ダブルケアって?現在の実情と、自分たちとの関わりを解説
ダブルケアと聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?もしかするとダブルケアという言葉を初めて聞いた、という方もいるかもしれません。
実は、私たちママ世代が将来的に直面する可能性が十分にあるキーワードなんです。一体どのようなものなのでしょうか?
ダブルケアとは何か、どんな実情があるのか
ダブルケアという言葉は、子供の子育てと、親や親族に当たる人の介護が同時進行で起こっている状態を指し、横浜国立大学の相馬直子准教授と、イギリスブリストル大学の山下順子上級講師によりつくられました。
近年女性の社会進出促進や、暮らし方の多様化などにによる晩婚化、連動して出産年齢=子育てスタートの高齢化により、就学前の子供の育児と親、親族の介護が同時期に発生し、負担がかかっている状態の世帯が年々増加傾向にあります。
内閣府が平成28年に発表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」内では、ダブルケアを行う推計人口は約25万人とされています。その内ダブルケアをしている女性は17万人、平均年齢は40歳前後となっています。
ダブルケアは、今後自分たちへどのように関わってくるのか
ダブルケア増加は核家族化、兄弟数の減少、親戚同士のネットワークの希薄化なども大きく関係しており、少子化と高齢化が進むわが国では今後更に深刻な社会問題となることが予想されています。
とはいうものの、子育てと介護の両立を十分に支える行政の仕組みは今現在なく、両方の問題をいっぺんに解決することは大変困難になっています。なので、ダブルケアを行う当事者だけで問題を抱え込んでしまい、結果的に体調を崩す、精神的に参ってしまい育児と介護共に手が回らなくなるということも少なくありません。
また育児と介護の時期が重なるということは、子供の養育費がかかる時期と介護者の介護費用負担がかぶる場合があります(両親の預貯金などのたくわえが期待できない場合)。最悪の場合、子供の進路予定の変更・断念をしないとまかなえないなどのケースに発展する場合も考えられます。
ダブルケアは今は無関係であっても、突然自分が当事者になる場合も十分にありえるので、いつかの日のために前もって知識を得ておく、可能な準備はしておくことが大事になります。
35歳以上で出産した半数がダブルケアを経験している現実
2017年7月11日付の朝日新聞デジタルに、私たちママ世代にとってショッキングな記事が掲載されていました。
書かれていたことを要約すると、以下になります。
- 35歳以上で出産した女性の、実に半数がダブルケアを経験しているという実態調査が出た
- 一方で、出産前にダブルケアを経験すると想定していた割合は1割にとどまった
- 内閣府発表では、全国のダブルケア人口は少なくても25万人、今後増加すると想定される
- ダブルケアには介護の負担のみでなく、親からの子育て協力も得られなくなると研究所担当者は指摘
- 資金面の備えなどが重要
- 朝日新聞デジタル「35歳以上で出産、半数が「ダブルケア」経験 民間調査」(http://www.asahi.com/articles/ASK7C4TGRK7CUTFK00J.html,2017年7月24日最終閲覧)
恥ずかしながら、私はこの記事を読んで何とも言えない不安と恐怖を感じました。
今元気な両親や義両親を介護する現実が本当にくるのか?どうやって育児と介護は同時進行させれば良い?そもそも親たちは要介護になった場合、どのようなことを望んでいるのかを聞いたことがないし、介護のサービスを受けたいときどこに何を申請したら良いのだろう…。
どれだけ自分がダブルケアというものを知らなかったのかを痛感し、そしていずれ自分にも必ずやってくる問題なのだと思い知らされました。
皆さんはこの記事に対してどのような感想を持ったでしょうか?
