保育園で実践、子どもの食が進むテクニック3つ
親の「食べて欲しい」という気持ちとは裏腹に、食事を嫌がることがある2歳児。ここからは、保育園で働く管理栄養士の黒氏文佳(くろうじ ふみか)さんのお話をもとに、子どもが食べたくなる3つのテクニックについてお伝えします。
1. 皿の数は1つだけにする
黒氏さんによると、2歳ごろの子どもはお皿が複数あると食事の全体像がわからず、集中できないことがあるといいます。
「保育園では食事に集中しやすいよう、できるだけご飯、おかずをワンプレートにして給食を提供しています。丼ものやカレー、うどんなどの一品料理も人気です。一皿にまとめる方法は家庭でも取り入れやすいと思います」(黒氏さん)
また、食事の食べやすさも大切。スプーンやフォークは本人が使いやすいものを用意すると良いそうです。
「スプーンやフォークが苦手な子なら、手づかみメニューがおすすめ。シンプルですが、おにぎりは保育園でも好評です」(黒氏さん)
おにぎりなら、中に具を入れれば、1つで栄養がしっかり取れそうですね。
2. 好きなおやつで栄養を補う
黒氏さんによると、おやつは「3食で足りない栄養素を補うもの」。つまり食事の一つとして捉えるとよいといいます。前の食事であまり食べなかった場合は、おやつの時間に好きなメニューで栄養素を補いましょう。
「2歳児のおやつは100~150kcalが目安です。直前の食事であまり食べず栄養を補いたいときは、炭水化物やビタミン・ミネラルを意識したものがおすすめです。例えばおにぎりやパン、イモ、野菜スティック、ゼリーなど。子どもが好きなものを与えましょう」(黒氏さん)
炭水化物は腹持ちがよいため、次の食事までの時間をあけて与えるのがコツ。おやつが遅くなったときは炭水化物を避け、小魚や脂肪分の少ないヨーグルトなどの乳製品などを与えましょう。
食事は嫌がるけれど、おやつは喜んで食べるタイプの子の栄養を補うには良い対処法ですね。
3. 子どもの主張を聞き入れる
2歳ごろは、自己主張を聞いてほしい時期。黒氏さんも、子どもの主張に寄り添うようにしているそうです。
「園でも食べない子はいて、職員も試行錯誤しています。うまくいった例で言うと、食べないときに『おしまいでいい?』と声をかけると『イヤ!』と言って食べ始めた子がいます。子どもの主張を聞き入れる形にすると良いのかもしれません。そして、食べられたらたっぷりほめています。
他には、スプーンやフォークに興味がある子には、ゲームのような感覚で声をかけて食べ物を口に運ばせたり、逆に食具を使うのが苦手な子には、声をかけて目の前で小さなおにぎりにして食べやすくしたり。
ただ、いつもうまくいくわけではなく、結局は残すこともあります。そんなときは、時期的なものだと割り切っています」(黒氏さん)
わが子だけ見ると「こんなに食べないのはうちの子だけ?」と思ってしまいますが、保育園でも多くの子が食事イヤイヤを繰り広げているそう。「みんなが通る道」と考えて割り切ると、少し気が楽になりそうですね。
完食を目指さなくても大丈夫
黒氏さんは「この時期は少しでも食べるなら、おおらかに見守ってOK」といいます。1日3回の食事とおやつを合わせて栄養がある程度取れていれば大丈夫と考え、毎食の完食を目指す必要はありません。
子どもが食べやすいような工夫は無理がない範囲で取り入れつつ、それでも食べないときは「そういう時期なのかも」と割り切りましょう。食事タイムは毎日のものだからこそ、親子双方が疲れない時間になるように力を抜いて向き合えると良いですね。