出生前診断とは
出生前診断とは、安全な妊娠経過・分娩のために行う検査です。また、同時に生まれてくる子供の健康の向上や適切な養育環境を提供することです。
出生前診断のうち、出生前遺伝学的検査は胎児が何らかの疾患に罹患している可能性や、正確な病態を知る目的で行われます。
遺伝学的検査には2種類あり、非確定検査と確定検査があります。非確定検査は障がいがある可能性が高いかどうか判断をするもので、もし陽性となっても確実に診断されたわけではありません。確定検査は、非確定検査で陽性となった場合に行われ、確定検査で陽性になってはじめて、障がいを持っている可能性があると診断されたということになります。
非確定検査の中には、妊婦の血液のみで検査ができる「NIPT」と呼ばれる検査があります。羊水検査ではおなかに針を刺す必要がありますが、この検査ではおなかに傷をつけることがなく、妊婦や胎児へのリスクが低いといわれています。この検査では、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、そして13トリソミーについて可能性が高いかどうかを知ることができます。
- 横浜市立大学附属病院「「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についてのQ&A」(http://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/section/central_section/genetic/nipt/faq.html#01,2017年8月29日最終閲覧)
- 大森病院臨床遺伝診療室「遺伝カウンセリング申込み」(http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/rnsho_iden/patient/ninshin_iden_yes.html,2017年8月29日最終閲覧)
- NIPT兵庫共同情報提供サイト「新型出生前診断とは」(https://nipt.hyogo.jp/新型出生前診断とは/,2017年8月29日最終閲覧)
- 和歌山県立医科大学産科婦人科学教室「出生前診断をご希望の妊婦さんへ 」(https://www.wakayama-med.ac.jp/hospital/shinryo/gene/pdf/yousuikensa_setsumei.pdf,2017年8月29日最終閲覧)
陽性となった妊婦の77.5%が「生まない」という選択を
NIPTの臨床研究を行う、NIPTコンソーシアムが実施した調査実績によると、2013年4月から2016年9月までに検査を受けた37,506例のうち、陽性となったのは673例。うち、実際には陽性ではないのに陽性反応が出る「偽陽性」だったのは59例でした。
NIPTのあとに確定検査を受けて陽性が出た人のうち、妊娠を中断したのは476例。77.5%の人が中絶を選択したことがわかります。
障がいを理由に中絶することを問題視する声
出生前診断を受けた結果、わが子に障がいがある可能性が高いとわかったことで中絶を選択するのは「命の選択」であるとして問題視する声があることも事実です。
中絶に関して定めた「母体保護法」では、人工妊娠中絶を行えるのは以下の場合のみとされています。