乳児用液体ミルクが解禁!
厚生労働省は、平成30年8月8日に食品衛生法を一部改正。国内における乳児用液体ミルクの製造・販売を可能にする規格基準を定めました。これによって、これまで海外からの輸入品を購入するしか手立てがなかった「乳児用液体ミルク」が日本で製造・販売可能に。
このことについて、実際に乳幼児を持つママやパパはどのようにとらえているのでしょうか。江崎グリコ株式会社では、「乳児用液体ミルクに関する調査」を行いました。
その結果、乳児用液体ミルクについてまだまだ知られていないながらも、「使ってみたい」という声が高いことがわかりました。
調査概要
- 調査対象:現在授乳中(0~12か月)の授乳中の子を持つ人(パパ:300名、専業主婦:350名、有職ママ(※育休を含む):350名) 計1.000名
- 調査日:2018年7月12日(木)~14日(土)
- インターネット調査:全国
- 調査主体:江崎グリコ株式会社
- 日本経済新聞社「液体ミルクの国内製造可能に 省令改正、市販は19年以降」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33898070X00C18A8CR8000/,2018年9月8日最終閲覧)
- 厚生労働省「厚生労働省令第百六号 改正」(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H180809I0080.pdf,2018年9月8日最終閲覧)
乳児用液体ミルク販売、ママやパパはどう思う?
食品メーカーの江崎グリコ株式会社が、全国の授乳中のママやパパを対象に「乳児用液体ミルク販売」に関する意識調査を行いました。
改正省令が施行され、条件を満たした商品が認可されれば2019年以降市場に「国内生産の乳児用液体ミルク」がお目見えすることになります。けれど、このような商品があることに関する認知度は低いことがわかりました。
日本における現状の育児用ミルクは、国内生産のものに限ると、まだ粉末の商品しか販売されていません。海外製のものであれば少しずつ日本の市場に出てきてはいますが、日本が定めた基準とずれているところもあり、供給が安定していないのが現状です。
乳児用液体ミルクよりも粉ミルクがまだまだメインとなっている日本ですが、災害時における「水の確保がままならない」という事実のほか、「ワーキングママ」を推進している昨今、あらかじめ調整された乳児用液体ミルクの国内生産品を商品化し販売を推し進める動きが出ています。
では、そのアンケート結果を詳しくみていきましょう。
1.認知度は約3割、ただし使用したいという声は5割以上
上のグラフは「乳児用液体ミルクに関して知っているか」という問いの回答をまとめたものです。
「知っている」という声は3割程度にとどまり、「全く知らない、詳しくは知らない」という声が7割ほどに上りました。
筆者も子育て経験者ですが、今回の報道で初めて乳児用液体ミルクという存在を知ったばかりです。
概要がわかれば「使ってみたい」と思う人が多数
育児用液体ミルクがどのような製品であるかという概要を説明した後で、「液体ミルクを使ってみたいか」という質問をしました。
「使用してみたい」という回答は5割強。製品化されていない状態ですので「どちらともいえない」という声も3割ほどありましたが、実際に授乳を行っているママやパパは液体ミルクに興味を持ち始めたことがわかりました。
2.使用してみたいシーンは、「外出時の授乳」1位「災害時などの緊急時」が2位
「液体ミルクをどういった場合に使用したいか」という質問では、「外出時の授乳」という声が最も多く、2位が「災害時の緊急時」、3位が「夫や家族に子供を一時的に預けるとき」という結果に。
液体ミルクを実際に使ったことがない状態ですので、想定される場面は限られているかもしれません。
また、この答えからも外出や災害時以外の普段の生活においては、「母乳や粉ミルクをなど、これまでの授乳方法を優先させたい」ということが伝わってきます。
お出かけ先で母乳が難しい場合や、お湯が使える場所があるとは限らない
筆者も乳児を育てていたころ、母乳を与えるときが体力的に厳しいことがあり、外出中に授乳場所を探すことが大変に思えました。
また、湯冷ましや哺乳瓶、小分けにした粉ミルクなどを持ち歩くのも大変ですよね。
最近は、ミルク用に温度調整されたお湯を提供してくれるお店や赤ちゃんルームも増えてきましたが、新幹線や飛行機での移動など、場所によっては授乳が難しいと感じる場面だってありますよね。
粉ミルク用のお湯を用意したり、調合する場所や時間がないようなときは、液体ミルクがあれば便利なように思えます。
3.乳児用液体ミルクの商品化で気になるところは「常温での長期保存」
今後「乳児用液体ミルク」が商品化された場合、どういったところが気になるか聞いてみたところ、「保存性」「経済面」「衛生面」といったところが気になることがわかりました。
中でも、6割もの人が「常温で長期保存ができるか」といったところが気になっています。
また「手ごろな価格か」「飲ませるときの手間」や「衛生的に使えるか」といった面も気になっていることが浮き彫りとなりました。
保存性の高さが鍵
先の質問で液体ミルクを使いたいときは、ママが直接授乳にたずさわれないときや、お出かけのときという意見が多く出ていました。
また、災害時の備蓄や突然のおっぱいトラブルの代打として備えておきたいと考えるのも自然ですよね。その反面、保存料などが含まれていたら子供に飲ませたくないと思ってしまうことだってあるでしょう。
また、液体ミルクが高額であれば、緊急用や保存用と位置付けても普及しにくいかもしれません。
こういった点は、これからメーカーの開発に期待したいと筆者は思いました。
乳児用液体ミルクに対するママリのママたちの関心度は?
