取材協力:小学館

「煮詰まったら外に出て、一回笑って」。ママリのママへ、人気絵本作家が伝えたいこと

胎児から見た家族の日常を描いた『おへそのあな』に、だじゃれで笑いながら都道府県を覚えられる『だじゃれ日本一周』。書店や保育園、児童館でも見かけることの多いこれらの絵本を生み出した長谷川義史さんという絵本作家を知っていますか?教訓を押しつけるのではなく、子供も大人も心から笑える絵本を作り続け、数々のヒット作を出している大阪出身の作家です。今回は長谷川さんにママリが独占インタビューを実施!立ち会い出産の話や、ママの孤独が問題になっている現代の子育てについて話をきいてみました。

ママも子供も衝撃!胎児の目線で描かれた絵本が話題に

もしもお腹の中の赤ちゃんが、ママのおヘソを通して家族の日々の生活を見ていたら…

そんなワクワクする設定で描かれた『おへそのあな』という絵本をご存知ですか?

この本の中では、お腹の中の赤ちゃんがママのおヘソの穴を覗くと、パパ、ママ、お姉ちゃん、お兄ちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんのようすを見ることができます。

みんなで、赤ちゃんの名前を考えたり、「誰に似てるかな」と想像し合ったり、新しい家族の誕生を待ちわびる気持ちが伝わってきて、絵本を読んでいるママやパパも、そして子供たちも幸せな気持ちになれる一冊です。

おへそのあな [ 長谷川義史 ]

保育園や児童館に置かれていることも多いので、目にしたことのある人も多いかもしれませんね。

この絵本を作ったのは長谷川義史(はせがわ よしふみ)さん。目に飛び込んでくるようなのびのびと力強い画風が特長で、ずっと子供に読み継いでいきたい絵本を描く作家さんのひとりです。

上から目線の教訓やしつけよりも、「楽しい」を追求した長谷川作品

たこやきのたこさぶろう 小学館

長谷川さんの絵本は思わず笑ってしまう、声に出して読むのが楽しくなるようなフレーズが散りばめられているものが目立ちます。

例えば、2016年に出版されたばかりの「たこやきのたこさぶろう」は、旅に出ようとするたこやきのたこさぶろうを、家族やまわりのみんなが引き留めようとする話。キレのいい関西弁の応酬がみごとで、声に出して読みたい台詞のオンパレード。読み聞かせている親も思わずスカッとする絵本です。

他にも「いいからいいから」や「だじゃれ日本一周」など、タイトルを聞いただけでおおらかさや面白さが伝わってくる作品を数多く生み出しています。

『たこやきのたこさぶろう』をもっと知りたい

ママリのママたちへ。3児のパパ、長谷川さんが伝えたいこと

3人の子をもつパパでもあり、立ち会い出産も経験している長谷川さん。お子さまは既に大きくなりましたが、今、子育て真っ最中のママたちを見ていてどんなことを感じているのでしょうか?

ママリの独占インタビューに答えてもらいました。

当時はめずらしかった「立ち会い出産」を選んだわけ

長谷川義史さん PHOTO BY NAOKI HIRABAYASHI

まずは、出産の立ち会いやお子さんが小さかった頃の子育ての様子など、長谷川さんご自身の子供との関わり方について聞いてみました。

「絵本」も「子育て」も奥さんに促されて始めた

――デビュー作も今回出版された『それゆけ!長谷川義史くん』も、奥様の提案で書き始めたと伺いました。ほかに奥様のアイデアで始めたことはありますか?

長谷川:それは「子育て」やね。

中々男っていうのは、父親になることができへん。家の中に赤ちゃんが一人くる、くらいの感覚だったりする。

妻が出産するにあたって「産むのは私だけど、あなたも出産に参加して」と言われたんです。「私と一緒に子供を産むという意識を改革して」と。そこで、親子学級に一緒に行って、妻の背中をさすっているうちに、出産への興味が高まってきた。最初は親子学級に行くのもすごく恥ずかしかったんやけど。

他人事のようにして「産んでもらう」よりも、関心を持って早くから関わるほうが絶対いい。

産まれた瞬間に「自分の子供だ」と。強く思った

長谷川義史さん

――具体的に「父親としての自覚」が生まれたのはいつですか?

