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取材協力:すばる舎リンケージ

うまく運動ができない!身体のバランス感覚を養う遊びをご紹介

発達障がいのある子供の中には、平衡感覚などの感覚を脳が処理することが苦手な子供がいます。姿勢を保ったり、バランスをとったりすることがうまくできないのです。そこで、児童精神科医の佐々木正美さん監修のもと、臨床心理士の木村常雄さんが執筆した「発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび」をもとに、感覚統合に問題のある子供でも、楽しくバランス感覚を養うことができる遊びをご紹介していきます。

PIXTA

なぜ、身体のバランスや姿勢を保つことが難しいの?

発達障がいの子供は、発達が凸凹で得意なことと不得意なことにバラつきがあります。一般的な子供と比べてしまうと、どうしてもできないことが目立ってしまいます。

子供の様子を見ていて、身体の動きがぎこちなかったり、姿勢が不安定だったりすることはありますか。このような行動が、ある限られた状況だけでなく、「いつでも」「どこでも」頻繁に確認できる場合は、感覚統合に問題がある可能性があります。感覚統合とは、平衡感覚などの感覚を整理したり統合したりする脳の働きのことを言います。

そのため、バランスをとったり、運動をしたりすることが難しいのです。

身体のバランスや姿勢を保てるようになるには

運動 子供 PIXTA

姿勢を保つことが苦手な子供には、全身を動かす遊びがおすすめです。全身を動かす遊びには、追いかけっこやブランコ、ダンスのような色々なものがありますが、運動が苦手な子供にとって難しいものもあります。子供のレベルに合わせた遊びをすることが大切です。

また、感覚統合の問題は、練習すればできるわけではありません。無理に練習量を増やしても、子供はその遊びが嫌いになる恐れがあるので、注意が必要です。

量よりも、どれくらいできるかの加減が大切になります。ちょっと動かせた、一緒に回れたというように、少しずつトライしてみましょう。目標を到達できるレベルに設定し、子供ができることを増やして、少しでもできたら褒めましょう。そうしていくことで、子供は自信を保つことができ、主体的に取り組んでいくでしょう。

子供が身体のバランス感覚を身につけられる遊びをご紹介!

子供によって、運動能力に差があるので、子供にあった遊びをすることが大切です。簡単にできるようなものから、少し難しいものまで、全身を使った遊びをご紹介していきます。我が子に合いそうな遊びが見つかったら、ぜひ試してみてくださいね。

しっかりつかまって、おんぶとだっこ

©︎大葉リビ

道具を必要としない簡単な遊びです。抱っこやおんぶは日常的に行うことですが、ひと工夫アレンジするだけで立派な遊びになります。

子供にとっても難易度がそこまで高いわけではないので、取り組みやすい遊びです。

準備するもの

・動き回ることができる少し広い空間

遊び方

  1. 初めは、子供を抱っこして、しっかりつかまらせて上下左右にゆっくり揺らします。できるようならば、大人の首にしっかりしがみつかせて、ゆっくりジャンプします。
  2. 次に子供をおんぶして、背中に乗せます。しっかりつかまっていられそうなら、手順1と同じようにジャンプしたり、左右に揺らしたりします。
  3. 終わりにするときには、あと一回で終わることを宣言してから終わります。終わりにしたら、必ず一度子供を床に降ろします。もう一回やりたいようであれば、再度抱っこします。

注意点

しっかりとしがみつくことができない子供の場合、落下することがあり、そうなってしまうと子供がこの遊びを嫌がってしまう恐れがあるので、注意が必要です。しがみつくことができない場合は、大きな動きはせずにちょっとだけ動かすようにしましょう。

また、おんぶは子供の様子が見えにくいので、特に注意が必要です。姿勢を保つことが苦手な子供は、後ろに反り返ってしまう場合もあります。しっかり手で押さえてあげるようにしましょう。

この遊びに慣れてきたら、背中に乗せてお馬さんごっこなどに発展させると、さらに楽しく身体を動かせるようになります。

ぶらさがり棒あそび

©️大葉リビ

腕で身体を支えることができる遊びです。筋力が必要な遊びなので、少し難易度は高くなっています。腕の使い方や忍耐力を身につけられるようになります。

難しい遊びなので、子供が達成感を得ることができ、自信を保つことができます。少ししかできない場合は、つかまっている時間や距離を調整しましょう。

準備するもの

  • 物干竿(できれば短くなるもの)
  • ビニールテープ
  • ぬいぐるみ(人形)

