わが子の夜間・休日の病気、対応に迷ったとき
夜遅い時間帯や、日曜・祝日、お盆や年末年始など病院がお休みのときに子供が発熱した、ぐったりしているというようなことはありませんか?
月齢が低い子供ほど、病的な急変は不安に思えますよね。小児科の診療時間であれば駆け込むこともできますが、病院がお休みの日はどうしよう…と不安ばかりが先行してしまいます。また、その状況を見て不安が押し寄せている中、子供から具合が悪いことを泣いて訴えられると、さらにパニックに陥ってしまうことも。
休日当番医や夜間休日診療センターなどが自治体で整備されていることもありますが、地域によって対応は異なります。なかには引っ越して来たばかりで情報がないという方も。
だんだんと不安が募り、救急車を呼んだ方が良いのでは…?と迷うこともあります。
まず、落ち着いて!「#8000」で相談をしてみましょう
小児救急電話相談事業「#8000」というものがあります。
これは、小児科受診対象となる15歳未満の子供をもつ保護者が、休日や夜間に子供の病気へどのように対処すべきか、早急な受診の必要度や緊急性が高い疾患の可能性があるかなど判断に迷ったとき、小児科医や看護師へ電話相談ができるというものです。
固定電話や携帯電話からアクセスできる短縮電話番号「#8000」をプッシュすると、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送されます。担当する小児科医や看護師が子供の状況を聞き取り、ホームケアの方法や病院受診をすすめるなど適切なアドバイスをしてくれます。
- 厚生労働省「小児救急電話相談事業(#8000)について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html,2018年4月6日最終閲覧)
地域によって実施時間帯が異なります
「#8000」は全国でシステムが網羅されていますが、都道府県によって実施時間帯が異なります。
主に夜間帯の実施ですので、こちらのリンクボタンからお住まいの都道府県の実施時間帯を確認されることをおすすめします。
- 厚生労働省「小児救急電話相談事業(#8000)について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html,2018年4月6日最終閲覧)
電話をする前に、メモ書きをしておくとスムーズです
わが子の急変に、救急車を呼ぶか病院受診をした方がよいのか分からないと悩んだらまずは一呼吸。
まずはママが落ち着きましょう。「かわいそう、どうしよう」という気持ちは一旦忘れ、子供の様子をしっかり確認してくださいね。
電話の担当者に子供の様子を伝えられるよう、以下をチェックしてからかけるとスムーズです。
- いつから(例:2時間前から、朝起きたときからなど)
- どのような症状(例:熱が○度まで上がってぐったりしている、転んだときに頭を打ったようだ)
- 今の子供の状態(例:名前の呼び掛けに反応する、言動が変、ぐったりしている、熱はあるが機嫌が良いなど)
- かかりつけの病院の有無、既往症(アレルギーや先天性の病気など)があるかどうか
- 子供の月齢など、母子手帳が手元にあれば出しておくとなお良い
合わせて覚えておきたい救急相談センター「#7119」
総務省や消防庁には救急安心センター事業が展開されています。その中で「#7119」と呼ばれる救急相談センターがあるのをご存じでしょうか。
こちらは子供だけでなく家族に急な病気やけがなどが起きた際、救急車を呼ぶべきかホームケアで対処・もしくは病院を受診すべきなどを相談できる電話窓口です。
この電話を担当する専門家から、緊急時の判断や応急手当の方法など適切なアドバイスが受けられるほか、お住まいの地域にある適切な医療機関(胃腸科や内科、総合内科や外科などの診療科目を含む)を案内してくれます。
状況によっては「救急車の要請」「民間搬送事業者(介護タクシーなど)」「家族が医療機関へ連れて行く」などのアドバイスなどももらえます。
- 総務省消防庁「#7119(救急安心センター事業)の全国展開」(https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/2904_20.pdf,2022年5月3日最終閲覧)
「#7119」と「#8000」二つの違いは?
