©ママリ
🔴【1話から読む】結婚のあいさつで「後悔するよ?」義姉の”悪意ある一言”に凍りついた
突然、婚約発表をした義姉。これまで数々のイヤミやマウントを受けながらも、波風立てずにやり過ごしてき遥だったが、義姉の「ご祝儀よろしくね」の一言に、ガマンの限界が訪れる。そんな中、夫と交わした会話が、遥にある決断をさせるきっかけとなり…。
「ご祝儀は?」夫婦で交わした本音
義姉が婚約宣言をした夜…私は夫にご祝儀について相談した。
「お姉さんの結婚式のご祝儀だけどさ、私……あまり出す気になれないんだよね」
いくら義姉の言動が目に余るものでも、実の弟である夫に相談するのは少しためらいがあった。しかし、返答は案外あっさりとしたものだった。
「俺も出さなくてもいいと思うよ。だって、俺らも姉貴から貰ってなかったよね?」
今まで、義姉からのイヤミを静観していた夫…。私も夫の身内のことなので、遠慮の気持ちもあり、相談してこなかったのだ。義姉の言動について、「夫は何とも思っていないのかな」という不安があったのは事実…。しかし、夫も義姉へ違和感を抱いていたことを確認できて、少しホッとした。
「姉貴が文句を言ってきても、別にあっちもしてこなかったことだし…筋は通るでしょ。判断は遥に任せるよ」
義姉へ募らせていた憤りと、礼儀や建前としてどうなのか…と言う良心の狭間で揺れ動いていた気持ち。夫の言葉を聞いて、抱えていた罪悪感を手放すことができた。
変わらぬ義姉のマウントとイヤミ
それから数日後…義姉が婚約者を連れてきた。婚約者からにじみ出る、強引さや自信過剰なところがやはり好きになれない…。
義両親も不安げな表情だったけど、義姉は気にもとめず、終始じまんげだった。私は、心中「お似合いだな」と、少し冷めた目で見ていた。
結局、義姉の強い意向もあり、2人は結婚する運びとなった。結婚式の日取りが近づくにつれ、義姉は顔を合わせるたびに幸せオーラを振りまきつつ、同時にマウントとイヤミを欠かさない。
「悠斗たちが先に結婚式してくれて良かったわ〜。参考にして、もっと豪華な式にできるし」
「上品でオトナな式にしたいな〜。余興も彼の友だちの有名なクリエイターに頼むって言ってたかな〜」
じまんげな義姉にいや気が差しつつ、適当にあしらう日々が続いた。そして、いよいよ、義姉の結婚式を迎えることに…。
結婚式・披露宴ともに、義姉の希望通りの演出がされていて、彼女の本気がうかがえる式だった。ただ、義姉から式の内容について、口うるさく伝えられていたせいだろうか…私には新鮮味や驚きが半減しているようで、滑稽にすら感じてしまった。
式を通じて、とても幸せそうな表情を見せる義姉…。「あのイヤミさえなければ、もっとステキなのに……」と、私は少し悲しさを覚えていた。
結婚式後の“ご祝儀騒動”と義姉の変化
義姉の結婚式から数日後…。週末、旦那さんが会食があるということで、夕飯を食べに義姉が自宅へと訪れた。家に着くやいなや、彼女の表情はどこか不満げでむくれていた。
「新婚さんなのに、どうしたのかしら」
義両親も姉の態度に対し、ふしぎそうに首をかしげていた。すると、食卓に着き、食事を始めて早々…義姉がふてくされたように口を開いた。
「悠斗に遥さん。この前の結婚式のご祝儀なんだけど…渡しそびれてた?」
そう。結局、私たち夫婦からは、義姉夫婦へのご祝儀は出さなかったのだ。結婚式後、すぐにご祝儀を確認したのだろうか…。
気まずさを感じて返答に困っていると、夫が口を開き、淡々と話し始めた。
「俺ら夫婦からは出さなかったよ。だって姉貴、俺らの結婚とか出産の時もご祝儀なかったよね?」
「はあ?出しそびれてたかもしれないけど、だからって……」
「…それに姉貴、婚約あいさつの時からそうだったけど、会うたびにイヤミとかマウントとかすごかったじゃん。そこまで言われて出すのもなあ…って」
私が感じていた不満・本音を淡々と述べていく夫。それに対し、何も言い返せず、表情が引きつっていく義姉…。その様子を見て、どこか義両親もスッキリしたような表情をしていた。私の中のモヤつきも憤りも、一気に晴れていくような気分だった。
これからの義姉との関係
その後、謝罪こそなかったものの、義姉は黙って夕食を食べると、自分の家に静かに帰って行った。
それ以降、家族行事で義姉に会うと、あの時のことがよほど堪えたのか…控えめで謙虚な態度に変わっていた。思わず、別人かと驚くほどだった。
どうやら、今度は家庭で旦那さんからイヤミを浴びせられる日々を送り、義姉はイヤミを浴びせられるストレスを、初めて深く理解したようだった。
「遥ちゃん、あの時はごめん。私も焦ってたんだと思う。嫉妬深くなって、一番、身近にいた身内に当たってしまっていたんだと思う」
ある時、義姉からそんな風に謝罪を受けたことがある。正直、義姉が今まで、私にしてきたことは到底、許せる気持ちにはなれない…。きっと、それでいい。
現在も義姉とは深く関わることはないけれど、義姉にも子どもが産まれ、母親として情報共有するくらいの仲にはなった。
たくさんイヤミは吐かれたけど…結婚式の時に見た義姉の笑顔は、本当にステキだった。人を幸せな気持ちにさせる笑顔…それは、確かに彼女の中にある。「最初からその面が見られれば良かったのに」とは思ったけど、きっと今からでも遅くないように思う。
長年培ってきた、行動や性格はそう簡単に変わることはない…。けれど、母になった義姉が、守るべきわが子のために努力している姿は認められる。大切なのは、変わろうとする気持ちだ。そして、言いにくいことを言ってくれる…信頼できる家族、他人がいることなのではないだろうか。
「少しずつ、義姉といい関係になれれば……」そう望む、今日このごろだ。
あとがき:長年のわだかまりと小さな和解
本エピソードでは、義姉との長年のわだかまりが少し解消されました。
夫の毅然とした対応が、遥の中の迷いや罪悪感を払拭し、義姉も態度を改めるきっかけとなりました。長い間「変わらない」と思っていた相手が、少しずつ歩み寄る姿を見せたことで、遥の心の重荷も軽くなったのではないでしょうか。
イヤミの奥にあった、義姉なりの不器用さを理解しながら、これからは少しづつ前向きな関係を築けたらいいですね。親族間での付き合い方について、参考になるエピソードでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










