がきているのかも」
私は悪い方に考えないよう努めていた。
披露宴のスピーチで親友が思わぬ行動に
そして披露宴。華やかな装飾とおいしい料理で、ゲストはみんな笑顔でいるように見え、安心した。そして友人代表のスピーチの時間になった。
「新婦ご友人、遠藤希さま」
名前を呼ばれた希がマイクの前に立つ。ワクワクする瞬間のはずなのに、私はハラハラするような胸騒ぎがしていた。マイクの前に立った希は、一瞬私と祐樹を見て、話し始めた。
「藍子、祐樹さんご結婚おめでとうございます。藍子とは高校の部活動からの付き合いで…」
最初は当たり障りのない言葉だった。でも、すぐに雲行きが怪しくなる。
「藍子は昔から抜けているところがあって。高校の時なんて、好きな先輩に告白しようとして、間違えて全然違う人にラブレター渡しちゃったり…」
会場からクスクスと笑いが起こる。それは、事前に相談していた話ではなかった。顔が赤くなるのを感じる。祐樹が隣で心配そうに私を見ている。希の話はこれだけでは終わらなかった。
「あと、部活の試合で大失敗して、試合後に大声で号泣し始めたこともあったね。あの時はどうなることかと思ったよ」
祝福というよりは、まるで暴露話。ゲストも最初は笑っていたけれど、次第に微妙な空気が漂い始めた。他の友人は困惑した表情で希を見ている。
「そんな藍子ですが、真面目で優しい子です。祐樹さん、末永くよろしくお願いします」
早口で急に締めくくられた希のスピーチ。会場からの拍手はまばらだった。
「どうして…」祝いの席で暗い気持ちに
その後も、希はほとんど笑顔を見せなかった。テーブルラウンドで友人席に行った時も、グラスを片手に冷めた目をしていた。あんなに楽しみにしていた結婚式なのに、親友の態度が心に暗い影を落としていた。私の大切な日を、どうして素直に祝ってくれなかったんだろう―――。
希にスピーチのことは聞けないままでいた。すると数か月後、希からある報告の連絡がくる。
あとがき:信頼していた親友の悪意によるショックは大きい
大切な親友である藍子の結婚式のスピーチで、言いたい放題だった希。打ち合わせしていた内容を無視しての暴露は、藍子にとってショックだったことでしょう。
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嫉妬心で相手を攻撃する人との決別を描く作品
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本作では主人公・藍子と高校時代の親友・希の関係性が描かれます。高校時代は同じバレーボール部に所属し、信頼し合える親友として距離を縮めていた2人。しかし、その関係性は結婚・出産とライフステージを進めていくごとに変化していきます。
藍子は大人になっても希と昔のような付き合いができることを望んでいましたが、希は密かに藍子に対し嫉妬心をつのらせていました。藍子の暮らしに対して「自分よりも優れている」と劣等感をいだいた希は、徐々に藍子に対して意地悪な言動をするようになっていきます。
藍子は関係性を続けられるように付き合い方を工夫しますが、最後は決別を選ぶことに。大切な友人の1人を失う結果となった藍子ですが、作品内でさまざまな思いを巡らせた結果、納得して選ぶことができたようです。
藍子と希のストーリーから、大人になってからの人間関係・人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