妊活・出産・子育て女性のためのアプリ「ママリ」でも乳児用液体ミルクに関する話題が取り上げられました。
ママたちは報道に対してどのような反応を示したのでしょうか。
1.産後の災害備蓄用に購入しました
8月8日に解禁されて、各メーカーがこれから研究、開発していく段階なので、販売は最短で来年夏以降と言われてるみたいです。長いと再来年かも…ネットでも売ってますけど、一本あたり500円以上とかする場合もあるので個人輸入が安くておすすめですよ!
温め、加水不要ですぐあげることができます。
このコメント主さんは、海外製の製品を個人輸入されたようです。
加温の必要なく、お湯や水を加えずにすぐ使えるという点では安心ですよね。緊急時にも役立ちそうです。
2.不安があります
フィンランドやデンマークでは、1970年代には乳児用液体ミルクが普及していたそうです。現在ではおよそ9割の人が、母乳の代替栄養として液体ミルクを使用しているとのことでした。
海外では主流となっていますが、日本では「これから開発段階」という発展途上の状態。どのような商品になるのか、まだまだ分かりません。このコメントは、子育て世代のママとしての本音だと筆者は思いました。
3.自分の子育て時代に欲しかった
不思議な物です。飲ませたことないからピンとこないです。
でも、もう必要なくなっちゃたけど、あんまり高くないなら、夜の授乳に使いたかった。
上の子2人が完母で、初めて3人目がミルクでしたが、夜中に目を覚まし、頭を起こして、それからミルクを作り、熱湯を扱う。
とにかくしんどかった。
夜、泣いたら、乳首付けてさっと飲ませられたらどんなに楽か。
使えてたら、私のしんどさも、少し減ってたのになぁと思います。
産後ママが一番「しんどい」と思うことの一つに、夜の授乳があるのではないでしょうか。特に3人目の出産になると、昼間に上の子供2人の相手で疲れているうえに、夜間何度か起きて調乳しなければいけないというのは本当に厳しいもの。
これは筆者も経験したので、痛いほど気持ちが分かります。睡眠不足で体調を崩すこともあるので、あらかじめ調乳されている液体ミルクで、さっと飲ませてあげられるのはママの負担も軽減できそうです。
先輩ママたちの声を拾い上げると、日本は育児用ミルクに対して遅れをとっていることがうかがえます。
4.しばらく静観します
性能確認や実験をしていても、商品化されて消費者が使う段階の母数には程遠い事が多いですので。
液体ミルクも、育児用品として定着するまでは次の子が生まれても使わないつもりです💨
実際あると便利なのかもしれませんがね^ - ^‼️
新しいジャンルの商品が発売されるとき、目新しいものはすぐに手に入れる方と市場にしっかり定着するまで待つという方に分かれることがあります。
このコメント主さんは、後者の人であることがわかります。また、もし2人目が生まれたタイミングで製品化されても、ちゃんと定着していないようであれば使わないと決めている様子。
大事なわが子の命をつなぐミルクなので、石橋をたたきたくなる気持ちが伝わります。
5.海外では日常的に使っています
液体ミルクは日常的に使われてます。もちろん日本人のママさんたちも!!外出の時にはサッと取り出してあげていました。私は完母のため、ほぼ使ったことはありませんでしたが、日本に一時帰国した時に親に預けて美容院や用事の時には飲ませてました。
賛否両論あるかもしれませんが、ベビーフードをあげる人もいればあげない人もいる。みたいな感じにしか思ってませんでした😅ベビーフードも賞味期限長いですからね~
海外在住の日本人ママたちは、液体ミルクが重宝しているようです。日本に帰国したときなどは、液体ミルクを海外から持参して使っていたそうです。
筆者は、瓶詰めやレトルトのベビーフードに液体ミルクを置き換えて考えてみました。確かに、市販のベビーフードのように液体ミルクを置き換えるとすんなりと受け入れられるかもしれません。
不安があるという声もある中、見方を変えてみることもよいと思いました。
今後の開発・商品化を見守っていきましょう
現時点では、海外製の液体ミルクを輸入することはできます。けれど、日本の基準と海外の基準は、さまざまな観点から異なることが多いため、食料品店などで輸入品を市販することはできません。
海外の人たちは、現地で販売されている液体ミルクが重宝しているという声があったので、日本でも育児中のママの負担を少しでも軽減できる望みになるかもしれません。けれど、まだまだ日本では発展途上の段階。これからの製品開発が待たれます。
赤ちゃんを育てるには、ママの負担軽減も必要です。液体ミルクも育児の場面で広く受け入れられる存在になってほしいと筆者は思います。