©ママリ
親友・希との電話でモヤっとする瞬間があった藍子。しかしその後は希からの謝罪メッセージがあり、希を家に招くことに。結婚式のスピーチに向けて打ち合わせをする目的でしたが、ここでもちょっとしたトラブルが起きてしまいます…。
Ⓒママリ
友人の変わらぬ態度にホッとする
「わー、すごい! 藍子、料理上手になったんじゃない?」
週末、わが家に来た希はテーブルに並んだ料理を見て、感嘆の声を上げた。その声色は、以前と変わらないように聞こえる。
「そうかな? 頑張って作ってみたんだ。希が好きだって言ってたキッシュも焼いたよ」
「本当? 嬉しい! さすが藍子だね!」
素直な褒め言葉に、私の心も和らぐ。やっぱり考えすぎだったのかもしれない。希は変わらず、私の親友だ。
夫の手料理を見た友人が、棘のある発言
キッチンから、エプロン姿の祐樹がサラダを持って現れた。
「希さん、いらっしゃい。カルパッチョも持ってきたよ」
「あ、祐樹さんもお料理されるんですね」
「うん。俺も料理好きなんだ。今日は藍子がメインだけど、少しだけ手伝ったよ」
祐樹はにこやかに答える。
「へえー…」
突然、希の口調が少しだけ変わった気がした。
「でも、旦那さんがそんなに料理できると、奥さんとしてはプレッシャーになりません?」
希は笑っているようで、目が笑っていない。
「え? プレッシャー?」
思わず聞き返す私に、希は続ける。
「だって、自分のと比べられちゃいそうだし。祐樹さんばかり頑張ってるみたいに見えるけど…藍子、ちゃんとできてる?大丈夫かなって」
心配しているかのような口ぶりだけど、言葉は棘だらけだった。
「え、私もちゃんとやってるよ?」
少しムッとして言い返すと、祐樹が間に入る。
「希さん、心配してくれてありがとう。でも大丈夫。俺たちは協力してやってるよ」
祐樹の言葉に頷きつつ、私はモヤモヤしていた。
この日、スピーチを任せるのをやめていれば…
食事のあとはスピーチの打ち合わせをした。高校時代に一緒に頑張ったバレーボールの話をしていたら、モヤモヤは少し晴れていた。
「あのころからお互い色々あったけど、今もこうして友達でいられてうれしい」
そう言った私に希は
「そうだよね。藍子と私は親友だもん」
と答えた。昔と同じ顔で笑う希に、安心した自分がいた。
このときの自分に何か声をかけられるならば「希にスピーチを任せてはいけない」と言ってあげたい。この後、式当日に希がしたスピーチは少なくとも「親友」に向けたものではなかった。あの日の言葉にできないショックは今でも忘れることができない。
あとがき:学生時代の友人と、結婚後に関係性が変化することも
藍子の夫の料理はほめつつ、藍子自身をサゲる発言をする希。藍子は徐々に希の発言に違和感を強めていきます。それでも過去のように楽しく話せる時間もあり、まさか絶縁するとは夢にも思っていなかったようです。
🔴【続きを読む】打ち合わせと違う…披露宴スピーチで大暴走する親友にショック
嫉妬心で相手を攻撃する人との決別を描く作品
Ⓒママリ
Ⓒママリ
本作では主人公・藍子と高校時代の親友・希の関係性が描かれます。高校時代は同じバレーボール部に所属し、信頼し合える親友として距離を縮めていた2人。しかし、その関係性は結婚・出産とライフステージを進めていくごとに変化していきます。
藍子は大人になっても希と昔のような付き合いができることを望んでいましたが、希は密かに藍子に対し嫉妬心をつのらせていました。藍子の暮らしに対して「自分よりも優れている」と劣等感をいだいた希は、徐々に藍子に対して意地悪な言動をするようになっていきます。
藍子は関係性を続けられるように付き合い方を工夫しますが、最後は決別を選ぶことに。大切な友人の1人を失う結果となった藍子ですが、作品内でさまざまな思いを巡らせた結果、納得して選ぶことができたようです。
藍子と希のストーリーから、大人になってからの人間関係・人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










