医療費控除の対象となるものは「治療目的」
基本的に、治療を目的としたものは医療費控除の対象となるでしょう。例えば以下のような医療費です。
- 病気やけが、歯の治療で支払った治療費
- 医師から処方された薬代
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師に支払った施術費(ただし治療目的に限る)
- 入院時の部屋代(差額ベッド料金を除く)や食事代
- 入院や通院のための交通費
診療を受けるための交通費は対象となりますが、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場代は対象にはなりません。
また交通費としてのタクシー代は、電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合のみ、医療費控除の対象になります。
「予防目的」のものは医療費控除の対象にならない
病気や感染を予防するためにかかった費用は、医療費控除の対象にはなりません。例えば、次のような費用です。
- マスク代
- 予防接種代
- 健康増進を目的としたビタミン剤
- 疲れを癒やす目的のはりやマッサージ代
新型コロナウイルス感染症によるマスク生活が必須となったため、費用がかさんだ方もいると思いますが、マスクは感染予防が目的のためです。
インフルエンザなどの予防接種も治療目的ではないため、医療費控除の対象にはなりません。
PCR検査は医師の判断があるかどうかがカギ
PCR検査の費用は、検査を受けた状況によって、医療費控除の対象になるかどうかが変わります。
医師の判断でPCR検査をしたのであれば自己負担分が対象になります。一方で、感染していないことを明白にする目的などで自発的に行った場合は医療費控除の対象にはなりません。
ただし、自己判断でPCR検査を受けた結果が陽性であり、その後治療を行えば対象になります。
医療費控除の申請方法
確定申告期限までに医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、税務署に提出をしましょう。
申告期限を過ぎてしまった場合や「昨年度分の申請を忘れていた」という場合でも、5年前までさかのぼって申告が可能です。
また、申告後に医療費の領収書の提示が求められる場合があるため、5年間は保管しておいた方がよいでしょう。
医療費の領収書はまとめて保管しておこう
感染予防を目的としたマスク代や予防接種代は、医療費控除の対象にはならないことがわかりました。ただ、医療費の自己負担額が年10万円以下でも医療費控除を受けられる場合があります。また、自分だけでなく家族の分も合算できます。
医療費の領収書は捨ててしまっていたという方は、今年からは捨ててしまわないように、医療費の領収書を入れるファイルを用意し、そこにストックするなど対策してみてはいかがでしょうか。
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm,2021年1月27日最終閲覧)
- 国税庁「No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm,2021年1月27日最終閲覧)
- 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm,2021年1月27日最終閲覧)
- 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm,2021年1月27日最終閲覧)
- 国税庁「4 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm#q4-12,2021年1月27日最終閲覧)
- 国税庁「No.2030 還付申告」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm,2021年1月27日最終閲覧)