妊娠24週目の妊婦の様子とマイナートラブル
妊娠24週目に入るとおなかがさらに大きくなり、子宮底(子宮のいちばん上の部分)の位置がおへそより上になります。 胃や膀胱(ぼうこう)が圧迫されて胃もたれを感じたり、トイレが近くなったりする人が増えてきます。妊娠24週目は妊婦にとってどのような週になるのかみてみましょう。
妊娠24週目の子宮底長の目安
- 子宮底長:約21〜26cm
子宮底長とは恥骨結合部(左右の恥骨が合わさった部分)から子宮底までの長さのことで、胎児の大きさや羊水の量を確認する目安になります。
週あたりの体重増加目安
- 妊娠前「やせ」だった人(BMI18.5 未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「ふつう」だった人(BMI18.5以上25.0未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「肥満」だった人(BMI25.0 以上):個別に医師と相談
妊娠中期から後期にかけては、1週間あたり上記の体重増加が目安とされています。妊娠前に「やせ」、あるいは「ふつう」だった人と「肥満」だった人で目安が異なります。
BMIとは、体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算して出る値で、肥満や低体重(やせ)の判定に使われます。肥満の人は医師と相談して体重管理を行いましょう。
よくあるマイナートラブル
胸やけや胃の不快感
最近、寝起きと食後の胸焼けがあります😢
寝起きは喉がカラカラでお腹空いてるはずなのに食べ過ぎた翌日みたいな不快感…。
昼食後も胸焼けがあり、フルーツやヨーグルトなど食堂がスッキリするものを求めてしまいます💦
深呼吸すると胃が物凄く苦しいです(ノд・。)
特にご飯を食べた後は横になっても辛い位に
胃が苦しくて…
あまり量を食べてないのになるので食後が
いつも辛いです…
妊娠24週になると、いよいよおなかが大きくなってきます。大きくなった子宮が胃や腸を圧迫したり、ホルモンの影響で腸の動きが鈍くなったりすることが原因で胃もたれや胸やけ、胃のむかつきなどが出やすくなります。消化のよいものをこまめに少量ずつ食べるなど、工夫するとよいでしょう。
ただし、胃のむかつきやだるさなどが続く場合は他の異常が出ていることもあるので、妊婦健診先で採血を受けたり血圧を確認したりして、様子を見て問題ない症状なのかを確認しましょう。
おなかにガスがたまる、便秘
大きくなった子宮に圧迫されることや、女性ホルモンの影響によって腸の働きが鈍くなります。このため腸にガスがたまったり、便秘になったりします。
意識して水分や食物繊維をとるなど食事に気をつけましょう。便秘がひどくてつらいときは医師に相談してください。
トイレが近くなる
しょっちゅうトイレでしたよ!
たいして尿もでないんですけど、残尿感もすごくありました!
24週ということですが、産まれるまで頻尿とは付き合うとおもいますよ(;O;)
大きくなった子宮に膀胱(ぼうこう)が圧迫されるため、頻尿になります。尿意を感じたら我慢せずトイレに行きましょう。これからさらに子宮が大きくなるので、頻尿は出産まで続きます。
妊娠24週目の胎児の様子
- 胎児の大きさ(FL:大腿骨長 ):約35〜45mm
- 体重:約460〜860g
この時期になると胎児が大きくなり、エコー画面に全体が映らなくなってきます。順調に成長しているか、FLと呼ばれる(腿骨長(だいたいこつちょう)を測って確認します。大腿骨長は、太ももの骨の長さを指します。
性別が分かります
赤ちゃんの性別は受精の瞬間に決定していますが、妊娠20週頃から判別できるようになります。気になる方は、超音波検査のときに聞いてみるとよいかでしょう。
赤ちゃんの性別は妊娠24週前後が確認しやすいといわれていますが、赤ちゃんの姿勢によって確認できないことも。また、超音波の診断が100%正しいわけではなく、性別を教えない方針の医師もいます。
毛細血管が皮膚下で作られ始めます
毛細血管が作られ始めるため、肌が赤ちゃんらしいピンク色になっていきます。
肺が発達します
肺の管が発達し、鼻の穴が開き始めます。肺の機能は34週くらいで完成するのでまだ未発達ですが、万一早産になっても生存できる可能性が高くなります。
握力が強くなり、細かい動きができるようになります
手にふれたものをぎゅっとにぎる反射が出始めます。手をのばしたり、にぎったりといった細かい動きができるようになり、指しゃぶりの練習も始まります。
しゃっくりしているような動きをすることがあります
24週に入って、ますます胎動を感じやすくなりました♥︎
時々、ビクッと強く動くことがあって、しかもだいたい等間隔で5回くらい続くこともあります。
周りの人に言ってみたら、しゃっくりしてるんじゃない?って言われました
妊娠24週になると、胎児がピクッピクッとしゃっくりしているように一定のリズムを刻むときがあります。この胎児の動きが胎動として母体にも伝わります。
最初は驚く人もいるようですが、これは正常な発育のひとつなので心配ありません。
逆子でも大丈夫です
妊婦健診の際に、逆子といわれることがあるかもしれません。妊娠24週目ではまだ子宮内のスペースにゆとりがあるので、胎児は自由に動き回っています。妊娠8ヶ月頃までに逆子がなおる可能性は十分あります。あせらずにゆったり過ごしましょう。
- 日本産科婦人科学会「「推定胎児体重と胎児発育曲線」 保健指導マニュアル」(http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_taiju_hatsuiku_201203.pdf,2018年8月9日最終閲覧)
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- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P64(朝日新聞出版,2016年)
妊娠24週目で早産や切迫早産になったら
妊娠22週以降、37週未満の間に赤ちゃんが生まれてしまうことを「早産」、赤ちゃんが生まれそうな兆候があることを「切迫早産」といいます。切迫早産は、早産になりかけている状態をさします。以下のサインがあったらすぐに受診しましょう。
