🔴【第1話から読む】「もう少し早く気づいていれば」妊娠をきっかけに【おかしい】元同僚に違和感|自分本位すぎる元同僚
連絡が途絶えて1か月後、奈美子さんが突然訪問し「ご飯がない」と弱みを訴える。里美は純粋に心配し、食事を提供したものの…。
突然やってきた友人
奈美子さんから連絡が途絶えて1か月ほど経った昼下がり。インターホンが鳴った時、私は一瞬誰か分からなかった。モニター越しに映っていたのは、久しぶりに見る奈美子さんの顔だった。
玄関を開けて、私は思わずたずねた。
「奈美子さん!どうしたの急に?連絡も全然なかったから心配してたよ」
すると彼女は、妊娠中に私を追い詰めていた時の強い口調とは打って変わって、申し訳なさそうな顔をして、少しうつむきながら言ったんだ。
「ごめんね、里美。実は、お金が全くなくて…。健のご飯はなんとかしてるんだけど、私、ここ数日まともに食べてなくて」
友人の困りごとを無視できなかった
彼女がシングルマザーとして生活が苦しいことは知っていたから、よほど切羽詰まっているのだろうと思った。以前の奈美子さんは、どんなに大変な状況でも、人に対して弱みを見せたり、ましてや「ご飯を恵んで」などと頼み込むようなタイプではなかったからだ。
「え、そうだったの…それは大変だったね。とりあえず上がって。何か食べて行ってよ」
私は、前日の夕食で作ってあった肉じゃがとご飯を温めて出した。奈美子さんはそれをうれしそうに、まるで高級なご馳走のように食べてくれた。
「おいしい…本当においしい。ありがとう、里美。久しぶりに温かいものを食べたよ」
奈美子さんは1人で来ていたので彼女の分だけだったけれど、私は「健くんの分も」と思って、ご飯といくつかのおかずを、ストックしてあった使い捨ての容器に詰めて持たせた。
「またいつでも連絡してね。無理しないで」
そう言って、私は笑顔で彼女を見送った。この時の私は、奈美子さんを心から気の毒に思っていたし、友人として助けられて良かったと、純粋に思っていた。
度々ご飯をもらいにくるようになった
でも、これが「図々しさ」の芽生えだったことに、私はこの時、全く気づいていなかった。そんなことが、私の出産予定日が近づくまで、週に一度か二度のペースで繰り返されるようになった。連絡もなく突然やって来て「ご飯が食べられなくて」と訴えるのだ。
「里美、今日、お昼ごはんなんだけど…」
「ごめん、本当に助かる。これ、健と2人分だけ…」
さすがにしつこい、図々しいと思う日も増えてきたけれど、ご飯を食べられなくて困っている人を前にして、断ることはできなかった。夫の和樹には、奈美子さんの状況を伝えてはいたけれど、「困っているなら仕方ない」と、最初は理解を示してくれていた。
予定日が近づくと、私は実家と家を行き来するようになった。家を留守にすることが増えると、奈美子さんは私の予定をしつこく聞いてくるようになった。
「里美、今どこ?いつ家に帰ってくるの?私、またご飯がなくて…」
「そろそろ里帰りから戻る?いつなら家にいる?」
連絡の内容が、完全に私への気遣いではなく、自分の要求を押し付けるものに変わっていったことに、私は恐怖にも似た疲労を感じ始めていた―――。
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あとがき: 同情の代償
「ご飯がない」と弱々しく訴える奈美子さんの姿は、里美の同情心を強く刺激しました。以前のサバサバした彼女からは想像もできない姿に、里美は純粋に友人として助けたいと思ったのでしょう。
しかし、この里美の「優しさ」は、奈美子さんにとって「里美の善意は搾取できる」という誤った確信を与える結果となってしまいました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