遊び方

  1. 大人二人で行う遊びです。2メートルぐらいの距離で、スタートとゴールを決めてビニールテープを貼ります。大人が物干竿の両端を持ち、ぬいぐるみがつかまっているように見えるよう中央で押さえながら、スタートからゴールまで歩いてモデルを示します。
  2. スタートラインに子供を呼び、子供の腰の位置あたりで、大人が両端を持った物干し竿を両手で握らせます。握らせたまま、ゆっくり物干竿を上に上げて、子供の体が宙に浮くようにします。
  3. 子供が宙に浮いている状態で、大人は物干竿にぶら下がった子供をゴールまで運びます。
  4. ゴールまで来たら、子供の足がゆっくり床につくように降ろして、できたことを喜び、おしまいとします。

楽しく遊ぶポイント

  • 最初は短い距離で、あまり高く持ち上げないレベルから始めましょう。
  • 子供が物干竿を握る時は、まず腰のあたりで握らせてから徐々に上に上げて、ぶら下がる感覚を味わっていくようにしましょう。
  • 子供が途中で手を離すようであれば、大人が物干竿を片手で持ち、もう片方の手は子供の握っている上にかぶせて押さえるようにしましょう。
  • できたことをはっきりさせて、頑張ったことを評価しましょう。

バランスボールあそび

©︎大葉リビ

バランスボールを使って体幹をしっかりさせることができる遊びです。ママが、バランスボールに乗った子供を揺らすことで、楽しむことができます。揺れを怖がる子供には、乗っているだけでも十分楽しめます。

親子で向かい合って遊ぶので、信頼関係を築くきっかけにもなります。

準備するもの

・バランスボール(美容器具でも大丈夫です)

遊び方

  1. バランスボールの上に子供を、あおむけ、うつぶせに順番に乗せて、少し押したり、左右に揺らしたりしましょう。足を持って、前後左右に強弱をつけて揺らします。
  2. 子供が怖がらないようであれば、大人が子供の両手をとり、ボールの上に立たせて「1、2、3」と数えてジャンプさせます。それから「おしまい」と言って、子供をボールに座らせ揺らすなどします。
  3. 子供がバランスをとりにくいようであれば、座らせて、手ではなく腰や脇の下を抱えるようにして、前後左右に揺らします。
  4. 何度か繰り返して行い、最後の一回をやる前に「これでおしまい」と宣言して、終わりにします。

楽しく遊ぶポイント

  • ボールに注目させるため、初めにボールを弾ませたり、叩いて音を出したりしてみましょう。
  • 子供が揺れを怖がるようであれば、無理に行わず、しっかり抱っこして、ボールに少し触れる程度で終わりにしましょう。
  • 手を繋いだり、脇を抱える時に、子供が笑い転げたり、嫌がったりする場合は、触覚が敏感なことがあるので、無理に行わないようにしましょう。

ロケット発射あそび

©︎大葉リビ

この遊びは、「たかいたかい」をアレンジした遊びです。名前を呼びかける遊びなので、呼んでも近づいて来てくれない子供にもおすすめです。また、子供は姿勢を作るだけの簡単な遊びなので、難易度も低く取り組みやすい遊びです。

準備するもの

・ぬいぐるみ

遊び方

  1. ぬいぐるみを使ってモデルを示します。「◯◯ちゃん(ぬいぐるみの名前)ロケットは、3、2、1、0、発射!」と言って、両脇を抱えて「たかいたかい」をします。
  2. 子供が興味を示すようなら、近づいて両脇を抱えて「◯◯ちゃん(子供の名前)ロケットは、3、2、1、0、発射!」と言って、「たかいたかい」をします。
  3. 子供が喜ぶようであれば、大人が位置を変えて「◯◯ちゃんロケットは…」と言って姿勢をとり、子供が近づいて来るのを待って、やって来たら行います。
  4. 終わりにする時には、「これでおしまい」と予告してから行います。

楽しく遊ぶポイント

  • 名前を呼んだり、秒読みをしたりすることで、子供が姿勢を作れるように誘います。
  • 終わりをはっきりさせるため、最後の発射が終わったら、大人は場所を移動しましょう。

子供のレベルに合わせて、楽しく遊びましょう!

感覚統合に問題がある場合は、姿勢を保ったり、バランスをとったりすることが、身体的に難しくなります。不安になってしまうと思いますが、少しずつ全身を使った遊びを積み重ねていき、子供が運動をすることが好きになるようサポートしてあげましょう。

今回参考にした「発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび」という本では、発達障がいを持つ子供との遊び方についてカテゴリーごとに具体的な遊び方も紹介されているので是非参考にしてみてください。今回ご紹介したもの以外にも、お子さんの好きな遊びもあるかもしれません。

本でご紹介している遊びはほんの一部ですが、子供との遊びが今以上に大人自身を「発達」させられるような機会となれば嬉しいですね。

発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび

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