- 下腹部の痛み(しばらく安静にしても治らない、痛みが強まる)
- おなかの張り(しばらく安静にしても治まらない)
- 性器から出血した
- 破水した
下腹部痛やおなかの張りがあった場合、安静にしてもおさまらない場合や性器から出血があったら、少量でも見過ごさずにすぐ病院へ。破水は早産につながることがもっとも心配されるサインです。一刻も早く受診してください。胎児が1日でも長く母体にいられるよう、できるかぎり早産を防ぐことが大切です。
切迫早産の場合は安静が基本
切迫早産とは早産になりかかっている状態、つまり早産の一歩手前のことです。子宮収縮が起きて子宮口が開き、赤ちゃんが出てきそうになっていたり、破水してしまっていたりする状態をいいます。
切迫早産の場合、症状や状況によって自宅安静か入院かを医師が判断します。上の子がいてなかなか自宅安静ができない等、心配なことは医師に相談しましょう。
仕事をしている場合は、自宅安静の指示が出れば休職を検討する必要があります。通常この時期に強い切迫早産の兆候が見られたら入院が必要になることが多いでしょう。
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P142-143(朝日新聞出版,2016年)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P100-101(学研,2017年)
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- 横浜市立付属大学付属 市民総合医療センター「総合周産期母子医療センター 産科 妊娠 出産」(http://www.uraboshi.jp/answer.html#ans0201,2018年8月13日最終閲覧)
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- 日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」(http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/souzan.html,2018年8月13日最終閲覧)
妊娠24週目のおすすめの過ごし方と注意点
妊娠24週目は、比較的体調が安定しているとはいえ、無理をすると子宮収縮につながり、切迫早産を引き起こしかねません。自分の感覚で「無理をしない」ことが大切です。
セックスのときは感染予防のためにコンドームを使う
セックスのときは、必ずコンドームを使いましょう。感染予防が早産や切迫早産の予防につながります。
苦しいときは「シムスの体位」で休む
妊娠24週目になるとおなかが重くてなかなか寝つけなかったり、体がつらかったりする妊婦もいるでしょう。そんなときは片ひざを曲げた状態でゆったりと横たわる「シムスの体位」を意識してみてください。足の間に抱き枕やクッションをはさむなどうまく使うと楽になるかもしれません。
体重を増やしすぎないよう、バランスのよい食事を
妊娠中期はふだんの食事プラス250キロカロリーが必要とされています。体重の増やしすぎに気をつけつつ、バランスのよい食事を心がけましょう。
歯科検診を受け、必要に応じて治療を受ける
妊娠中はホルモンの影響で歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。歯肉炎を放置すると歯周病に移行することがあります。近年、歯周病が低体重児や早産のリスクに関係することがわかってきました。
妊娠中期は全妊娠期間のうち、もっとも検査や治療に適した時期です。自覚症状がなくても一度は歯科検診を受けましょう。
- フェリシアレディースクリニック「大きなお腹でも大丈夫!妊婦さんが楽に眠れる姿勢とは?」(http://www.kobacli.com/blog/?p=175,2018年8月13日最終閲覧)
- 真野産婦人科「妊娠と病気」(http://www.yuhookai.jp/Mano09_QA_3.html,2018年8月13日最終閲覧)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産」P102(学研,2017年)
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- 日本臨床歯周病学会「歯周病と妊娠」(http://www.jacp.net/pdf/leaflet/leaflet_04.pdf,2018年8月13日最終閲覧)
- ふるた歯科医院「マタニティ歯科」(http://www.furutashika.com/medical/maternity.html,2018年8月13日最終閲覧)
- 東初富アモールクリニック「妊婦さんの治療について」(https://amor-dc.com/treatment/maternity.html,2018年8月13日最終閲覧)
おなかが張ったときは
おなかが張ったときはすぐ座る、横になるなどして体を休んでください。長時間の外出や立ち仕事はできるだけ避けましょう。おなかが張っても、休んでおさまる程度なら心配ありません。休んでもおさまらない、1時間のうち2回以上張る、痛みを感じるといった場合はすぐに受診してください。
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P102、105(学研,2017年)
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P56(朝日新聞出版,2016年)
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体が重くなってくる時期。ゆったりと過ごしましょう
妊娠24週目になるとおなかが目立つようになり、動きにくくなってきます。体調が安定してくる人の多い時期ですが、早産予防のためにも無理は禁物。できる限りゆったり過ごしましょう。
人によっては、体重の増加を気にかけすぎてストレスをためてしまうことがあるかもしれません。健診のタイミングで相談すると、栄養士などからアドバイスをもらえることもありますよ。妊娠中の不安は、なるべく人に相談して解決していけるとよいですね。