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🔴【第1話から読む】「ただの疲れ」と思っていた夫の不調は、うつ病だった|夫がうつになりました
義母の言葉に傷つき、塞ぎ込んでいたえりなのもとに、海外の義姉・みかから一時帰国の連絡が入ります。意を決してハルキの病状を伝えたところ、みかからすぐに着信があって…。
義姉からの連絡
義母の愚痴を聞いて以来、私は義実家に対して以前のような自然な笑顔を見せられなくなっていた。ハルキは体調の波が激しく、相変わらず週末のサポートは必要で、義母が来る日は、まるで監視されているような息苦しさを感じていた。
「えりなちゃん、顔色が悪いわよ。昨日はちゃんと寝られたの?」
義母は心配しているように私に声をかけてきたけれど、あの愚痴を聞いてしまっては素直に受け入れられない。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
私は感情を押し殺してそう答えるしかありません。たとえ義母に本音で相談したとしても、どうせ「あなたがもっとしっかりしないと」と返されるのがオチじゃないかと思うから。そんな八方塞がりの状況で、ある日の午後、スマホに1通のメッセージ通知が届いた。送信元は、海外赴任中の義姉、みかさんだった。
「えりなちゃん、一時帰国が決まったよ。2週後に帰国して1か月は滞在できる。すぐ会って話したいな。みんなに会えるのが楽しみだよ!」
明るい、絵文字たっぷりのメッセージ。ハルキの病状を知らないからこそ、無邪気なテンションだった。
義姉に現状を伝える
少し迷った。みかさんにまで心配をかけたくない。でも、この重荷を誰かに預けたい。そう思った私は、意を決して、ハルキの現状をできるだけ冷静に伝える文章を打った。
「みかさん、うれしいけど、実はハルキが今年の春からうつ病で通院していて……。一時帰国中に、ゆっくり会えるかどうかわからないんです。心配かけてごめんなさい」
送信ボタンを押すと、手が震えた。重い事実を伝えてしまった、という後悔にも似た感覚。しかし、数分後、LINEではなく、着信があった。みかさんからだ。
「もしもし、えりなちゃん?みかだよ。ごめんね、いきなり電話しちゃって」
彼女の声は、明るさの中に確かな心配を帯びていた。
「みかさん……。ごめんなさい、こんなこと急に伝えてしまって」
「ううん、知らせてくれてありがとう。ハルキ、そうだったんだね……。本当に大変だったでしょう、えりなちゃんが。心身は大丈夫?」
私に向けられた気遣いの言葉
その一言。その、私に向けられた「大丈夫?」という言葉が、まるでせきを切ったように私を崩壊させた。
「みかさん……私、もう、どうしたらいいか分からなくて……。仕事も、子どもたちも、ハルキのことも、全部、全部やらなきゃいけなくて。でも、私が大変だって気づいてほしくても言えないし…」
私の声は、嗚咽で途切れ途切れになった。電話の向こうで、みかさんは静かに耳を傾けてくれた。
「えりなちゃん、泣いていいよ。ずっと頑張ってきたんだもんね。本当に、よく頑張った。ありがとう。ハルキを支えてくれて、ありがとう」
「心配しているよ、ハルキのことも、もちろん。でもね、それ以上に、えりなちゃんが倒れないかが心配だよ。きっと、今までも私のことを考えて言い出せなかったんだよね。ごめんね。」
その温かくて力強い声が、私の心に深く染み渡った。心にある傷が、みかさんの言葉で少しずつ癒やされていく気がした。そして、思わず義母の電話のことも打ち明けてしまった。すると義姉は最後まで聞いてこう言ってくれた。
「本当にごめんね…。母は、ハルキの心配だけで頭がいっぱいで視野が狭いんだと思う」
みかさんは、さらに次のことを考えてくれた。
「帰国したらすぐに両親と話す機会を作るね。家族には、今の状況をしっかりと言っておくよ」
みかさんの心強いエール。その電話1本で、私はまるで深い海の底から引き上げられたような気分になった。ああ、味方がいる。私を正しく理解し、助けてくれる人がいる。この時、私は、もう少し、本当にあと少しだけ頑張れる気がした。
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あとがき:心を救う「あなた自身への大丈夫」
ここで登場した義姉・みかさんは、えりなにとっての「救世主」です。義母がハルキの心配ばかりする中で、みかさんはまず「えりなちゃん、大丈夫?」と、妻自身の心に寄り添ってくれました。この一言は、えりながずっと求めていた「承認」であり、彼女の感情の堰を切らせました。
みかさんが義母の愚痴も公平に受け止めたことで、えりなは「自分には理解者がいる」という強い安心感を得ます。この電話一本で、えりなは絶望の淵から引き上げられ、次の展開への希望を見出しました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










