イヤイヤピーク期の子どもの心
イヤイヤ期は、子どもの自己主張がいっそう盛んになり、力いっぱい思いを伝えようとする時期です。中には言葉を扱えるようになる子もいて「イヤ」だけでなく「じぶんで!」「〇〇ちゃんが!」などと、意志を伝えようとする子もいます。
また、家族以外の人や友達に興味を持つなど、人との関わりが増えるときでもあります。自分の意志が通らない場面や他人との気持ちのぶつかり合いを通し、他人と自分に違う思いがあることを知り、思いやりや優しさが少しずつ芽生えます。こうした成長の芽も、じっくり育てていきましょう。
- 焼津市乳幼児教育推進会議「第2回 イヤ!自分で!から始まる自我~大きくなるのは、楽ではない~ 年齢別に見る自我の発達と保育」(https://www.city.yaizu.lg.jp/g04-005/documents/dai2kaih28.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- こぐま保育園 & 父母の会「2歳前後の噛み付く、引っかく (噛む、噛み付き、噛みつく、引っ掻く)」(http://www.kariyakoguma.server-shared.com/seikatu/ikuidea/26.htm,2021年6月3日最終閲覧)
イヤイヤ期に優しい心を育む、関わり方のコツ
2歳のイヤイヤ期はとにかくわがままに見えますが、実は優しい心や思いやりの心も育つ時期です。子どもの思いを受け止めつつ、周囲の人にも同じく心があること、優しくされるとうれしくなることを伝えていきましょう。
ここからは、子どもの優しい心の成長を支える関わり方のポイントをお伝えします。
1. 親の言葉は短く、子どもの言葉はじっくり聞く
2歳児ごろになると、親との会話が成立することも増えます。だからこそ「話せばわかる」と思って、親も長々と話を聞かせていませんか。しかし、この時期はまだ会話を十分に理解できません。伝える言葉は短く明確にしましょう。
一方、子どもの話す力は未熟で、言いたいことを伝えられないことも。親が言い聞かせるばかりではなく、子どもの気持ちをゆっくりと聞き出しましょう。「こう思ったんだね」「悲しかったね」などと子どもの気持ちを代弁すると、子どもも気持ちを言葉にできるようになります。
親が聞いてあげると子どもは「話を聞いてもらうとうれしい」と感じ、共感する心の芽生えにつながるでしょう。
- 公益財団法人 ソニー教育財団「「心をはぐくむ」 ―― 乳幼児期に大切にしたいこと ――」」(http://www.pref.nara.jp/secure/158555/youjiki2.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 奈良県健康福祉部こども・女性局 子育て支援課 「子育て支援プログラム・幼児期編 」(http://www.pref.nara.jp/secure/158555/youjiki2.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
2. 焦らない、比べない
イヤイヤの様子は子どもによってそれぞれ。「あの子は聞き分けがいいのに」と周りの子と比べないでください。2歳くらいになると自尊心が芽生えていて「〇〇ちゃんはできるのにね」という言葉で傷つけてしまうことも。
逆に、誰とも比べずにその子なりの成長を見守っていると、子どもは安心して親に甘えることができます。人に受け入れられた経験は、いずれ自分が他人を受け入れることにつながります。
- 公益財団法人 ソニー教育財団「「心をはぐくむ」 ―― 乳幼児期に大切にしたいこと ――」(https://www.sony-ef.or.jp/about/pdf/kokoro_hagukumu.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 箕面子育て応援ブック SMILE「知れば納得いやいや王国の2歳児」(https://www.city.minoh.lg.jp/sukoyaka/documents/smile2020-05.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 焼津市「イヤ!自分で!から始まる自我~大きくなるのは、楽ではない~」(https://www.city.yaizu.lg.jp/g04-005/documents/dai2kaih28.pdf,2021年6月14日最終閲覧)
3. 親以外と関わる機会を作る
2歳ごろからは、子ども同士での遊びに興味を持つ時期です。他の子どもと遊びたがるなら、大人が仲介して一緒に遊ぶ機会を作ってもよいでしょう。
おもちゃの取り合いなどの行動も見られますが、そうした衝突も「相手には自分と違う気持ちがある」ことに気づく体験です。うまくいかない経験から「わがままを通せないこともある」「少し我慢したら仲良くできた」という経験を積み、気持ちをコントロールすることを覚えます。
- ソニー教育財団「「心をはぐくむ」 ―― 乳幼児期に大切にしたいこと ――」(https://www.sony-ef.or.jp/about/pdf/kokoro_hagukumu.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 東京都教育委員会 「きまりをまもるこころを育てる -幼児期の「規範意識の芽生え」の醸成 指導資料-」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/handbook_for_instructor/9.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
イヤイヤ期こそ、子どもの優しい心に目を向けて
一見すると、毎日困った行動ばかりするように見えることもあるイヤイヤ期。しかし、自己主張をしながらも相手の気持ちを知ったり、我慢を覚えたりして、優しい心が育っています。
冷静に子どもの良い面に目を向けるには、親の状態も大切。イヤイヤに振り回されて消耗しきらないよう、意識して息抜きをしましょう。家族に子どもを任せて休む日を作る、イヤイヤに疲れた日の夕食はお総菜にするなど、自分なりに消耗を防ぐ方法を見つけましょう。