🔴【第1話から読む】【衝撃】インターホンが鳴り「警察です」→聞かされたのは“夫の万引き逮捕”|夫は万引き犯でした
夫の万引きが発覚し、真緒は警察対応と義父母への説明を余儀なくされた。だが、義父母は万引きの事実よりも息子を庇い、真緒に責任を向ける。家族だと思っていた相手との間に深い溝を感じた真緒のもとへ、弘樹が不起訴となり帰宅するが―――。
「不起訴でよかった」夫の発言にショック
被害弁償と謝罪を終え、夫が家に戻ってきたのは、夜も更けた頃だった。玄関のドアが開く音に、私は無意識に肩を強張らせる。
「……ただいま」
申し訳なさそうな表情から透けて見える、穏やかな表情。それは、これまで信じてきた夫の表情でありながら、今となっては疑いしかないものだった。
「不起訴で済んだ。とりあえず前科がつかなくて本当に良かった」
その一言に、私は耳を疑った。胸の奥で、何かが音を立てて崩れる。
(良かった?)
何が、良かったのだろう。私は何も言わず、夫の顔を見た。そこに、反省の色はほとんど見えなかった。安堵と疲労が混ざった、軽い表情。その瞬間、溜まっていたドロドロの憤りが、急激に噴き上がるのを感じた。
語られる理由と、消えない違和感
怒鳴りつけたい衝動を、必死で押し込める。子どもたちは何も知らずに寝ているのだから、冷静に。
「……話、してもいい?」
夫は一瞬だけ戸惑ったような顔をしたが、すぐに頷いた。
「どうして、万引きしたの?」
できるだけ、感情を乗せないように問いかける。責めるためではなく、理由を知りたかった。夫はしばらく黙り込み、やがてポツリと口を開いた。
「事故の賠償金のことが、ずっと頭から離れなくて……」
交通事故。半年前のことが、再び脳裏によみがえる。突然の連絡、病院、示談の話、膨らんでいく金額。
「仕事も忙しくて、でも金のことばっか考えて……。どうしても、追い詰められてた」
「最初は、ほんの出来心だったんだ。魔が差したっていうか……」
夫は、被害者のような口調で言った。
終わったと思う夫、終われない妻
「それって、事故のストレスだけが理由?」
夫は視線を逸らしながら、言い訳のように続ける。
「だってさ、俺だって限界だったんだよ。誰にも相談できなくて……」
私は、その言葉を静かに遮った。
「相談できなかった?私は?毎日、家にいたでしょ?陽斗の通院も、紗良の世話も、一緒にやってきたよね?」
夫は何も言わない。沈黙が、肯定の代わりだった。
「自分で追い込まれて、自分で選んで、犯罪を繰り返して……それで、よかったってどういうこと?」
問いかけながら、私は何となく悟っていた。この人とは、もう同じ場所に立てない、と。
「不起訴になったんだし、もう終わったことだろ?」
夫のその一言が、最後だった。終わった?何も、終わっていない。私は、それ以上何も言わなかった。怒鳴ることも、泣くことも、もう意味がないとわかってしまったから。
夫は、許されたつもりでいる。罰を受けなかったことで、自分の行為を軽くしている。複数回の万引き。身勝手な理由。反省よりも安堵が先に来る態度。そのすべてが、私の心を遠ざけていった。
その夜、寝室で眠る夫の背中を見ながら、私は静かに思った。もう、この人を夫として見ることはできない。愛情でも、怒りでもない、決定的な断絶。
夫から心が完全に離れる音は、驚くほど静かだった。
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あとがき:許されたことと、向き合ったことは違う
第3話で描かれるのは、事件そのものよりも、その後の「向き合い方」です。不起訴になったことで、夫は自分の行為を軽く捉え、終わったことにしようとします。しかし真緒にとっては、信頼が壊れた事実こそが終わっていない問題なのです。
反省のなさ、責任のすり替え、共有されなかった痛み。静かに、しかし確実に心が離れていく瞬間は、大きな衝突よりも残酷なのかもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










