派遣社員でも産休や育休は取得できる?
派遣という雇用形態を選択する女性が増える中、その待遇にも変化が見られています。育児・介護休業法改正により派遣社員であっても、条件を満たしていれば正社員として働く女性と同様に休業を取得することが可能になります。
しかし可能とは言え、派遣先の会社に相談したら「産休・育休は正社員だけ!」という返事が返ってくることもあるでしょう。
そんな理不尽な状況を打破すべく、派遣社員の産休・育休の知識をしっかり持って正当な待遇を受けましょう!
産休・育休を取得できる条件
産前休業と産後休業を合わせて「産休」とよびます。産休の条件は「労働している女性」であり、雇用形態は関係ありません。妊娠の報告を会社にした上で請求すれば、産前休暇・産後休暇ともに取得することができます。
産前休業については出産予定日の6週間前から、多胎妊娠(双子以上)の場合は、14週間前から取得することができます。産後休業については、労働基準法により出産の翌日から8週間は就業できないこととされていますが、産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が認めた場合は就業可能となります。
育休に関しては、有期雇用契約労働者の場合条件がありますが満たしていれば派遣社員でも取得することができます。
- 厚生労働省「あなたも取れる!産休&育休」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf,2018年6月11日最終閲覧)
派遣社員が育休を取得する条件
有期雇用契約者が言う急を取得する条件は以下になります。
- 原則として1歳に満たない子供を養育する男女の労働者
- 同じ会社に過去1年以上継続して雇用されていること
- 子供が1歳6ヶ月に達する日まで、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
最後の条件に関して、子供の預け先がなく復職が厳しい場合など、復職できない理由があり育休を2年まで延長するときは子供が2歳に達するまで労働契約の期間が満了することが明らかでないことが条件となります。
さらに、上記の条件を満たしていても労働組合が運営する労使協定で定められた一定の労働者は育休を取得することができません。
その条件は以下になります。
- 継続した雇用期間が1年に満たない労働者
- 育休の申出日から1年以内に雇用関係が終了する労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
会社側は、要件を満たしている労働者の育児休業を原則として拒むことはできませんが、上記にあてはまる労働者であれば育休の申出を拒まれることがあります。またこれらは男女ともに同じ条件です。
育児休業給付金を受給する条件
育休を取得する条件と給付金を受給する条件は異なります。育休を取得できても給付金が受給できるわけではないので注意しましょう。育休の給付金を受給する条件は以下になります。
- 育休を開始日の過去2年間に被保険者期間が賃金支払日数が11日以上かつその月が1年以上の労働者
- 同じ会社で継続して1年以上の雇用があること
- 子供が1歳6ヶ月まで労働契約が更新されないことが明らかでないこと
被保険者期間とは、社会保険料の加入期間になります。上記の条件を満たしていれば、派遣社員でも育休を取得し給付金を受給することができます。またこれらは男女ともに同じ条件です。
- 厚生労働省「あなたも取れる!産休&育休」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf,2018年6月7日最終閲覧)
- 厚生労働省「育児休業制度」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/34_06.pdf,2018年6月7日最終閲覧)
- 厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html,2018年6月7日最終閲覧)
産休・育休を取得した際の職場ハラスメントに要注意
会社が、労働者の妊娠・出産・産前産後休業を取得したことなどを理由として労働者を解雇したりすることは法律で禁止されていますが、「前例がない」と言われたり派遣を打ち切られたりするといったトラブルの可能性は否定できません。
また法律だからと渋々休業を認めたものの、復帰の際にあからさまに嫌な態度を取られるケースも、ハラスメントの事例として紹介されています。
しかし、妊娠・出産を理由とした解雇は法律によって禁止されていますし、いやがらせ(ハラスメント)は、会社の窓口や会社以外の機関(都道府県労働局)に相談することが可能です。また、平成29年から、会社の事業主はハラスメントに対する防止措置が義務化されます。
妊娠や出産に関する働き方に関しては、国の制度も着々と変わっていっています。会社側とトラブルが起きたとしても、法律や制度で決まっているので泣き寝入りをするのではなく、国や会社の担当のところへ積極的に報告・相談しましょう。
- 厚生労働省「職場でつらい思いしていませんか?」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000135906.pdf,2018年6月7日最終閲覧)
派遣社員であっても、産休・育休を積極的に活用しましょう
派遣社員が産休や育休を取得できるようになってまだ日が浅いため、知らないままでいる人も多いのではないでしょうか。知らないからと取得しないのは大変勿体ないことだと思います。
多様な働き方が広まっている現在は、こうした国の制度を上手に活用していきましょう。そうすることで、今後ますます派遣社員が働きやすくなっていくはずです。
ただし、産休や育休を取得できるかどうかの条件については、分かりにくい場合があります。厚生労働省のパンフレットなどにわかりやすくまとめられていますので、参考にするとよいでしょう。