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監修:児島史篤

言葉の理解が遅れている子をサポートするには?家庭と施設での支援方法

言葉の発達は、言葉を話す力と理解する力の2つが育つことによって進んでいきます。例えば2歳ごろでは三語文を話したり、大きい、小さいなどの言葉を理解したりする程度の発達が目安です。この記事では、言葉を話す力、理解する力ともに年齢の目安よりも遅れている場合のサポート方法について臨床発達心理士の児島史篤(こじま ふみあつ)さんに聞きました。

PIXTA

言葉を話す力・理解する力ともに遅れているとき、できることは?

言葉の発達は、ついおしゃべりばかりに注目しやすいものですが、実は言葉を理解する力も重要な発達の要素です。赤ちゃんは他人の言葉を理解して意味を知り、さらにそれを使って自分も表現しようとします。つまり、理解する力が育たない状態では、なかなかおしゃべりにつながりません。

では、言葉を話す手前にある、理解する力が年齢相当の目安よりも遅れている場合、どんなサポートが必要でしょうか。ここからは、臨床発達心理士の児島史篤(こじま ふみあつ)さんのお話をもとに、サポート方法についてお伝えします。

Q1:2歳で言葉の理解が遅れているときに、まずすべきことは?

A1:耳の聴こえを確認してみて

リビング 2歳 背中 PIXTA

児島さん:おしゃべりが遅れていて、理解もできていないかもしれないという子の場合、専門機関ではまず聴力検査をします。聴力があるのとないのとでは、サポート方法がまったく異なるからです。

専門機関を受診しなくても、家庭でも簡易的に聴こえを調べられます。例えば、耳の後ろあたりで爪先をすりあわせて小さな音を鳴らし、子どもが反応するか見るという方法。他には、子どもから見えない部屋で、小さな音で好きなアニメを流してみて、反応するか見るのも手です。

もしも耳が十分に聞こえていないなら、まず聴力の治療から始めます。音は聞こえている場合、療育で言葉の力をサポートするという判断をするとよいでしょう。

Q2:家庭でできる、言葉の理解をサポートする方法は?

A2:特別な方法より、楽しい気持ちをふくらませること

電車 おもちゃ PIXTA

児島先生:特別な活動よりも、とにかく楽しく遊ぶことだと思います。大人でも言葉を聞いたり、話したりしたいのは「人とコミュニケーションをしたいとき」ですよね。子どもも同じで、楽しい気持ちを伝えたかったり、人に共感して欲しかったりするときに言葉を使いたくなります。

例えば、電車のおもちゃが好きな子なら、レールをつなげて「長いね~」「こんな風につなげたら楽しいね」と気持ちを伝えながら遊ぶと、子どもは「親が言っていることを理解したい」と思うでしょう。また、子どもも「楽しい」「もっとこうしたい」と伝えたくなるはず。一見、言葉とは関係がないような遊びでも、本人が楽しくてコミュニケーションしたくなる遊びが一番だと思います。

逆に、発達段階に合わない遊びをさせると、子どもは楽しくなくて黙り込んでしまいます。背伸びさせず、その子が今一番楽しめることで遊ぶように心がけてみてください。

Q3:療育施設での支援例を教えてください

A3:子どもと遊ぶほか、遊び方を親にレクチャーすることも

保育士 2歳 PIXTA

児島先生:療育施設でも、その子が好きな遊びをすることを大事にしています。親からすると「ただ遊んでいるだけ」と見えるかもしれませんが、遊びは自由に発想したり、うまくいくように工夫したりして子どもの多くの力を養っています。また、遊びを通じて「楽しい」「他の人と一緒にやりたい」「気持ちを伝えたい」という思いが育つのです。

実際、言葉の悩みで支援を受けていた子の中には、施設に通い始めて1か月程度でコミュニケーションに興味を持ち始め、成長が見えた子もいます。

療育に携わるスタッフは子ども一人一人に合った接し方で言葉の力をサポートしていますし、その方法はしっかり親にも伝えています。子どもへの直接の支援以外に、遊び方のノウハウを親に伝えていることも、言葉の支援と言えるかもしれませんね。

子どもの楽しい気持ちを引き出そう

嬉しい 2歳 PIXTA

言葉の理解と表出が遅れていると感じたら、まずは聴力を確認してください。その上で、もし耳が聞こえているなら、言葉のサポートをしてあげましょう。

家庭では子どもの発達段階に合わせた遊びをしながら、子どもの楽しい気持ちをたくさん引き出すことが大切。遊び方は支援施設で教わるのも手です。専門家のアドバイスを聞いてみたい方は、お住まいの地域の保健センターなどで相談してみましょう。

記事の監修

株式会社児島教育研究所代表取締役

児島史篤

保育士として活動する中で直面した様々な場面から、より専門的な知識を学びたいとアドラー心理学と出会い、心理学について学び始めたのが最初でした。現在は、自分で保育園を立ち上げ、児童発達支援や保育所等・学童保育等の運営、研修講師や子育て支援やカウンセリング、発達障害支援や保護者支援に力を入れて活動しています。

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本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

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