🔴【第1話から読む】「旦那さん、稼ぎ悪いの?」→失礼すぎる!新居の近くに住む“不穏なボスママ”|近所のヤバいママ
東城さんの監視行動が深刻化し、子どもたちまで怯えるように。大智と相談したみのりは防犯カメラを設置。挑発が続く中でも、家族を守る意志を強めた。闘いは静かだが、確かな第一歩が踏み出されたばかりだった。
エスカレートする監視と恐怖
防犯カメラを設置してからも、東城さんの不審行動は止まらなかった。というより、むしろエスカレートしたようにも見える。
もちろん監視カメラの存在を知るからには「映らないように」行動しているつもりのようだけど、これは私たちの方が一枚上手だ。実は、東城さんに見える場所につけたカメラはダミーで、実際のカメラは目立たないように設置していた。つまり、彼女はカメラを避けているつもりが、がっつりと画角におさまってしまっているのだ。
彼女の謎行動の映像は複数にわたって撮影できた。
夜、玄関灯の明かりに照らされながら、塀の影からうちのリビングをじっと覗き込む背中。ゴミの日の早朝、そっと私たちのゴミ袋を覗き込もうとする動作。カメラ越しにその映像を見るたび、背筋が凍る。
「気持ち悪すぎるだろ…」
夫・大智の声は低く、怒りが滲んでいた。私も同じだった。だけど、不安より先に湧いてきたのは、強い意志だった。
「大丈夫。証拠は、全部残ってる」
スマホの画面には、東城さんがこちらを睨みつけながら、スマホで写真を撮っている姿がくっきりと映っている。迷惑行為の事実からは、もう逃れられない。
決定的瞬間、訪れる
そして、その日は突然やってきた。
ある夜、家の外からガサガサと物音がする。カメラの映像を見ると、東城さんがまた家の中を覗こうと、敷地内に侵入しようとしているところだった。その瞬間、そのさらに後ろから声がする。
「こんばんはー、地域パトロールです」
通りに、制服の警察官が2人現れた。東城さんの肩がびくりと揺れる。
「何をされてるんですか?」
警察官が声をかけると、東城さんは振り返り、必死に笑顔を作った。
「な、なんでも!ママ友に用事があって来たんですけど、ボーッとしちゃって…」
「なるほど?ちょっとお話を伺ってもよろしいですか?」
私の中で、安堵と期待が入り混じった感情が大きくふくらむ。「今しかない」と、夫と私は外へ出て、警察に声をかけた。
「すみません、うち、その人に迷惑行為をされています。録画映像もあります」
大智が映像を警察へ提示する。モニターには、これまで積み重ねてきた東城さんの迷惑行動の数々が映し出された。警察官の表情が険しくなり、眉をしかめた。
「これはちょっと……悪質ですね」
慌てた東城さんは、祈るような目で私を見てこう言った。
「なんですか?え、佐藤さん、私たちってママ友よね?」
「いいえ、違います」
「では、署で事情を聞かせてください」
「えっ、署!?私は…私は本当に…」
東城さんは声を上げたが、警察官に促され、パトカーに乗せられていった。その様子を見つめながら、私は震える手で口元を押さえた。怖かった。でも、それ以上にようやく、終わるんだという実感が込み上げた。大智が私の肩に手を置く。
「みのり、よく頑張った」
涙があふれた。家族を守るために、やっと一歩を踏み出せたのだ。
取り戻した日常と誇り
翌日、近所中が「東城さんが警察に連れて行かれたらしい」とざわついていた。
「ちょっと、佐藤さんに相談があっただけなの」
警察署から戻った本人はそう言いながら帰ってきたが、目は泳ぎ、声は上ずっている。あの強気な姿は、跡形もなかった。それからというもの、誰も東城さんに近づかなくなった。あれだけ牛耳っていた主婦の輪からも、すっかり距離を置かれるようになった。そして次第に、東城さんは、家に引きこもるようになったという。
周囲には穏やかな空気が戻り、子どもたちの笑い声が、夕暮れの街に優しく響き渡る。
「もう、安心していいよ」
私は子どもたちの頭を撫でながら、そっと微笑む。パトカーのライトが静寂を破ったあの日を、私は忘れない。
私は、夫とともに大切な家族を守れた。そう胸を張って言えるようになったのだ。
あとがき:守る勇気が世界を変える
どれだけ怖くても、守りたい存在があるとき、人は強くなれる。この物語は、特別な力を持たない一家庭が、正しい手段と小さな勇気で日常を取り戻すまでの記録です。恐怖の中で震えることは、弱さではありません。踏み出したその一歩こそが、確かな強さです。
あの日の怖さも、涙も、そのすべてが家族を守った誇りに変わりました。どうか、同じように悩む誰かの力になりますように。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