実際にダブルケアをしているママたちの声をママリQから集めてみました
内閣府の発表や新聞記事の内容のとおり、実際にダブルケアをしているママはママリQ内の投稿でも多くいらっしゃいました。
ダブルケアをしているママはどんな問題を抱え、どんな思いでいるのか。リアルな声を集めてみました。
※ママリQとは「家族の毎日をもっと笑顔にすること」をテーマにした女性限定のQ&Aアプリです。さまざまな女性が持つ日常の疑問や雑談を匿名・無料で投稿できるので、気軽に使用することができます。
介護の大変さは体験しなきゃわかりません
息子(私の父)ももうすぐ定年を迎える年齢でだいぶ頑固になりつつあります。
本当に介護は大変です。
ショートも頼りたい所ですがお金かさみますよね…
私がケアマネに相談した時の話しですが…
父親には兄がいるのですがそこへ気分転換で行くのがいいのではないか?と言われました。
介護の大変さは体験しなきゃわかりません。
仕事でも大変なのに身内ともなればストレス半端ないです!!
まして義理の家族ですもの!!
ご無理なさらずお金の援助も難しそうですので、まずは精神科で診断書をもらい少し休暇が必要だと思います。
少しの間実家に帰ることは難しいですか??
「介護の大変さは体験しなきゃわからない」、この短い一言がダブルケアに対する負担、重圧、やりきれなさを全て表現しているように感じます。
この言葉は育児にもそのまま当てはまりますよね。いろいろと知り合いの体験談を聞き、育児書を見て知識を得たとしても、結局は生まれてきた子供と向き合ってみないと本当の育児の大変さは理解できません。
自分の実の親が弱っていく姿を見る悲しさ、元気な頃を知っているからこそのもどかしさ、こんな思いを毎日しながら並行して育児を行うということは、相当の覚悟と気力がいるのだと痛感させられます。
見捨てることも逃げることもできない、だからこそつらい
と、言っても父はほとんど入院状態。出産の時まで週一のお見舞い通いが続きました。
父の病院で破水したりして、ほんと、大変でした。
産後1月ほどで、父が転院のために3日ほどだけ自宅に帰ってきましたが、私はそれはもう産後のガルル期で、父と息子を近づけることもしませんでした。
介護しながらの育児は本当に大変ですよね。もうすでに1歳のお子様もいらっしゃるとのことなので、痛いほど感じておられると思います。
かと言って確かに見捨てることはできない、逃げることができない。だからこそ辛いと思います。
介護度変更申請はできませんか?
もっと介護度を上げてもらって利用できるサービスを増やすのも手です。
ヘルパーさんをご自宅に入れるということですが、同居だとヘルパーさんに助けてもらえる範囲が限られるんですよね…。
生活支援はできなくて、身体支援でしたかね、ができる、とか。
ケアマネさんがいらっしゃるようであれば最大限相談してみてください。
あまり、相談に乗ってくれない方であればケアマネさんの変更も可能だと思います。
妊娠中、父が家にいるときは、私がお世話をしなくてもいいように、ケアマネさんがたくさんたくさん考えてくれました。
うちの父もプライドの高い人でしたが、父のためではなく私のためだ、と。私が無事に出産して、子育てできる環境にするための支援よ、といろいろと説得してくれて、家に入ってもらっていました。
プロの方だからこそ素人ではわからない様々なプラン、抜け道を考えてくれるはずです。
頼れるものは頼ってください。
ショートステイもありますが、グループホームに入ってもらってしまうことってできないですかね。
ちなみに…。父は息子が生後3ヶ月で亡くなりました。
今は後悔でいっぱいで、その時父にとった態度を思い返すだけで、心が痛み、なんであんなことができたのかと、涙がでてしまいます。
だからと言って、その時に戻ったら父にちゃんと接するのか、と言われれば多分無理でしょう。
私はこの痛みを一生引きずって生きていくことになります。
自分がしたことの報い、仕方がないです。
どんなにつらくてイライラしても子育てだけ、介護だけを選ぶことができないのがダブルケア。精神的にも肉体的にも負担が大きく、先が見えない現実に押しつぶされてしまいそうです。
投稿者の方も言っていますが、介護に関してのサービスやプロの力を頼ることも立派な選択肢の一つです。(もちもん育児関連のサービスを利用する場合もです)