「#8000」は厚労省の政策の一つで、乳幼児~小児科受診の対象となる「15歳未満の子供の病気やケガ」に関する相談電話です。
一方で「#7119」は総務省の政策となり、子供ももちろんよいですが大人の病気やケガに関する相談電話となります。「夫の体の調子が悪いようだ」「同居の両親の様子がおかしい」というようなときにも連絡できます。
- 総務省消防庁「#7119(救急安心センター事業)の全国展開」(https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/2904_20.pdf,2022年5月3日最終閲覧)
「#7119」は実施地域が限られています
「#7119」は対象地域が限られています。お住まいの地域に「#7119」があるかどうかは、都道府県のホームページなどで知ることができます。開設時間も都道府県によって異なりますので、確認してくださいね。
2018年4月時点で「#7119」を実施している地域は次の通りです。なお、市町村レベルの自治体に限定されていることもあります。
※ダイヤル回線やPHSなどからは「#7119」はつながらない地域があるのでご注意ください。
- 宮城県
- 埼玉県
- 東京都
- 大阪府
- 奈良県
- 福岡県
- 新潟県
- 北海道札幌市周辺
- 神奈川県横浜市
- 兵庫県神戸市
- 和歌山県田辺市周辺
この他、独自の番号で展開している「救急相談電話」を山形県、栃木県、香川県、千葉県で行っています。
こちらは24時間体制ではありません。県のホームページでご確認くださいね。
- 総務省消防庁「#7119(救急安心センター事業)の全国展開」(https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/2904_20.pdf,2022年5月3日最終閲覧)
覚えておくと便利。救急車要請時の注意と準備しておきたいもの
万が一救急車を要請することになった場合、「どうしよう」が先だってしまい、なかなか次の行動に移せない場合があります。救急車を呼ぶときは119番をかけますが、データ専用SIMを利用したスマホやIP電話(050から始まる番号)などからは119番通報ができません。
お手持ちの電話から119番発信ができるかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。光回線などインターネット回線を利用した電話回線を新規契約する際、「119・110番発信はできますか?」ということもチェックしてくださいね。
まずは落ち着いて行動がとれるよう、シミュレーションしてみましょう。ここでは、救急車を呼ぶときに覚えておきたいことと、救急車に同乗するときに持っておいた方が良いものをまとめました。
人手があるときは救急車を誘導しよう
住宅地などは住所をきちんと伝えても、救急車がなかなか到着できないということがあります。もし、介抱者以外に人手がある場合は、近所まで出て救急車を案内することで到着までの時間を短縮できることがあります。
筆者も救急車を案内した経験があります。救急車が見えたとき「ここですよ」ということを知らせるために両手を挙げて大きく振るとよいです。夜間などは白いタオルを振り回すことで伝わりやすくなります。
ただし、車も通行する道路に出ての案内となる場合が大半です。気持ちが動転しがちなときの誘導となりますので、事故には十分気を付けてくださいね。
- 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」(https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf,2019年12月26日最終閲覧)
救急車に同乗するとき用意したいもの
救急車を要請したら、救急車が到着する間に次のものを準備しておくとよいです。
- 保険証や病院の診察券
- 財布
- お薬手帳
- 靴、上着
- 母子健康手帳
- 紙おむつ
- 哺乳瓶
- タオル
救急車に乗せられるときは着の身着のまま。同乗する家族もすぐに飛び乗ることになると思います。
処置後の経過が良く帰宅許可が下りたとき、気付いたら「はだしとパジャマ」ということも。寒い中帰宅することも考えられますので、自分と子供の靴と羽織物も持参しましょう。また、処置の過程で汚れたり、服を破いたりすることも考えられます。余裕があれば下着を含む着替えを一式準備できると良いかもしれません。
筆者が救急車のお世話になったとき、はだしで帰宅しました。救急車に同乗せず車で後を追いかけた夫も「靴までは気付かなかった」と言います。
なぜ夫が自家用車で救急車を追いかけたのかというと、救急隊員の指示とのことでした。「帰宅の際や入院となったときに車での移動が必要になりますよ」と声をかけてもらったそうです。
哺乳瓶は、完全母乳の場合でも準備しておくと良いですね。タオルなどを持っておくと、なにかと重宝するかもしれません。
- 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」(https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf,2022年5月3日最終閲覧)
救急隊員にはこのようなことを伝えましょう
搬送先の決定をスムーズにするため、救急隊員に患者の状態を伝える必要があります。
- 事故や具合が悪くなった状況
- (救急車を呼ぶきっかけとなったときから)救急隊が到着するまでの変化
- 実施した応急手当の内容(119番の司令員に指示されたことなど)
- 具合が悪い方の情報(名前・年齢・性別・持病、かかりつけの病院情報・普段飲んでいる薬・医師の指示など)
気持ちが動転している状態が続きうまく伝えられないこともありますが、救急隊員さんは的確に質問を投げてくれます。落ち着いて答えてくださいね。
また、持病がある方は病名やどのような症状に陥りやすいか、かかりつけクリニックの連絡先や普段飲んでいる薬などの情報をメモ書きにして分かりやすいところに貼っておくことも一案です。情報を家族で共有できるとスムーズですね。
- 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」(https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf,2022年5月3日最終閲覧)
子どもの親、そして家族の対応が大事
「なんかいつもと違うな」といったママパパの直感が、わが子の病状を見分けるきっかけとなります。普段一緒にいるママだからこそ感じることを大事にしてください。
また、熱が出てかわいそう、どうしよう…とおろおろする前に、「私はどうするべきか」に考えを切り替えます。わが子だけではなく、家族の突然の病気やけがのときも同様です。こんなとき、先述の「#8000」や「#7119」も役立ちます。
「家で様子を見ることでしのげたかも」「結局は翌日小児科に通院したため2度手間だった」ということもあります。こんなとき「#8000」を利用すると、朝までしのぐためのアドバイスをしてもらえることもありますよ。ママやパパは看護師など担当者に話を聞いてもらえるだけでも気持ちが落ち着くはずです。
あせらないためには「最寄りの休日当番医」「休日夜間急患センターの場所」などをチェックしておくほか、リンク先に示した「ためらわず救急車を呼んで欲しい症状」なども覚えておきましょう。
救急車も地域によって配備されている台数はまちまち。必要とする方のところに適切に出動できるよう、ママパパの観察眼を大事にしてくださいね。