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男性が育休を取得できない最大の理由は職場環境

男性の育児休業取得率は近年上がってきてはいるものの、未だに一桁というのが現状です。厚生労働省は約6年前に「イクメンプロジェクト」と題した新たなサイトを立ち上げ、女性推進社会を目指すとともに男性の育児への参加を促し、男性の育休取得率を上げるべく邁進してきました。しかし、現実はかなり厳しいもの。どうしてなのか、取得できたパパと取得したかったができなかったパパの理由をデータでみてみました。

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男性が育休を取得するには

みなさんのご家庭はいかがでしょうか。現状は、まだまだ男性が育休を取得するにはハードルがかなり高い状況にあるのではないでしょうか。しかし、男性が取得できる育休の内容を知らないという方もいらっしゃるかと思います。

まずは男性が育休を取得する場合の条件と現在の取得率についてご説明します。

平成29年に育児休業法は緩和されている!男性が取得できる条件とは

書類 PIXTA

  • 同じ事業主に引き続き雇用された期間が過去1年以上である
  • 子が1歳半になる間に労働契約が満了することが明らかでない場合
  • 夫婦で取得する場合でも給付金は支給される
  • 妻が専業主婦でも取得可能
  • 子の出生日または出産予定日から取得可能
  • 子が出生した8週間以内に取得した場合、再度取得可能

上記は男性が育休を取得する際の条件と、期間などです。取得する際の条件は女性の場合と変わらず、1年以上同じ事業主で継続して勤務していることと、こちらは有期契約労働者の場合ですが、平成29年1月1日より新たに改定されて子が1歳半になるまで、労働契約が満了することが明らかでないもの、と条件が緩和されています。

給付金に関しては、平成26年4月より休業開始から半年間は給与割合が50%から67%に引き上げられています。半年後は50%になり、給与とは手取りではなく、額面になります。夫婦が一緒に育休を取得してもどちらにも支給されます。その間はどちらも所得税、社会保険、雇用保険は免除の対象となります。

夫婦で育休を取得する際には、奥さん側がまず半年間育休を取得し、半年後に夫側が育休を開始すると約1年間は給与の67%支給されることになります。取得時期などは奥さんと相談しておくと良さそうですね。

その他、妻が専業主婦である場合でも、男性は育休を取得することができます。

また男性は産休を取得することができませんので、会社へは子供が出生した日もしくは出産予定日から取得申請できます。子供が出生し8週間以内に育休を取得した場合には、子が1歳になるまでの間に再度取得することが可能となっています。

未だに2%台の男性の育休取得率

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厚生労働省が平成8年から平成27年まで調査した結果をみたところ、平成8年では男性の育休取得率は0.12%、平成19年でやっと1.56%、平成25年で2%台になり、平成27年では2.65%となっています。約18年かけてやっと2%台なのです。

平成24年から上昇傾向ではありますが、これほど国が訴えているにも関わらず、社会や企業での受け入れ体制が整っていないことが理由ではないでしょうか。

また厚労省の調査で驚いたのは、育休の取得期間です。なんと、男性の育休取得期間の約60%が5日未満、約80%が1ヶ月未満という結果があります。

男性の育休は基本的に子の出生後もしくは、出産予定日からの取得ですので、出生後すぐに取得したと考えて初産の場合、入院期間が4〜5日間。そうなると、自宅で男性はほぼ一人、奥さんが退院するころには育休が終了しています。

このような状態ですが安倍総理が打ち出した成長戦略では、2020年に男性育休取得率を13%にすることを目標にしています。果たして達成するのでしょうか。奥さんも旦那さんも満足できる内容の育児休業として、この数値を達成してほしいと私は思います。

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そもそも男性が取得する必要性はあるのか

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男性の育休取得率がこんなにも上がらないのは、社会の受け入れや企業努力は…と思いますが、もしかすると当事者たちが特に必要としていないのではないか、と思いました。

そのようなこともなく、ユーキャンが平成26年5月19日〜5月25日に20代〜40代の子供がいる男性497名に「男性の育児休業取得に関する意識調査」を行なっています。それによると、また子供が生まれるならもう一度育休を取得したいと回答した方が83.9%にも及ぶことが分かりました。

更に、その83.9%の方に男性が育休を取得するメリットを聞いたところ、子供や家族、夫婦間など家庭に関するメリットを答えた方が70%近くいました。

メリットの中でも印象深かったのが、「効率的な時間の使い方への意識向上」へ回答した方が22.2%もいたことです。子育てをしていると、時間がいくらあっても足りませんよね。働き始めると特に痛感させられます。私も毎日いかに効率よく、子供を騒がせずに1日を終えることができるか、常に考えているかもしれません。

このようにみていくと、国が積極的に打ち出していることはもちろんですが、男性が育休を取得することは何よりも当事者が求めていることであり、また女性推進社会になっていく上で、必要性が高いと言えるのではないでしょうか。

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育休を取得できない最大の壁とは

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では、先ほどの取得した2.65%の人たちと取得しなかったまたできなかった人たちと、何が違うのでしょうか。

日本労働組合が平成25年12月4日から12月9日、男性有職者1000人にパタハラに関して調査を行なっています。調査結果によると、まず育休という法律があることを知らない人が約30%も。また、その法律の内容の認知度は約43%の人が知らないと回答していることが分かりました。育休という法律を知らない人がこんなにもいるとは、驚きの結果ではないでしょうか。

そして肝心の育休を取得したかったが、できなかった理由は以下になります。

  • 職場・上司の理解
  • 経済的な不安
  • 復職への不安
  • キャリアへの不安

主に上記の4つが回答として目立っていたように思います。取得できない理由がほとんど「職場環境」に対するものです。職場の環境が、男性が育休を取得することへの最大の壁となっているのでしょう。

そのため、先ほども述べたように取得期間も5日未満とかなり少なく、復帰やキャリア、経済面などへの影響範囲を少なくしようとしているのではないかと想定できます。

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男性が育休を堂々と取れる日は来るのでしょうか

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現在、産休は働く女性の誰もが取得可能ですが、育休に関して現実には、女性でも堂々と取れるような環境ではないことが問題ではないかと感じます。女性が育休を取得する際の条件も、男性と変わりません。まずは、そこから改善するべきではないかと私は思います。

子供を産む女性は、100%育休を取得できる権利を持つべきではないでしょうか。そうなると、少しは会社の雰囲気が変わるのではないかと感じます。

子供が生まれるということは、家族にとっても社会にとっても素晴らしいことです。にも関わらず、キャリアや給与への影響を心配し、同僚や上司の顔色を伺わないと我が子の出生が喜べない職場環境が多いのが現実です。

子供は女性だけでなく男性も含め家族で、またその家庭を支えられるように社会や企業が動き出すことができれば、男性も育休を堂々と取れる日が来るのではないでしょうか。

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