ⓒ山崎剛さん
ランニングバイクとは?
ランニングバイクとは、ペダルなしで足で漕いで前進する幼児用自転車です。公園などで遊んでいる子を見たことがあるママも多いのではないでしょうか。三輪車や自転車と違い、ペダルをこがないため直観的な動きで進むことができ、より小さい年齢のうちから楽しめるのが魅力の一つです。
日本ではストライダー、へんしんバイク、D-Bike KIX(ディーバイクキック)などが発売されています。
ランニングバイクはいつから乗れる?
ⓒ山崎剛さん
ストライダー、へんしんバイク、D-Bike KIXともに2歳ごろから対象としています。身長85cmごろから乗ることが可能です。商品によってサドルの高さに差があるので、お店で試乗してみて足がしっかりつくかどうか確認してから購入すると良いですね。
日本ランニングバイク連盟の山崎剛さんによると、安全に乗るために合わせる高さは、ハンドルは胸の位置、サドルは両足を地面に着いて、ヒザが少し曲がる程度に合わせるのがよいそうです。確認してみてくださいね。
ランニングバイクの使用上限年齢は5歳程度までとしている製品が多いです。また、体重制限はストライダーは27kg、へんしんバイクは30kg、D-Bikeで20kgとなっています。大きくなってから購入する場合には使用時期が短くなってしまう可能性があります。
- STRIDER JAPAN「ストライダー」ストライダー(http://www.strider.jp/about/)
- ビタミンiファクトリー「へんしんバイクS」へんしんバイク(https://goo.gl/C2KmPO)
- アイデス「D-Bike KIX」ides(http://www.idesnet.co.jp/products/content.php?id=386)
プロに聞くランニングバイクの安全な乗り方と上達法
ⓒ山崎剛さん
ランニングバイクに興味はあるけれど「危ないのでは?」「安全に使うためにどんなことをしたらいいの?」とわからないママも多いのではないでしょうか。そんなママたちの疑問を、日本ランニングバイク連盟の山崎剛さんに聞いてみました。
わが子が安全に楽しくランニングバイクで遊ぶために、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ヘルメット、プロテクターを必ず着用する
まずはランニングバイクを買い与えるとき、ヘルメットやプロテクターなど身を守る防具を一緒に購入しましょう。はじめに防具なしで遊ばせてしまうと、つけることを嫌がるようになってしまうかもしれません。ランニングバイクで遊ぶときには絶対にヘルメットをかぶる、プロテクターをつけることは子供と約束しましょう。
ママがしっかり見守っていても、スピードが出るようになるとついていけなくなることもあります。万が一の時のために頭部や体を守ることは大切なことです。
公道や人通りの多い場所で遊ばない
ランニングバイクで公道を走るのは危険です。広い公園や広場で遊ぶようにしましょう。最初は歩くほどのスピードしか出なくても、コツをつかむと子供たちはどんどんスピードを出す楽しさを覚えていきます。人にぶつかると、本人はもちろん相手にも怪我をさせてしまう可能性もあるでしょう。
「必ずママやパパと一緒に遊ぶ(1人で遊ばない)」「たくさんの人がいる場所では遊ばない」ということは、スピードを出すことを覚える前に約束しておきましょう。
上達に役立つ!プロがおすすめする遊び方
山崎さんによると、上達するために一番の道は「自由に遊ぶ」ということ。安全のための約束はしっかりと守らせ、その上でママやパパはじっくりと見守り、子供が自由に遊ぶのを見守りましょう。子供自身がハンドル操作やバランス感覚を学ぶため、ハンドルを持ってバランスを取らせようとしてはいけません。
「曲がる」という感覚を学ばせるには、100円ショップで販売しているマーカーコーンを置いて、それに沿って走らせるのが有効だと山崎さんはいいます。また、緩やかな傾斜を上ったり下りたりすることで、スピードに慣れるようになっていきます。
ブレーキがなくても安全な理由
ランニングバイクの中にはブレーキのないものも販売されています。「ブレーキがないのに止まれるの?」と不安になるママもいるかもしれませんが、山崎さんによるとブレーキがない車種でも足をついて止まることができるのだそうです。2~3歳の子でも、靴底を地面に擦る形で止まります。スピードを出すにつれて靴底が減りやすくなりますが、ブレーキ装置がないことによって車体が軽くなるため、子供たちが遊ぶ上では負担が少ないのだそうですよ。
ブレーキ付きの車種の場合は、まずはブレーキをしっかり握ることを教える必要があります。2歳ごろではなかなかしっかりと握ることは難しいかもしれませんが、手が大きくなり操作できるようになってきたら少しずつ教えていきましょう。
ランニングバイクのレースに参加してみよう
ⓒ山崎剛さん
現在、さまざまな場所でランニングバイクのレースが開催されています。メーカー主催のものもあれば、日本ランニングバイク連盟で開催しているものもあります。今回は日本ランニングバイク連盟が開催しているレースについて聞いてみました。
ランニングバイクのレースに出られるのは何歳から?
日本ランニングバイク連盟主催のレースでは、2歳から5歳までの子供が出場できます。他のメーカーなどの主催レースも、だいたい2歳ごろから出場可能なのだそうです。
初心者でも出られる?