自分一人だけで全てをやりきる!と意気込みすぎて、ママ本人が体調を崩してしまっては本末転倒。頑張りすぎない、長期的になるかもしれないことを見据えて、使える・頼れるサービス類は遠慮なく利用する。自分を守りながらダブルケアをすすめていくことが大事なのだなと感じます。
大変と言って放棄できる問題ではない
私は、出産予定日が8月。
ヘルパーさん、兄、宅配弁当屋さんと、私で母の面倒を見て生活してますので3日に1回、朝から夕方まで実家と忙しい毎日です。
出産した後のことを考えると不安ですが、大切な母ですし、やっとの思いで授かった赤ちゃんと前向きに考えています。
大変と言って、放棄できる問題ではないので、成せば成るですよ〜(•̀ᴗ•́)و ̑̑
頑張りましょぅ‼︎
疲れたり、どうにもならない時は、ケアマネに相談して話しを聞いてもらいましょ〜(^^)
投稿した時点で、まもなくダブルケアをすることが確定している方からの声です。
介護に関するリズムが既に確立できていることは、ご本人にとっても非常に助かるし、気持ちにも余裕が持てますね。
ご本人も言っていますが、困ったときなど自分でため込まず、人に話して話を聞いてもらうだけでもずいぶんと心の負担が減らせて今後への活力を見いだせます。
決して一人だけで頑張りすぎない心構えでいることが、ダブルケアへ前向きに取り組める鍵なのかもしれません。
いろいろつらくても笑顔を忘れずに!と頑張っていますが…
同じく終わりのない介護に不安の日々です、お気持ち察します。
義母は介護度はまだ1ですが、正直精神的にかなりキツいです。
自分の心の安定を保つ事に凄く努力がいります。
子供の為に色々辛くても笑顔を忘れずに!と頑張ってますが、2人目が産まれたら…と考えると恐怖です>_<
半身不随であれば、介護に体力も要りますし主さんが一人で抱え切れる問題では絶対ありません。
年金、介護保険がないとなると厳し過ぎですよね、ご主人とご兄弟と話し合いの場を設けて協力し合える状況にもっていかなくては。
介護認定をとって色々プロの方に頼れるとこは頼らないと本当鬱になってしまいます。
義母はデイサービスなど利用してましたが色々問題を起こし今受け入れてくれる施設が見つかってない状態です。
毎日ストレスが溜まりっぱなしです(T_T)
小さな子供2人の育児と認知症のお義母さまの介護、どれだけ大変な状況か…と思わずにいられません。
ママの表情や態度に対して子供は本当に敏感です。だからこそ笑顔でいないと!暗い顔でいないようにしないと!と頑張ろうとする気持ちは痛いくらいに理解できます。
残念ながら少しでも負担を軽くするために行政的なサービスを利用したくても空きが無い、受け入れを拒否されて行き場が無いなどの厳しい現実があるのが、今のダブルケアの現状です。
こういった現状があるからこそ、前もって情報を得て準備できることは準備しておく、知識を得ておくことが重要なのかもしれません。
ダブルケアにきちんと向き合うためにはどうすれば良い?
自分の子供がにできることが増え、成長を感じる場面が増えるのも、実の親や義理の両親がだんだんと弱っていって老いを感じる場面が増えるのも、まぎれもなくいつかやってくる未来です。
決して他人ごとではないダブルケアという問題に直面したら、私たちはどう向き合えば良いのでしょうか。
大切なのは「自分を犠牲にしすぎない」ということなのかな、と私は思います。
我が子も親たちも大事な家族。ですが、いくら大事な家族のために自分自身を全て捧げるというのは、遅かれ早かれ身を滅ぼすことに繋がりかねません。
人に頼ることは決して恥ずかしいことでもなく悪でもありません。ときには悪態をつきたくなる、全部を投げ出したくなる気持ちになってしまうことも間違った気持ちではありません。
ダブルケアを一人で全部やりきるのはとても大変。もしつらくなったら人やサービスに頼る、少しだけ距離を置いて自分を休ませる、ダブルケアに関するSNS掲示板などで、同じ思いをしている人とネットワークを作ってみるなどしてみましょう。
同じ境遇の人は必ずいます、ひとりぼっちでは絶対にありませんよ。子供、ご両親親、義両親、そしてあなた自身が少しでも笑顔を絶やさず穏やかな日々を過ごせますように。