長谷川:産まれた瞬間かなあ。

うちは助産院で産んでいるから、本当に僕の横で赤ん坊が産まれたんです。産まれた瞬間に「自分の子供だ」と強く思った。奥さんの背中をさすっていたから、協同作業で産まれたという感覚がありました。テレビで馬の出産シーンを見たけど、人間もあれと一緒で動物なんやなあって思った。

協同作業ができる「選択肢があること」を夫に提案してあげてほしい

――立ち会い出産をしようか悩んでいるママリユーザーもいます。どんな声をかけたいですか?

長谷川:僕たちの時代は、立ち会い出産は一般的ではなかったんやけど、今は時代が変わっとるよね。

男の人も血が苦手で…って人もいるけど、女の人も産む姿を見せることに抵抗がある人もいると思う。夫婦のあり方だから、一概には言えへんけど。

ぼーっとしていたら立ち会うチャンスを逃してしまうことだってあると思う。自分の子供が産まれる瞬間に立ち会い、協同作業ができる「選択肢があるということ」を夫に提案してあげてほしい。

今問題になっている「孤独な育児」について

長谷川義史さん PHOTO BY NAOKI HIRABAYASHI

「孤育て(こそだて)」や「ワンオペ育児」などの言葉に代表されるように、子育ての負担がママひとりに偏り、ママが追い詰められていることがたびたび指摘されている現代の育児。

孤独な育児について、長谷川さんの考えを伺いました。

煮詰まったママはとりあえず密室から外に出て… 一回笑ってください

――ママリには、小さなお子さんの育児に周りの協力も得られず一人で向き合っているママが多いです。そんなママに対してメッセージはありますか?

長谷川:絶対、煮詰まるから。やっぱり性格によって、お母さん同士の輪に入っていける人もいれば、いけない人もいるし。入っていけない人が問題やね。

煮詰まる時間が長ければ長くなるほど、虐待とかそういう可能性も出てきてまうよね。その気持ちはすごく分かって。男でも、乳飲み子を半日見ているだけでもどうしようもない気持ちになるときがある。だからそういうお母さんには、外に出てほしい。外に出るだけでも空気が変わるから。

煮詰まったママはとりあえず密室から外に出て、一回笑ってください。

とりあえず一回笑って。

夫の協力を得るために必要なのは、「しんどい」ことを伝えようとすること

長谷川義史さん

――そんなママがパパの協力を得るためにはどうしたらいいと思いますか?

長谷川:うーん…それが「立ち会い出産」だと思うんやけど、もう産まれている方も多いやろから。

「しんどい」ということを伝えようとすること、ママだって時には甘えること、かな。

「しんどい」「一言やさしい言葉をかけて欲しい」ということを伝えようとすることが大事やと思う。難しいけどしんどさを伝えようとすることやね。

お父さんに絵本を読んであげてほしいから、お父さんの「笑いどころ」を用意している

長谷川義史先生

※写真は長谷川さん(左)とパパ友の寿太郎さん(右)

――そんなしんどい状況で、絵本を通してできることってなんだと思いますか?

長谷川:お父さんの声で絵本を読んであげることやな。

絵本って、男の声で読むとおもしろくて。お母さんとはまた違ったユーモアが出て、それで赤ちゃんも笑ったりする。読んでいるお父さん自身も意外に楽しくて。

今までの絵本ってなんか洋菓子みたいなイメージがあるやろ?僕も子育て中に、自分の子供に絵本を読んであげるとき、なんだか気恥ずかしかったんやけど。その体験から「お父さんが楽しんで読むことができる絵本を描こう」と思って。だから僕の絵本は、子供だけやなくて、お父さんが読んだ時の「笑いどころ」を必ず用意している。

お父さんが楽しんで子供たちに絵本を読んでくれたらいいなあ。

絵本を、家族が思いっきり笑うきっかけに

今回のインタビューに際して、実際に長谷川先生の読み聞かせイベントにも出席したママリ編集部。

人生で初めて母親以外の人に絵本を読んでもらったのですが、こんなにワクワクするものなんだ…と、感動しました。もちろん著者の方だからというところはあるとは思いますが、男の人の声で読んでもらう絵本の魅力をすごく感じました。

ぜひ、皆さんも長谷川先生の絵本を家族で読んで、思いっきり笑ってください。

長谷川義史さんをもっと知りたい方はこちら

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