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大人の発達障害「もしや私も?」と不安になったときにこそ知ってほしいこと

近年話題になっている、大人の発達障害。育児や家事がどうもうまくいかないとき「もしかしたら、自分に何か問題があるのかも」と感じることはありませんか。「インターネットでセルフチェックをしたら、該当する点が多くて不安になった」そんな方もいるかもしれませんね。この記事では、漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』のワンシーンを参考に、大人の発達障害と診断について、児童精神科医の三木崇弘先生にお話を伺います。

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

大人になってから発達障害だとわかる人がいる

家事と育児の段取りが苦手、子どもとの外出時に忘れ物をしてばかり……。そんな状況から「自分には何か問題があるかも」と不安を持つことがあるかもしれません。

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

児童精神科を舞台とした物語『リエゾン―こどものこころ診療所―』(以下、『リエゾン』)の主人公も、大人になって発達障害に気づいた一人。研修医として働き始めてからミスの多さに悩んでいたころ、自分が「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」であると指摘を受けます。

発達障害は学齢期までに診断されるイメージを持たれやすいものですが、成人になってから診断されるケースもあるといいます。今回は、『リエゾン』を監修した児童精神科医の三木崇弘先生に、大人の発達障害について伺いました。

「もしかして発達障害?」そう思っても自己判断はやめて

子育て世代が子どもだった頃は今ほど発達障害が広く認識されておらず、見過ごされてきたケースもあるようです。

そんな世代が大人になり、仕事のミスが多い、計画通りに物事を進められない、忘れ物が多い、対人関係が苦手……といったことをきっかけに「もしかしたら、発達障害かもしれない」と感じ、受診するケースがあると、三木先生は言います。

セルフチェックは占い程度に

以前よりも「大人の発達障害」という言葉が世間に浸透する中で、三木先生は少なからず疑問を感じていると話します。

「発達障害は、血圧や血液の数値のように、明確に異常とわかる数値がありません。対人関係などは主観的なもので、判断が難しいケースも多いです」

医師にとっても難しいという、発達障害の診断。そんな中で、さまざまなメディアなどで、発達障害のセルフチェック表が入手できるようになりました。三木先生はこうしたチェック表について「自分で発達障害かどうかを見極めることは難しい」と語ります。

『リエゾン』第2巻でも、主人公の友人がセルフチェック表を目にするシーンがありました。

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

「セルフチェックの結果はコンディションに大きく左右され、あまり意味がありません。しかも、チェックリストは往々にして『人の目が気になる』『約束や用事を忘れることが時々ある』といった誰にでも当てはまりそうな項目が多い。

そのときによって一時的に当てはまるケースもありますし、それが障害によるものか判断することは難しいでしょう」(三木先生、以下同)

発達障害の診断には専門家の診察が不可欠で、セルフチェック表は「性格診断」程度に考えておいたほうがいいと、三木先生は話します。

子どもの夜泣きが続いた、あるいはママ友関係に疲れてマイナス思考に陥っているなど、心身のコンディションが悪いときには特に、セルフチェックからは距離を置いたほうがいいかもしれません。

相談はカウンセリングルームや、身近な人でもOK

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

もし、子どもとうまく関われなかったり、家事などで失敗したりする場面が増えて、悩んでいる場合にはどうしたらいいのでしょうか。『リエゾン』第1巻でも、悩みを抱える主人公が、友人に相談する場面が描かれています。

「大人が生きづらさに悩んだときの対応方法は3つあります。1つめは『大人の発達障害』の専門病院を受診すること。ただ、大人の発達障害専門の医療機関は少なく、混雑しているのが実情です。

そこで2つめの選択肢として、カウンセリングルームなどで心理カウンセリングを受けるという方法もあります。診断名はつきませんが、自分の特性と向き合うヒントが得られるかもしれませんね。

3つ目は、身近な信頼できる人に打ち明けること。誰かに話すことで気持ちが軽くなることもあると思います」

悩みを抱えたら、誰かに相談。吐き出して聞いてもらうだけでも「自分だけじゃないかも」「対処法が見つかった」と感じ、楽になれるかもしれませんね。

診断がついても、カミングアウトは必須ではない

病院を受診して「発達障害」と診断された場合に悩ましいのが、職場の同僚など、身近な人たちへの報告をするかどうか、ではないでしょうか。職場の規定にもよりますが、発達障害に関しては職場への報告義務はないのが一般的です。

「合理的な配慮を望む場合は、人事部や直属の上司に報告をして、職務内容に関する相談をするという選択肢もあります。ただ、報告する義務はないので、無理にカミングアウトする必要はありませんよ」

『リエゾン』第2巻では、自らの発達障害に気づいた主人公に医師の佐山が「自分のキャラクターを深く理解した上で オリジナルの戦い方を編み出せばいいんです」と声をかける場面があります。必ずしも自分以外の人に障害を知ってもらわなくとも、診断によって生きやすさを手に入れることができるとも考えられるでしょう。

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

三木先生によると、診断を受けることで「生きづらさは自分の努力や根性が足りないせいではなかった」とわかり、気が楽になったという当事者の声もあるそう。自分の特性を知り、自分に適した生き方が見つけられるなら、診断には意義があると考えられそうですね。

診断の有無に関わらず、生きやすくする工夫を

ⓒヨンチャン・竹村優作/講談社

『リエゾン』の主人公は、忘れっぽさを補うためにカギやメモ帳などの日々使うものを一つにまとめて持ち歩く工夫をしています。

三木先生によれば、大人の発達障害の診断を受ける、受けないに関わらず大切なのは、自身が生きやすい状態を作る工夫だといいます。例えば「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」で忘れものに困っているなら、忘れものを防ぐ仕組みを作っておくこと。

「物を置く場所を固定化したり、嫌でも何度も確認するための仕組みを作ったりすることで、ミスは減らせます。大切なのは自分でルールを決めること。自分が何とかしたいと思って作った仕組みは忘れにくいんです」

こうした身の回りの工夫で生きやすくなるなら、診断は必ずしも必要ではありません。今、何かしら困りごとを抱えているなら、診断にこだわらずとも自分の特性との付き合い方を探ることで、生活の質が変わってくるのではないでしょうか。

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三木崇弘先生プロフィール

画像提供:三木崇弘先生

兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒、東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 博士課程修了(医学博士)。

愛媛県内の病院で初期研修・小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として7年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。

2019年4月よりフリーランス。“問題のある子”に関わる各機関(クリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、児童自立支援施設、保健所など)での現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動をしている。

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