このまま夫と二人で…と思っていたら
私は妊娠が判明したのは、結婚して12年目37歳の時でした。
学校を卒業してからというもの、自宅を7時過ぎに出て出勤、帰宅は次の日の午前1時過ぎと言う仕事一筋生活を10年以上送っていました。
正直、このまま夫と二人で夫婦生活を終えるのかなぁ、とボンヤリ考えていた矢先のことでした。
幸せいっぱいのマタニティライフ
私の勤務先は結婚して働いている正社員の女性は1%、内、子供がいる女性は皆無でしたので、私は妊娠判明と同時に退社しました。
退社後は、朝自然と目を覚ます、お昼ご飯を食べる、夜は7時には帰宅してご飯を食べてお風呂に入り寝る、といったマタニティライフを過ごしましたが、それは楽しい幸せな時間でした。
「高齢出産」と「出生前検査」
私の妊婦健康診査の担当医は、途中から代わりました。
最初の先生は、「母子共に健康ですよ」とだけ仰るので、私は素直に受けとって、マタニティライフを楽しんでいました。
ところが、新しい先生に代わり、初めての診査後に「︎︎高齢出産ですから、まずは“出生前検査”を受けた方がいいですね」と言われたのです。
私は大変お気楽なものですから、その時初めて、「高齢出産」「出生前検査」と言う言葉を耳にしたのですが、その時はまだ、他人事のように聞いていました。
担当医からの宣告
その診査以降、診査の度に担当医より、「出生前検査は受けられましたか?」と聞かれるようになりました。その当時は、出生前検査は高いものでしたので、私は出生前検査を受ける気など微塵もありませんでした。
なので、そのことを聞かれる度に「い〜え?受けてませんけど?」と軽く応えていました。
そんなある日、余程担当医は高齢出産の私が気になったのか担当医は「紹介状を書いておきますので、︎︎病院で出生前検査を受けてください」と宣告してきたのです。
出生前検査を受けるまで
この紹介状を渡されてからは、紹介された病院のホームページをみたり、高齢出産の定義や出生前検査の意義を調べたりするなど、妊娠や出産への関心が180度変わったと言っても過言ではない程、宿った命への思いがとてつもなく強くなりました。
しかしその思いとは裏腹に、検査を受けるにあたってさまざまなハードルがありました。出産前検査を受ける病院の人気が非常に高いのと、夫の会社が繁忙期で、なかなか出生前検査の予約がとれず、モヤモヤした日々を過ごしていました。
出生前検査と結果が出るまで
そんな中、ようやく予約出生前検査の予約が取れ、検査を受けました。胎児の頭にちゃんとシワがあるかどうかも診てくださいました。
その頭のシワを診て先生が「あぁ、お母さん、シワだらけですね」と言われ、「え?」と思わずすごい声で返事をしてしまい、先生に「お母さんのことじゃないですよ。赤ちゃんの脳のシワのことです。脳がシワだらけというのは大事なことですからね」と言われたことをよく覚えています。
出生前検査を待っている時は…
当然のことながら、検査結果はすぐには出ません。それでも1日でも早く結果を知りたかったので、別料金にはなりますが、最短コースで依頼をしました。
結果を待っていた数日間は、当然のことながら、毎日がうわの空でした。
結果待ちの間は、私は楽器を演奏するのが好きなので、体への負担が少ない楽器を演奏して、心を落ち着かせていたのを覚えています。
先生が、「お母さんは出来る限りのことを赤ちゃんにしてあげたじゃないですか。これだけしてあげたんだから、大丈夫ですよ。お母さん自身も悔いはないでしょう?」と最後の検査の日に言ってくださった言葉も私には励みとなっていました。
出生前検査結果
いよいよ検査結果当日。その日の緊張は、今までの人生で感じたことのないものでした。異常なしである結果を聞いてからは、とても安心して、ご飯の味も分かるようになったことを覚えています。
その後の生活
その日からようやく落ち着きを取り戻し、再びマタニティライフを楽しむようになりました。
しかし、検査を受けてからのマタニティライフは今までとは全く異なり、赤ちゃんがメインの生活を送るようになりました。
例えば、私は牛乳や魚は嫌いですが、自ら食べるようにしたり、音楽を演奏するにも細い手の動きをする難しい曲ではなく、「ふるさと」や「朧月夜」等、やさしい童謡を選ぶようになりました。
今になって思えば
私は、今この記事を書いていて、あの紹介状を書いてくれた先生は、もしかすると、私の妊婦としての心構えがあまりにも雑だから、もっと母親としての自覚を持ちなさい、と言う意味も込めて、紹介状を書いてくれたのかも、と思いました。
また、出生前検査を通して、検査をしてくださった先生の言葉や夫が仕事を調整してくれたのも、感謝しかありません。
高齢出産は、比較的マイナスなイメージがあるかも知れません。
しかし、出産が遅い、と言うことは、それだけ長く人生経験を積んでいることでもあり、その人生経験は必ず子育てに役に立つものです。
高齢出産という言葉の意味も知らなかった私が、毎日を力ずくではありますが過ごして、何とか“お母さん”できているのです。子供に真摯に向き合えば、大丈夫!
子供の顔が皆違うように、マタニティライフも子供により異なります。つまり、オンリーワンなわけです。
だからこそ、悔いの残らないようオンリーワンなマタニティライフを是非是非楽しんでくださいね。