1. トップ
  2. 子育て・家族
  3. 子育て・家族の基礎知識
  4. 桜が咲くたび思い出す NICUに入った娘とのぼった7つの階段
  5. 2ページ目

桜が咲くたび思い出す NICUに入った娘とのぼった7つの階段

私は毎日赤ちゃんに会いに車を走らせNICUのある総合病院へ通いました。1日も欠かさず毎日通いました。赤ちゃんの為に搾乳して冷凍した母乳を持って…。

そこで毎日来る私に看護婦さんが言った一言を私は今でも覚えています。

「お母さんは偉いね、毎日来てくれて。他の赤ちゃんのママは中々来てくれないのよ」と。色々な事情があって来られないのは仕方ないけど、みんなあまり会いに来ないんだよ…と寂しそうに言う看護婦さん。衝撃を受けました。

それと共になんだかとても切ない気持ちに包まれました。

なんだか会いに来ない理由がわかる気がしたのです。

赤ちゃんがそばにいないと、赤ちゃんを産んだという実感が全く起きないから。私も実感が湧かないからわざと自分の気持ちを新生児がいるママに合わせるように、夜中に3時間ごとにアラームをかけて搾乳をしたり、赤ちゃんに毎日会いに行ったりすることで自分がママになったんだという実感を自分自身にもたせていました。

赤ちゃんの頑張りで少し早まった退院

編集部撮影

娘は母乳を飲むのがとても上手でこの調子でいけば3週間で退院できるかも!と先生に言われ、私は天にも上るかのような気持ちでいました。「やっと連れて帰れる!」「やっと長女と対面させてあげることができる!」「やっと家族みんなで生活が出来る!」と。

長女はNICUに入れないので赤ちゃんの姿をみたことがなかったのです。

そして迎えた退院当日。この時の娘の体重は2300g。まだまだ小さくて、抱っこするのが怖かったことを覚えています。

長女も「小さいね~!可愛いね~!」と赤ちゃんが帰ってきたということをとても喜び、とても可愛がってくれました。

心配なこともあったけどこの子を産んでよかった…と改めて感じました。

そして私たち家族の元に生まれてきてくれてありがとう…と。

天にも上る思いからどん底へ・・・

編集部撮影

退院して3日後。一度受診して欲しいと言われていたので、再び赤ちゃんと一緒に病院を訪れました。

すると赤ちゃんをみた先生が険しい顔に…。「お母さん採血しても良い?」と言われ採血された娘に下されたのは「再入院」という決断でした。

私は足取りが重く、またNICUのある病棟に向かい、やっと一緒に過ごせるようになった娘と、再びお別れをしました。

娘の為だし仕方のないことだと分かっています。

でも駐車場に戻り、空っぽになったチャイルドシートをみた瞬間、溢れんばかりの涙がこみあげてきて私は大泣きしてしまいました。

まるで子供のように…。

入院は数日と言われていましたがやっと一緒にいれるようになった娘とお別れしなければならない寂しさと、やっぱり私のせいで…という気持ちが強くなり、自分自身をまた責めてしまいました。

今年の桜が咲いたら4歳に

桜 PIXTA

それから数日で退院した娘。その後も色々な病気にかかったり、アレルギーがみつかったりしましたが、無事元気に大きくなってくれて、今年の桜が咲いたら4歳になります。

娘の名前には「桜」という漢字が入っています。毎年桜が咲くと娘が生まれたときのことを思い出します。

大きな病気をすることもなくスクスク大きくなってくれている娘にとても感謝しています。

そして世の中には生きたい!という強い生命力を持った赤ちゃんがたくさんいることを知ることができました。今もNICUには小さな体で闘っている赤ちゃんがたくさんいます。

娘が実際経験したということもあって私は心からNICUで頑張る小さな赤ちゃんの成長を応援しています。子供はママに、ママは子供に、たくさんの笑顔や幸せを与えてくれます。そんなママも赤ちゃんも、人生が笑顔で満ち溢れますように。

もうすぐ4歳になる娘へ

編集部撮影

もうすぐ4歳になるね。まずここまで大きく育ってくれて本当にありがとう。

あなたがお腹にいるとき、入院しているとき、生まれてからもママはたくさん泣いてしまいました。全部聞いていたよね。弱虫なママで本当にごめんね。

あなたは小さな体で生まれた分、何かしらのリスクがきっと後々から出てきてしまうと思っていたけど、少しアレルギーがあるくらいで他は何も問題なく大きくなってくれて本当にありがとう。

あなたとは思い出がたくさんあります。

体重を増やさなきゃと必死におっぱいをあげて、横に大きくなりすぎてむちむちになったこと。1歳になるまで車を走らせて毎月一緒に通ったNICUのフォロー外来。毎日スーパーに一緒に行ってご飯やおやつを買ったよね。お姉ちゃんに内緒でおもちゃを買ってあげたこともあったよね。2人で公園や児童館に遊びに行って、少しずつ大きくなっていくあなたが愛しくて仕方なかったよ。

2人目だったから育児に少し余裕が出てきたということもあって、あなたが初めて寝返りした日のこと、あなたが初めてハイハイした日のこと、あなたが初めてたっちした日のこと、そしてあなたが初めて「ママ」と呼んでくれた日のこと。

ママはどれも鮮明に覚えています。あなたはイヤイヤ期がすごくて、ママは子育てにめげそうになったこともあったけどあなたが生まれた時のことを思い出すと自然と笑顔になることが出来ました。

あなたと出会えたから、ママはあなたから沢山のことを学びました。命の大切さ、赤ちゃんの生命力の強さ、生きたいと思う気持ち。そして親子の絆。

これからも桜が咲いたらあなたは1歳ずつ大きくなっていくんだね。いつかあなたが大きくなったときに、桜を見ながらあなたが生まれたときのことを一緒に話したいです。

ママの元に生まれてきてくれて本当にありがとう。

ママはあなたのことが大好きです。

※この記事は2017年1月に書かれたものです

おすすめ記事

「子育て」「NICU」 についてもっと詳しく知る

本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

カテゴリー一覧