妊娠25週目の妊婦の様子とマイナートラブル
妊娠25週目になると体調が安定してくる人もいますが、まだつわりが続いていたり、胸やけがあったりして不調を訴える人もいます。この時期の妊婦の様子とマイナートラブル、起こりやすい症状をご紹介します。
妊娠25週目の子宮底長の目安
- 子宮底長:約21〜26cm
子宮底長とは恥骨結合部(左右の恥骨が合わさった部分)から子宮底(子宮のいちばん上)までの長さのことで、胎児の大きさや羊水の量を確認する目安になります。
週あたりの体重増加目安
- 妊娠前「やせ」だった人(BMI18.5 未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「ふつう」だった人(BMI18.5以上25.0未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「肥満」だった人(BMI25.0 以上):個別に医師と相談
妊娠前に「やせ」や「ふつう」だった人と、「肥満」だった人では推奨される体重増加量が異なります。全妊娠期間を通しての推奨体重増加量は、「やせ」の人で9〜12kg、「ふつう」の人で7〜12kg、「肥満」の人は、およそ5kgを目安として個別対応することとなっています。
妊娠25週目になると、子宮底(子宮の一番上の部分)がおへそよりも高くなり、おなかもますます大きくなっていきます。
この時期の体重増加の目安は、妊娠前にふつうの体格だった人でプラス4〜6kg程度が目安です。増えすぎていないか、ときどきチェックして体重管理を行っていきましょう。
おなかがさらに大きくなります
このころからおなかがどんどん大きくなります。今後さらに大きくなってくると同じ体勢でいることがつらくなるので、今のうちに美容院や歯医者に行っておくとよいかもしれません。
痔や便秘に悩まされがちになります
妊娠25週目ごろには、痔(じ)の症状が気になる妊婦さんがいるかもしれません。これは、大きくなった子宮が肛門付近の血管を圧迫するためうっ血して血液の流れが悪化し、痔ができやすくなるためです。また、便秘に悩まされる人もいます。
食物繊維の多い食品をとる、刺激物を控えるなど、食事を工夫してみてください。また、排便のときトイレで強くいきまないように気をつけましょう。
妊娠25週目で痔になってしまったとしても、出産後は子宮の圧迫がとれるため治ることが多いようです。ただし放置すると産後さらにひどくなることがあるので、早めに医師に相談してください。
こむらがえりを起こしやすくなります
突然ふくらはぎがつる「こむらがえり」を経験する妊婦さんが増えてきます。ふくらはぎ以外で起きることもあります。はっきりした原因は不明ですが、脱水や筋肉疲労、ミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)が不足すると起こりやすくなるといわれています。
脱水や筋肉疲労に気をつけ、バランスのよい食事をとることを心がけてください。こむらがえりが起きたときは、落ち着いてふくらはぎをゆっくりのばしましょう。
体毛が濃くなることがあります
妊娠中には、ホルモンの影響で体毛がのびたり濃くなったりすることがあります。これは一時的なものですので、気にしすぎてストレスにならないようにしましょう。
- 牧田産婦人科「コラム:妊娠「中期」の過ごし方について」(https://www.makita-sanfujinka.com/support/column/mid-pregnancy/,2018年8月14日最終閲覧)
- 杉山産婦人科「妊娠中期(妊娠16〜27週)」(https://www.sugiyama.or.jp/childbirth/manual/04,2018年8月14日最終閲覧)
- 清水産婦人科「妊娠中の体重増加」(https://ameblo.jp/shimizu-sanfujinka/entry-11777291851.html,2018年8月14日最終閲覧)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産」P102(学研,2017年)
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P57(朝日新聞出版,2016年)
- 小阪産病院「よくある相談」(https://www.kosaka.or.jp/contact/qa.html,2018年8月14日最終閲覧)
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- 中川産科婦人科「第79回「便秘と痔について」」(http://www.nakagawa.or.jp/maternity/maternity-079/,2018年8月14日最終閲覧)
- 冬城産婦人科医院「妊娠中の「こむらがえり」対策は?」(http://www.fuyukilc.or.jp/column/妊娠中の「こむらがえり」対策は?/,2018年8月14日最終閲覧)
- 中川産科婦人科「第28回 「こむらがえりとは?」」(http://www.nakagawa.or.jp/maternity/maternity-028/,2018年8月14日最終閲覧)
- めぐみクリニック「妊娠7ヶ月(24~27週)」(http://www.megumi.or.jp/sanka/sanka01.html,2018年8月14日最終閲覧)
- 井上裕子監修「やさしくわかる 月数別 はじめての妊娠・出産」P73( 西東社,2016年)
- 医療情報科学研究所「病気がみえる 10 産科」P39、47(メディックメディア,平成19年3月)
- 厚生労働省「「妊娠期の至適体重増加チャート」について 」(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf,2018年8月15日最終閲覧)
妊娠25週目の胎児の様子
妊娠25週目になると、胎児はどのくらいの大きさになっているでしょう。この時期の成長と胎児の様子をご紹介します。
- 胎児の大きさ(FL:大腿骨長):約37〜48mm
- 体重:約500〜1,000g
胎児が順調に成長しているか、BPDと呼ばれる児頭大横径(じとうだいおうけい)や腹囲、FLと呼ばれる大腿骨長(だいたいこつちょう)を測って確認します。体重も約500〜1,000gと増えてきました。
鼻の穴があき、肺の機能が発達してきます
妊娠25週目になると鼻の穴が開き、肺の機能が発達してきます。胎児は外に出てからの肺呼吸の練習を始めます。毛細血管が透き通って見えるので、皮膚はほんのりピンク色をしています。
指しゃぶりの練習を始めます
この頃になると、胎児は指しゃぶりの練習を始めます。おなかの中で練習することで、生まれてすぐ母乳が飲めるように準備しているのです。
聴力が完成します
25週頃になると聴力が完成します。耳で音を感知することができるようになりますが、まだその音が何を意味しているか理解することはできないようです。
逆子でもまだ心配はいりません
妊娠25週目になり、妊婦健診で医師から逆子だと指摘されることがあるかもしれません。しかし、この時期はまだ子宮内にゆとりがあるため、逆子はそれほど珍しくありません。
