監修:渡邉征雄 先生

絨毛膜下血腫とは?安静指示を受けても家事はできるの?

おなかの赤ちゃんの存在が自覚できない妊娠初期は、ちょっとしたことでも「赤ちゃんに何かあったら…」と不安になるもので、特に不正出血は不安が増える要因です。妊娠初期の出血の主な原因となる絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)は、実は多くの妊婦さんに起こりうる症状です。ただし、油断すると流産、早産、赤ちゃんに悪影響を与える可能性もあるため、正しい知識を身に付けて不安を解消しましょう。

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絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)とは?

絨毛膜化血腫とは、胎盤が作られる妊娠初期に多く見られる症状で、出血量が少ない場合は特に心配ありません。中には出血症状がなく絨毛膜下血腫に気づかない人もいます。

妊娠は受精卵が子宮内膜に潜り込み、着床したことで確定となります。受精卵は「羊膜」「絨毛膜」「脱落膜」という3つの膜で構成された卵膜に包まれていて、着床すると真ん中の「絨毛膜」から突起した絨毛が子宮内膜(脱落膜)に向けて伸び、胎盤を作ります。

絨毛膜の絨毛が根を張るプロセスで、絨毛の先が脱落膜を壊してしまい、血管が破綻し出血を引き起こすこともあります。その際、出血が止まらず、脱落膜に血液がたまり血腫(血の塊)となったものが絨毛膜下血腫です。

絨毛膜化血腫の症状

胎児 PIXTA

絨毛膜下血腫は妊娠初期に発症し、ほとんどの場合は妊娠中期までに自然消滅します。出血の量は、血腫ができる場所が影響し、子宮口近くに血腫ができると出血量が多くなります。生理のときの出血量よりも少ない程度であれば、診察時間外に受診する必要はありません。

注意すべきは、妊娠中期を過ぎても出血が収まらず血腫が慢性化するケース。継続的な出血や血腫が原因で胎盤に色素が沈着すると、胎盤の機能に悪影響を与え、自然流産、常位胎盤早期剥離、死産、早産、前期破水、胎児発育遅延など、幅広い疾患を引き起こす危険性があるからです。

胎児は子宮内の羊水を飲んだり排出したりして肺を膨らませ、肺呼吸の準備を進めますが、血腫が大きくなると羊水の量が不足することから、生まれてからも新生児肺疾患になるリスクも指摘されています。

絨毛膜下血腫の診断と治療法

エコー PIXTA

絨毛膜下血腫かどうかは、出血や妊婦健診のエコー検査で確認できますが、大きさや出血量など、絨毛膜下血腫を判断する明確な診断基準はありません。

切迫流産の原因に絨毛膜下血腫の合併があった頻度を示す数字は4~40%です。薬による治療法は確立されていないため、慢性化した場合は、出血を悪化させないよう安静指示を受けることになります。

病院によってはおなかの張り止めや止血剤を出すところもあるようです。血腫の位置や、大きさ、出血量によっては、流産もしくは早産のリスクを抑えるため、管理入院して状況を診ることになります。

自宅安静が出たら家事や仕事はできる?

宅配 PIXTA

自宅安静指示が出た場合は、できるだけベッドや布団の上で横になり、不必要な動きは避けましょう。長時間立ったままでの調理、お風呂掃除や重い荷物の片付けなど腹圧がかかる動作は避けましょう。

食事は、宅配サービスなどを利用し、家事や掃除は、家族や家事代行サービスなど誰かの手を借りるようにしましょう。買い物は宅配やネットスーパーなどを利用するのがよいでしょう。

「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用しましょう

診断書 PIXTA

絨毛膜下血腫に限らず、妊娠中は急なトラブルや体調不良が起こることがあります。働いている方は、妊娠がわかったら早めに上司に連絡を。

安定期に入っていないからとちゅうちょすることがあるかもしれませんが、何かあった場合は逆に職場に迷惑をかけてしまう場合も。いざというときにスムーズにフォローしてもらえるよう、上司や職場の人と良好なコミュニケーションを心がけましょう。

絨毛膜下血腫で安静指示を受けた場合、会社へ報告する方法として「母性健康管理指導事項連絡カード」があります。主治医から会社側に安静の必要性を伝え、ここに書かれた指示内容を守ってもらうための診断書に代わる正式な書類です。

費用は診断書より安く、母子手帳に添付されています。また、厚生労働省のサイトからもダウンロードできますので、必要に応じて確認してみましょう。

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赤ちゃんの心拍があれば妊娠継続は可能です

赤ちゃん PIXTA

絨毛膜下血腫と診断されても、すぐに処置が必要なわけではありません。「絨毛膜下血腫」には診断基準がないため、妊婦健診の超音波検査で、出血の量や血腫の大きさなどの様子を診ながら、状況に応じて医師からの指示を受けることになります。

妊娠中期には出血が収まることが多く、万が一出血が続いても赤ちゃんの心拍が確認できていれば、妊娠の継続は可能です。その場合は症状を悪化させるような行動は控え、体に負担をかけない生活を心がけること。

元気な赤ちゃんを産むためにも、パートナーや周りの人のサポート、家事サービスなどをうまく使いながら、出産まで安静に過ごすようにしましょう。

※この記事の情報は2017年10月31日取材現在のものとなります。最新の情報は医療機関へ受診の上、各医師の診断に従ってください。

記事の監修

稲毛とらのこ産婦人科 院長

渡邉征雄 先生

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