初心者でレースに出られるのかは少し不安ですよね。しかし山崎さんによると「ぜひ、参加してください!ランニングバイクにまたがり、よちよちでも1人で操作できるくらいであれば全く問題ありません。」とのことです。ぜひチャレンジしてみましょう。
よい記念になりそうですし、本人も上達への意欲が増しそうですね。
出場するためにかかるお金は?
日本ランニングバイク連盟主催のレースの出場料は2500円。そのほか1000円~2500円ほどでレースを開催しているイベントが多いようです。
レースに出場する際に準備するものは?
ⓒママリ
- ランニングバイク
- ヘルメット
- プロテクター
- 手袋
ランニングバイクと防具を用意します。あとは「楽しむ心」が必要だという山崎さん。勝敗にかかわらずレースに出場することを楽しむ心をもって参加しましょう!
実際に出場した子供たちの様子は?
山崎さんによると、レースに出場する子供たちの表情はさまざまだそう。年齢が小さい子供は笑顔満載の子が多いのですが、その一方でたくさんの人に見られることに慣れていない緊張からか、泣いてしまう子もいるのだそう。
大会に慣れてくると、友だちに勝ちたいという気持ちが芽生え、走っているときの顔が真剣になります。そして、勝ったときに見せる満足そうな笑顔や、負けた時の悔しそうな顔、時に涙を見せてくれるようになるのだそうです。好きなことに真剣になる子供たちの表情には、親も目頭が熱くなってしまいそうですね。
山崎さんに聞く「ランニングバイクレースのここがおすすめ」
ⓒ山崎剛さん
ランニングバイクレースの一番のおすすめポイントは、子どもの成長を間近で見られることだそう。また、親として子どもの接し方を学ぶことができることもメリットなのだといいます。
「わが子が上手に乗れるためにあの手この手を考え、子どもが上手に乗れた時は感動です。もちろん、子どもが思い通りに乗ってくれずにイライラすることもあるかもしれませんが、親として感情のコントロール方法を学べます」と山崎さん。
山崎さん自身も娘さんにランニングバイクを教える1人のパパ。わが子の成長を見守る親としてもスキルアップすることができると語ってくださいました。
自転車につなげる時期と方法
ⓒ山崎剛さん
「ランニングバイクに乗っていると、補助輪を使わなくても自転車に乗れるようになる」といいますが、実際にはいつ、どのように自転車に移行していけばよいのでしょうか。自転車への移行時期の見極め方や方法についても山崎さんに聞いてみました。
「両足を地面から離してカーブ」が自転車移行のタイミング
ランニングバイクで上手に遊べるようになり、両足を地面から離してカーブを曲がれるようになったら自転車に移行するタイミングです。ペダルを漕ぐことを教え、自転車に移行していきましょう。
通常のランニングバイクの場合、ここで幼児用自転車を新しく購入しますが、ランニングバイクの中でも後からペダルを取り付けられる「へんしんバイク」などの車種では、使っているランニングバイクにそのままペダルを取り付け、自転車練習に入ります。
自転車を教える3つのコツ
ⓒママリ
ランニングバイクでしっかり鍛えたバランス感覚を生かし、自転車に乗れるようになるための3つのコツがあります。このコツを意識して自転車を教えてみましょう。
1.ハンドルは支えないこと
「転んでしまいそうだから」とハンドルに手を添えるのは厳禁。ランニングバイクもそうですが、ハンドルを支えることは、子供の操作性を奪うことになります。支えるのであれば、サドル(椅子)の下を抑えてあげる方がバランスが取りやすくなりますよ。また、子供自身にとってもパパやママがそばにいるという安心感につながります。
2.スタンドを立てて「こぐ練習」を
ランニングバイクを楽しんできた子供たちにとって、ペダルを漕ぐのは初めての体験という子もいますよね。
はじめは、前に漕ぐのが難しいため、スタンドを立てて前に進まない状態でこぐ練習をしてみましょう。ペダルの上での足の運び方を学ぶことで、実際に走った時にしっかり前に進めるようになります。
3.補助輪は絶対に使わない
ランニングバイクでせっかく養ったバランス感覚も、補助輪を付けてしまっては台無しになってしまうのだそう。はじめは「不安」という思いや、パパママが小さかった頃は補助輪が当たり前だった、という思いがあるかもしれませんが、補助輪はつけずに練習しましょう。
実際に私自身の息子も2歳から「へんしんバイク」を使っていて、3歳を少し過ぎたころ自転車移行をしたのですが、補助輪を使わなくても1~2時間の練習で自転車に乗ることができるようになりました。「本当に補助輪はいらないのかな...」と不安もありましたが、子供自身が思ったよりもずっとバランス感覚を身につけていてびっくりしました。
安全にランニングバイクを楽しもう
ⓒ山崎剛さん
いかがでしたか?子供たちのバランス感覚を養い、外遊びをさらに楽しくしてくれるランニングバイク。ただの乗用玩具としてではなく、親子で上達を喜び合って練習していくことで、親子の絆を強めてくれる素晴らしい乗り物ではないかと思います。
危険があるのでは、と心配されやすいランニングバイクですが、実際にはルールを決めてしっかり安全に配慮すれば、安心して楽しむことができます。購入するときには家族で安全について話し合い、安全に関する約束をしてはじめてみましょう。わが子が「できた!」と瞳をキラキラさせる様子を見たときはとてもうれしいものです。ぜひ親子でランニングバイクを楽しんでみましょう!
取材協力:日本ランニングバイク連盟 山崎剛さん