妊娠34週頃までにおよそ95%の胎児は頭を下にするといわれており、逆子が治る可能性は十分あります。心配しすぎずゆったり過ごしましょう。
- 医療情報科学研究所「病気がみえる」P53(メディックメディア,平成19年3月)
- 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」(http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_taiju_hatsuiku_201203.pdf,2018年8月14日最終閲覧)
- 日産婦誌53巻7号「12.胎児発育・児体重測」(http://www.jsog.or.jp/PDF/53/5307-130.pdf,2018年8月14日最終閲覧)
- A.Christine Harris「安心マタニティブック」P120-124(永岡書店,2015年)
- 国立成育医療研究センター「妊娠BOOK」P15(ベネッセコーポレーション,2015年)
- 国立成育医療研究センター「骨盤位外来について」(https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/senmon/kotsubani.html,2018年8月15日最終閲覧)
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P64(朝日新聞出版,2016年)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P107(学研,2017年)
切迫早産の兆候に注意
切迫早産の兆候は下記になります。一つでもあてはまるときは、様子を見ずにすぐ受診しましょう。
- 下腹部の痛み(しばらく安静にしても治らない、痛みが強まる)
- おなかの張り(しばらく安静にしても治まらない)
- 性器から出血した
- 破水した
切迫早産と診断されたら
切迫早産と診断されると入院する場合と自宅安静になる場合があります。自宅安静の場合、絶対安静と指示された場合は、トイレや食事以外は横になって過ごします。
安静と指示された場合は、家事は簡単なものだけにして、無理をせずなるべく横になります。おなかが張ったらすぐ休んでください。特に上の子がいる場合、無理をすることのないようきちんと医師に相談して指示に従ってください。
- 横浜市立付属大学付属 市民総合医療センター「総合周産期母子医療センター 産科 妊娠 出産」(http://www.uraboshi.jp/answer.html#ans0201,2018年8月15日最終閲覧)
- 桐生厚生総合病院「新生児センターご案内 」(https://www.kosei-hospital.kiryu.gunma.jp/10_shinryoubu_syoukai/shinryoubu_syoukai/syouni_nicu.pdf,2018年8月15日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」(http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/souzan.html,2018年8月15日最終閲覧)
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」 P142-143(朝日新聞出版,2016年)
- 医療情報科学研究所 「病気がみえる」P159(メディックメディア,平成19年3月)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P104(学研,2017年)
妊娠25週目の過ごし方と注意点
妊娠25週は、体調が比較的安定しているといっても、おなかがせり出し、腰や背中への負担が増える時期です。ベビー用品の買い出しや外食などやりたいことがたくさんあるかもしれませんが、無理は禁物です。
動きすぎて疲れをためないようにしてください。万が一外出先で体調が悪くなったときのために、保険証や母子手帳の携帯をお忘れなく。
その他、この時期に気をつけたいことをご紹介します。
歯周病は早産の原因になります
歯周病があると早産や低体重児を出産するリスクが通常の7倍になるといわれています。これはタバコやアルコール、高齢出産より高い数字です。
妊娠中期は全妊娠期間のうち、もっとも検査や治療に適した時期です。自覚症状がなくても歯科検診を受け、必要に応じて治療を受けておきましょう。
減塩・低カロリーのバランスのとれた食事を
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の予防のために、減塩と低カロリーの食事を心がけてください。1日あたりの塩分摂取量の目安は7g未満です。スナック菓子や加工食品に多く含まれるため、食べすぎないよう気をつけましょう。間食を野菜や果物にする、記録をつけるなど少し工夫してみるとよいですよ。
しかし、神経質になりすぎる必要はありません。好きなものを味わってホッとする時間も大切です。医師から食事制限をするようにいわれていなければ、食べることを楽しみつつ、無理のない範囲で意識できるとよいですね。
- さくら歯科クリニック「歯周病があると『早産リスク』が高まるって本当?」(http://sakuradent.jp/歯周病があると『早産リスク』が高まるって本当/,2018年8月13日最終閲覧)
- 日本臨床歯周病学会「歯周病と妊娠」(http://www.jacp.net/pdf/leaflet/leaflet_04.pdf,2018年8月13日最終閲覧)
- ふるた歯科医院「マタニティ歯科」(http://www.furutashika.com/medical/maternity.html,2018年8月13日最終閲覧)
- 東初富アモールクリニック「妊婦さんの治療について」(https://amor-dc.com/treatment/maternity.html,2018年8月13日最終閲覧)
- 安達歯科医院「妊娠中の歯科治療」(http://www.adachishika.jp/dental/hatojyosei.html,2018年8月13日最終閲覧)
- セイントマザークリニック「妊娠中期の症状や疾患」(https://saint-mothers.jp/departments/maternity/case_chuki.html,2018年8月15日最終閲覧)
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P56(朝日新聞出版,2017年)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P106(学研,2017年)
妊娠25週目、これからますますおなかが大きくなります!
この時期はおなかが大きくなることで足元が見えづらくなってくるため、外出の際には気をつけましょう。比較的体調が安定しているといっても、仕事で無理をしたり、ハードな予定を組んだりすることは避けてください。
転倒を防ぐためにもゆっくりしたペースで動き、のんびりティータイムを過ごす、散歩をするなど、無理のない範囲で楽しめるとよいですね。