監修:小山寿美江 先生

【医療監修】子宮腺筋症とは?診断や治療の方法と妊娠への影響

子宮腺筋症は、症状そのものや症状が出る部位が子宮筋腫や子宮内膜症と似ているため、違いがわかりづらいかもしれません。診断には検査を受ける必要がありますが、根治できる病気なのか、治療後妊娠できるのかが気になりますよね。この記事では、子宮腺筋症とはどのような病気なのか、治療方法や妊娠はできるのかについてご説明します。

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子宮腺筋症とは?

子宮腺筋症は、子宮内膜が何らかの原因で、子宮の壁にある筋肉層の中に増殖する病気です。子宮腺筋症には子宮全体が肥大化する「びまん型」と、子宮壁が部分的に厚くなる「腫瘤形成型」に分かれていて、子宮内膜組織が子宮筋層に入り込むと、生理のときに患部から出血が起こすことがあります。

30代~40代で主に出産経験がある人に起こりやすく、生理周期を重ねるごとに生理痛がひどくなってくることや出血量が増える過多月経などの症状が特徴です。

子宮腺筋症と診断された人の約50%が子宮筋腫を、約10%が子宮内膜症を合併していますが、女性ホルモンの分泌によって起こるため、出産直後や閉経した後は症状が落ち着くことがあります。

出典元:
  • 井上裕美(監)「病気がみえるvol.9婦人科・乳腺外科」P130-131(メディックメディア,2015年)
  • 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017」P94-96(日本産科婦人科学会,2017年)
  • 徳洲会グループ「病気の治療」(https://www.tokushukai.or.jp/treatment/gynecology/sikyu3.php,2019年2月13日最終閲覧)
  • さくら女性クリニック「『子宮腺筋症』は女性のQOLを低下させます。」(http://sakuracl-chitose.com/column/file10.html,2019年2月13日最終閲覧)

子宮腺筋症の診断と費用

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子宮腺筋症の診断には問診や内診、超音波検査、MRI検査を行います。検査にかかる費用は保険が適用されますが、気になる場合は医療機関に問い合わせてみるとよいでしょう。

問診、内診

子宮腺筋症は、問診や内診よって診断することが可能です。ひどい生理痛や過多月経など典型的な症状がみられ、内診で子宮全体の肥大や弾力性が確認できた場合は子宮腺筋症を疑います。

超音波検査、MRI検査

子宮腺筋症は、症状がよく似た子宮筋腫を合併することがあります。子宮筋腫と区別するためには超音波検査やMRIなどの画像診断による診断が必要な場合もあります。

子宮の正常な筋肉層と病巣の境界線が明瞭な腫瘤であれば子宮筋腫、不明瞭な腫瘤であれば子宮腺筋症と判断することができます。

血液検査

血液検査だけでは子宮腺筋症の診断をすることはできません。ただし内診や超音波検査で子宮の肥大化が確認されていて、子宮筋腫との区別が必要な場合は、血液検査による「CA125」の値が子宮腺筋症の診断に役立ちます。

CA125は、本来卵巣がんの診断の際に確認される値ですが、子宮腺筋症を発症した際も高い数値が出ることから診断するための判断材料となります。

出典元:

子宮腺筋症の治療方法

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治療は、主に薬物療法(保存的治療)と手術療法(外科的療法)の二つです。薬物を用いた対症療法では、症状の緩和は期待できるものの根治には至りません。根治を望む場合は子宮全摘術を行うのが一般的ですが、年齢や症状、妊娠希望の有無などを考慮して、それぞれに合った治療を選択します。

薬物療法

  • 鎮痛剤
  • 低用量ピル
  • GnRHアゴニスト
  • ディナゲスト(黄体ホルモン)
  • プロゲスチン配合剤

薬物療法には、生理痛など痛みを緩和させるための鎮痛剤や低用量ピルの服用、病巣の増殖に影響するエストロゲン(卵胞ホルモン)の値を下げるための薬を投与するホルモン療法があります。

鎮痛剤を使用する際は、効果が人によって異なるため自分にあった薬を探すことも大切です。

鎮痛剤による痛みの緩和ができない場合は、低用量ピルやホルモン療法を行うことになります。ホルモン療法では、卵巣から分泌される女性ホルモンの分泌量を抑え、一時的な閉経状態を作ることで病巣を縮小させます。ただし、副作用などにより治療の継続が難しいときは手術療法による治療を検討します。

手術療法

手術療法には、病巣部分のみを腹腔鏡術(ふくくうきょうじゅつ)もしくは開腹手術で切除する「子宮腺筋症切除術」と、子宮そのものを摘出する「単純子宮全摘術」の二つがあります。

薬物療法の効果が見られない場合は、病巣を手術で切除する手術療法を行いますが、病気の根治をはかるためには単純子宮全摘術を行うのが効果的です。将来的に妊娠を望んでいる場合は、子宮腺筋症切除術を行います。

ただし子宮腺筋症の手術は難易度が高く、術後半年~1年程度は妊娠することができません。そのためリスクを考えた上で治療を検討する必要があります。

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子宮腺筋症でも妊娠は可能?

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子宮腺筋症になると、妊娠率の低下や妊娠しても流産率が上昇するリスクがあるものの、妊娠する力を失っているわけではないため妊娠することは可能です。

子宮腺筋症が不妊の原因となっているようであれば、治療することでその分妊娠する確率は上がります。

正常な子宮筋層と異常な子宮筋層の見分けがつきにくいため再発する可能性もありますが、治療後約40%の人が妊娠に至っています。

妊娠したら症状はどうなる?

子宮腺筋症を持ったまま妊娠した場合は、妊娠中に腹痛や子宮収縮が起こって切迫流産や切迫早産が起こることがあります。通常の妊娠よりも胎盤への血流が悪くなりやすく、胎児の発達にも影響することがあるため、下腹部痛や出血などに注意しながら慎重に経過観察することが重要です。

また、治療で子宮腺筋症の病巣を切除した後に妊娠すると癒着胎盤を起こす可能性や、経過によっては出産時に帝王切開を行う必要も出てきます。

出典元:

医師と相談して自分にあった治療方法を!

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子宮腺筋症は、妊娠、出産を経験したことがある30~40代の女性がかかりやすい疾患です。診断された場合、薬物療法や手術療法によって治療が必要となりますが、治療後は個人差があるものの妊娠することも可能です。

治療の方法は年齢や症状によって選択肢が異なるため、治療後妊娠を望むのかどうかを伝えた上で、医師と相談しながら治療方法を決めていけるとよいですね。

※この記事の情報は2019年3月4日現在のものとなります。最新の情報は医療機関へ受診の上、医師の診断に従ってください。

記事の監修

六本木レディースクリニック院長

小山寿美江 先生

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