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藍子の娘に対し「能力低そう」と驚きのサゲ発言をした希。我慢できなくなった藍子から強い言葉でとがめられても態度を改める様子がありません。これまで希との関係性を保ちたいと思ってきた藍子ですが。ついに絶縁を言い渡します。
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「もう友達ではいられない」親友にはっきり言った
その週の土曜。リビングで祐樹が見守る中、私は深呼吸を一つしてスマホを手にした。希の番号に発信すると、数コールのあとで応答があった。
「もしもし?」
あれだけのやりとりがあったのに希の声はいやに落ち着いている気がした。
「希、急にごめん。話したいことがあって」
「なに?」
「私たち、もう友達ではいられないと思う」
きっぱりと告げると、電話の向こうの希が息を呑む気配がした。
「この間のメッセージのこと? だから、あれは別に悪気があったわけじゃなくて、正直な感想だって…」
「そういう問題じゃない」
私は希の言葉を遮った。
「正直な感想とか、友達だからとか…そういう次元の話じゃない。あなたは、私の大切な娘を、何の根拠もなく侮辱した。それは、私にとって絶対に許せない」
「……っ!」
「あなたがわが子を悪く言われて傷ついたからって、他の子をおとしめる理由にはならない。人の気持ちを考えられない人とは、私はもう付き合えない」
長い言葉を一気に話したからか、気が遠くなりそうだった。希も泣き出したのか、呼吸が荒い様子を感じる。
口喧嘩の末、親友が発狂
「なんなのよ、えらそうに説教?」
興奮する希の近くで、子どもがぐずる声がした。
「藍子はいいよね、どうせ今も祐樹さんが娘ちゃん見てくれてるんでしょ?うちはワンオペ。智史は子どもになんか興味ないんだもん」
ワンオペが大変なのはわかる。でも、私の話をそらして自分の話ばかりする希にこのときは腹が立って仕方なかった。
「今その話は関係ないでしょ?私、いまは希の愚痴なんて聞きたくない」
話に取り合わない私に、希は怒りを露わにした。
「そんな言い方ない!私は藍子の愚痴だってたくさん聞いてきた。高校の頃も、いつも私が聞き役だったじゃん!自分が幸せになったら、人の愚痴も聞いてくれなくなるわけ?」
「そういう話はしてないでしょ?あなたは私を故意に傷つけてる。結婚式のスピーチもそう。妊娠したときもそう。娘の写真のこともそう―――」
私が畳みかけた瞬間、電話口から奇声が響いた。
「ああああああああああ!」
あまりのことに、私は一瞬言葉を失った。大人になってから、これほど取り乱した人とは、電話越しながら対峙したことはない。「ちょっと…落ち着いてよ」と私が声をかけると、希はしゃくりあげながら「子どもが泣き止んだらかけ直す」とだけ言って、すぐ電話を切った。
あとがき:自分の苦労や不遇が、相手への攻撃の免罪符にはならない
希が放った突然の奇声。ワンオペ育児や子どもの状況への不安感から、精神状態がはりつめていたのかもしれません。
しかし、もしもそうだとしても、藍子を傷つけたり、藍子の子どもを悪く言ったりしていい理由にはなりませんよね。
🔴【続きを読む】さんざん傷つけておいて「あなたばかりずるい」相手サゲ女の言い分
嫉妬心で相手を攻撃する人との決別を描く作品
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本作では主人公・藍子と高校時代の親友・希の関係性が描かれます。高校時代は同じバレーボール部に所属し、信頼し合える親友として距離を縮めていた2人。しかし、その関係性は結婚・出産とライフステージを進めていくごとに変化していきます。
藍子は大人になっても希と昔のような付き合いができることを望んでいましたが、希は密かに藍子に対し嫉妬心をつのらせていました。藍子の暮らしに対して「自分よりも優れている」と劣等感をいだいた希は、徐々に藍子に対して意地悪な言動をするようになっていきます。
藍子は関係性を続けられるように付き合い方を工夫しますが、最後は決別を選ぶことに。大切な友人の1人を失う結果となった藍子ですが、作品内でさまざまな思いを巡らせた結果、納得して選ぶことができたようです。
藍子と希のストーリーから、大人になってからの人間関係・人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










