赤ちゃんと過ごす時間は幸せな反面、二人きりの時間が長く続くと疲れもたまりつらくなることがあります。産後うつとは、産後4週間または6週間など定義はさまざまですが、産後1年間に生じるあらゆるうつ病性障害を産後うつと呼ぶのが一般的です。
漢方医学的に、出産はたくさんの「気(エネルギー)」と「血(栄養分を全身に運ぶもの)」を消耗するため、産後に精神疾患が出るのはやむなしとも考えられます。
うつ症状にもさまざまあり、不安感や不眠、動悸(どうき)や冷え性に悩む方には胃腸を整え、気力と栄養分を補い不安感や不眠を軽減する生薬の含まれた漢方薬が適しています。さらにイライラやほてりなどの症状があれば、さらに熱を冷ます生薬の含まれた漢方薬が使われることもあります。
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p88,104(主婦と生活社,2016)
- 秋葉哲生「改訂 洋漢統合処方からみた漢方製剤保険診療マニュアル ハンドブック版」P352〜P358(ライフ・サイエンス,2006)
イライラ
産後は疲労に加え、ホルモンバランスの急激な変化のためイライラの症状も出やすくなります。イライラの状態は漢方医学的には「気」の巡りが悪い状態と捉えます。漢方薬では「気」の巡りを良くして興奮を抑える処方や、冷えやのぼせなどの症状もある方は「気」と「血」の巡りも整える処方が使われることがあります。
- 秋葉哲生「改訂 洋漢統合処方からみた漢方製剤保険診療マニュアル ハンドブック版」P352〜P353(ライフ・サイエンス,2006)
- 厚生労働省「妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-001.html,2020年10月26日最終閲覧)
漢方を服用する上での注意点
漢方薬は、授乳中のさまざまなトラブルの解消に役立つことがわかりましたが、服用する上での注意点があります。漢方薬について正しく理解した上で服用したいですね。
漢方を飲むタイミング
漢方薬の吸収を良くするため、基本的には空腹時に服用することが勧められています。食前(食事の30〜1時間前)または食間(食事と食事の間のことで食後2時間くらい)に服用してくださいと指示されることが多いでしょう。
しかし、授乳中のお母さんは忙しくてつい飲み忘れてしまうこともあると思います。そういった時には、目安として4時間以上あいていれば気付いた時に服用しても構いません。効果をしっかりと出すためにも、決められた回数、量を1日のうちにしっかり飲み切るようにしましょう。
- 日本医事新報社「服用タイミングと飲み合わせによる漢方薬の有効性の違い」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3768,2020年10月21日最終閲覧)
- 田中良子(監)「薬効別服薬指導マニュアル」996(じほう,2020)
漢方の正しい飲み方
基本的には白湯で飲むことをお勧めします。可能であればコップ半分程度の白湯(100cc程度)に漢方薬を溶かし、煎じ薬のようにして飲むと香りが立つのでより薬効を得ることができます。苦くて飲みにくい場合は、少量のはちみつを混ぜると飲みやすくなりますよ。
しかし、処方によっては冷たい水で飲んだ方が良い場合もありますので、その都度かかりつけ医や薬剤師に確認しましょう。
- 日本医事新報社「服用タイミングと飲み合わせによる漢方薬の有効性の違い」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3768,2020年10月21日最終閲覧)
- ウチダ和漢薬「五十音順検索 【蜂蜜(ハチミツ)】」(https://www.uchidawakanyaku.co.jp/tamatebako/shoyaku_s.html?page=191,2020年10月26日最終閲覧)










