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🔴【第1話から読む】「ただの疲れ」と思っていた夫の不調は、うつ病だった|夫がうつになりました
ハルキが朝から動けない日、えりなは「またか」と諦めながらワンオペをこなします。職場と保育園、家事を完璧に回すが、周囲の「大丈夫?」という心配の言葉は、逆に彼女の肩に重荷として積み重なり、限界が近づいていました。
会社に行けなくなった夫
いつものように祐樹とはなを起こす時間。リビングに降りて朝食の準備をしていたら、寝室からハルキが力なく階段を下りてきた。顔が青白い。
「えりな……ごめん。今日は、体が全く動かない」
彼がそう言うのは、週に一度か二度、波のようにやってくる。でも、今日は特にひどかった。
「大丈夫だよ。無理しなくていいから、また寝てて」
私はそう言って、彼を再び寝室へ送り出した。もちろん、心配はある。でも、それよりも先に「またか…」という諦めと、今日1日のタスクの組み立て直しが頭を占める。
ハルキが会社に休み連絡をするのを見届け、私はバタバタと朝の支度を進める。寝室にいるハルキに気を使わせないよう、子どもの準備を静かにこなすのが、この半年で身についた特技になってしまった。
「祐樹、静かにね。パパお仕事お休みで寝てるから」
「うん、わかった。パパ、おねんねなんだね」
幼い祐樹にそう言わせるのが、なんだか胸に突き刺さる。
家事、育児、仕事…私が抱えるもの
子どもたちを保育園に送った後、私も職場に向かう。今日は午後から在宅勤務に切り替えることにした。
帰宅後も休む間はない。夕食の準備と、明日のための作り置き。洗濯機を回し、畳み、掃除機をかける。夫を責める気はまったくないけれど、現実として、ハルキが動けない分、全てが私にのしかかってくる。
日が傾き、少し涼しくなってから、祐樹とはなを連れて近くの公園へ。子どもたちの笑顔を見ている間だけが、唯一、自分の心も少し呼吸できる時間だ。
「えりなちゃん、最近ずっとワンオペだね。お疲れ様」
公園で会うママ友の言葉はありがたい。でも、みんなハルキの病気のことを知っているわけではないから、私の頑張りは「育児と仕事を両立している」という表面的な部分しか見えていない。その優しさの裏にある「大変そうだね」という視線が、時々、私を追い詰める。
家に帰ると、ハルキはまだ寝室で動けずにいた。
夫への心配が私にのしかかる
夕食時、義母から着信があった。
「もしもし、えりなちゃん?ハルキは今日はどう?大丈夫?お薬は飲めている?」
夫の母である義母が息子を心配するのはわかる、わかるんだけど……。
「今日は会社お休みしています。お薬はちゃんと飲んでいますよ」
答える私の声は、気づけば無機質になっていた。義母からの電話が終わると、今度は義父からLINE。
「ハルキはどうですか?あまり無理させないように」
「大丈夫?」「無理させないで」という、周囲の心配の言葉が、どんどん私の肩に重荷として積み重なっていく。
ハルキはクリニックに通っているし、彼の体調は私も含めた周囲がしっかり観察している。本心を言えば、彼を心配するのと同じくらい、毎日、仕事と家事と育児をこなしている私のことも、だれかに気にかけてほしい。
日によって体調に波があるから、週末の予定なんて立てられない。ハルキが「明日は動けるかも」と言っても、翌朝には「やっぱり無理だ」となるのが常。それは仕方ないことなのはわかるけど、このままではきっと、私はいつか壊れてしまう―――。
🔴【続きを読む】「息子がかわいそう」義母がこっそり電話で話していた、心ない愚痴|夫がうつになりました
あとがき:善意の言葉がナイフになるとき
義母や義父からの「無理させないで」という言葉は、ハルキを気遣う優しさである一方、えりなから見れば「私がもっと頑張らなくてはいけない」というプレッシャーにしかなりません。
誰にも病状の全てを話せない環境で、家事育児すべてを静かにこなすえりなの特技は、彼女の孤独の深さを象徴しています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










