子どもの転落事故の現状
転落事故は子どもが起こす事故の中でも発生率が高い事故のひとつです。子どもはどのように転落事故を引き起こしてしまうのか、過去のニュースの事例などから確認してみましょう。
厚生労働省の「人口動態統計」(2016年)をもとにまとめられた消費者庁の文書では、子どもの死因上位5位に、いずれの年代も「不慮の事故」が入っています。
- 0歳…0歳全体の死因のうち3.8%が不慮の事故
- 1~4歳…1-4歳全体の死因のうち12.3%が不慮の事故
- 5~9歳…5-9歳全体の死因のうち17.4%が不慮の事故
またこの消費者庁の文書では、不慮の事故の中でも、年齢に応じた具体的な事例もあげられています。
さらに子どもの転落事故は子どもが大きくなれば子ども自身の注意力があがって転落事故がなくなるというものではなく、年齢があがっても多く起こっていることが報告されています。
- 消費者庁「【特集】子どもの事故防止に向けて」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2018_whitepaper_0003.pdf,2021年2月10日最終閲覧)
マンションのベランダからの転落事故が起きる原因
子どもの転落事故は年齢にかかわらず多く起こっている事故です。ただその中でも「建物・建造物からの転落」が多いのは3歳ごろ。3歳といえば自分でも動ける範囲が増え、行動が大きくなる時期ですよね。
とはいえ、どうして子どもが「建物・建造物からの転落」を起こしやすくなってしまうのか。ここではその原因を確認してきます。
近くに踏み台となるものがある
子どもの転落事故で大事故になるのがベランダなど高所からの転落。大人は「日常の風景」として気づいていないこともありますが、窓やベランダの近くに踏み台になるものがあると危険です。出窓や腰高窓だけでなく、エアコンの室外機やゴミ箱、柵(さく)、物干し台などが踏み台となってしまうこともあります。
マンションのベランダに子どもが登れない高さの柵(さく)がついていても、踏み台があれば遊んでいるうちに誤って転落してしまうこともあるのです。
子どもがひとりになった
子どもの転落事故は、子どものことを注視する大人のいない時間、つまり子どもがひとりになったときに発生する可能性が高まります。一人で留守番をしていたり、パパママが別の部屋にいたりするときですね。
子どもの安全を守るためには一人にしないことは基本ですが、パパママが夕食の準備をしているときなど、ちょっとしたすきに転落事故が起こることもあります。
- 消費者庁「【特集】子どもの事故防止に向けて」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2018_whitepaper_0003.pdf,2021年2月18日最終閲覧)
ベランダからの転落を防止する方法
ベランダからの転落事故の原因をふまえて、子どもの事故を未然に防ぐための方法を確認していきましょう。ご紹介するすべてのポイントを意識して転落防止対策をすれば、子どもが事故に遭う可能性を一気に低くできるはずです。
ベランダの近くに踏み台になるものを置かない
マンションベランダでの転落事故の多くは、子どもが踏み台を使って柵(さく)を乗り越えてしまうことで起こります。ベランダの周りには踏み台代わりになるものを置かないようにすることが最大のポイントです。
エアコンの室外機などは大人にとっては踏み台に見えなくても、子どもがよじ登りやすい高さの「踏み台」。イスやテーブルはもちろん、園芸用品やダンボール箱などをベランダに置かないようにしましょう。
高い場所に補助カギをつける
窓を開けっ放しにしておかないことがまず何より大切ですが、カギがかかっていても子ども自身が開けてしまうこともあります。子どもの転落防止のためには、ベランダや窓には子どもの手が届かない場所に補助カギをつけることが効果的。
もしも子どもが踏み台に乗ってしまっても、手の届かない場所にカギをかけておけば、転落事故が起きることはないでしょう。通常のカギだけでなく、補助のカギをつけておくことが恐ろしい事故を未然に防ぐことにつながります。
普段からベランダの近くで遊ばせない
パパママがお家にいるときでも、子どもをベランダの近くで遊ばせないこともマンションでの転落防止のポイント。普段からベランダの近くで遊んでいるようなら注意してください。
普段から窓の近くにあるものによじ登って遊んでいる子の場合は、転落のリスクが高くなると言えるでしょう。
子どもを一人にしない
子どもの転落事故は、子どもが一人でいるときに起きているとお話しました。基本ではありますが、事故を防ぐためには子どもを一人にしないことが一番の対策法です。
転落事故は子どもからちょっと目を離したすきに起こります。特に事故の発生率が高い3~4歳の子どもがいるなら、パパママの目の届く範囲内で遊ばせるようにしてくださいね。
- 消費者安全課「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください! -網戸に補助錠を付ける、ベランダに台になる物を置かないなどの対策を-」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_037/assets/consumer_safety_cms205_200904_01.pdf,2021年2月18日最終閲覧)
ベランダ以外も注意!家の中での転落事故の予防
子どもの転落事故が起きるのはマンションのベランダだけではありません。実は、安全だと感じられるお家の中でも、窓・階段・イス・ベッドなどから子どもが転落した事故事例も多く報告されているのです。
ここからご紹介していくようにお家の中でも、子どもの安全を確保するための対策を万全にしておくことが大切です。
劣化・やぶれがある網戸はすぐに交換を
子どもの転落事故は、劣化した網戸に子どもがよりかかって、網戸が外れたというケースも多く報告されています。劣化・やぶれがある網戸はすぐに交換し、たとえ子どもがよりかかっても外れないよう、十分な強度を保つようにしてください。
階段の上下にベビーゲートを設置する
階段での転落事故を防ぐためには、階段の上下にベビーゲートを設置することが基本です。ベビーゲートの中には、簡単に開けられないようカギがついているものもあるので、ゲートとカギで二重にガードしてあげればさらに安全性が高まります。
ただし、5歳以上の子どもがいる場合は、ベビーゲートを乗り越えてしまう可能性も…。高さやカギの構造などをチェックし、子どもが簡単に乗り越えられないようなゲートを選ぶことがポイントです。
イスやソファで寝かせないこと
小さな子どもをソファに寝かしてしまうことはありませんか?大人から見れば安全そうなソファでも、子どもにとっては高く、転落事故を招いてしまうリスクもあります。
パパママがいれば安心ですが、子どもが一人になる状況でイスやソファに寝かせることは危険です。寝かせるときは、ベッドガードがついたベッドに寝かせてあげてくださいね。
- 消費者庁「Vol.477 階段からの転落事故に注意!」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20191114/,2021年2月18日最終閲覧)
- 東京消防庁「STOP!子どもの「転落」」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/stop/pdf/stop_06.pdf,2021年2月18日最終閲覧)
- 消費者庁「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください! -網戸に補助錠を付ける、ベランダに台になる物を置かないなどの対策を- 」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_037/assets/consumer_safety_cms205_200904_01.pdf,2021年2月18日最終閲覧)
子どもの転落事故は原因を知れば防止可能
ニュースを見ていると子どもの転落事故は少なくありませんが、原因を知れば転落防止を万全にすることもできます。
マンションではベランダからの転落事故が起きないように、踏み台になりそうなものを置かないこと、高い場所に補助カギをつけることなどが効果的。一戸建てやお家の中では、階段やイス、ソファなど、子どもにとっては高い場所からの転落を防ぐための対策を採りましょう。
特に2~4歳の子どもは、好奇心旺盛で身体能力も高くなるころなので、動き回っているうちに転落してしまう可能性も…。この記事を参考にしながら、お家をより安全な場所へと作り変えてくださいね。