乳幼児事故が最も多いのは「1歳児」
東京消防庁の「子供の事故発生」調査によると、平成22年から平成26年までの5年間に44,798人の乳幼児が救急車で病院へ運ばれました。
平成26年中は9,629人が搬送され、過去5年間で最多に。乳幼児を年齢別にみると、1歳が2,478人と最も多く、次いで2歳が1,996人という結果が出ました。
- 東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活の事故」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201510/nichijoujiko/data/all.pdf,2019年12月26日最終閲覧)
乳幼児に多い事故と、その対策
赤ちゃんにとってみれば、家の中は「触ってみたくなる」ものばかり。好奇心旺盛で、想定外の行動をしかねません。
乳幼児に多い事故とその対策を知ることで、我が子を危険から遠ざけることができます。
救急搬送数が多い事故は「落ちる」と「転ぶ」
前述の東京消防庁管内の発表によると、緊急搬送が多い事故形態は「落ちる事故」と「転ぶ事故」でした。平成22年から平成26年までの5年間に5歳以下の子供115人が住宅等の窓やベランダから落下する事故が起こっています。
また落下する場所はベランダだけとは限りません。家にあるソファーやベッド、小さなテーブルから落ちたり、上に登る途中で転んだりする可能性もあるのです。
「落ちる」「転ぶ」を防ぐ対策
子供の成長スピードは親の想像を上回ることがよくあります。行動範囲がいっきに広がり、上がることのできなかった場所に上がっているかもしれません。落下事故を防ぐためには、危険な場所への動線を断つことが重要です。
- 登れるようなものは窓際やベランダに置かない
- 踏み台、エアコンの室外機、植木鉢などを置く場所に注意する
- ベランダへの出入口の鍵を二重にする、階段に柵をつける
- ソファーやベッド、高低差がある場所では1人にさせない
お風呂で最も多く起こる「おぼれ」事故
救急搬送される事故の中で最も重症になりやすいのは「おぼれ事故」で、発生場所第1位は自宅の浴槽です。
母親が1歳に満たない乳児ときょうだいと入浴しているときに、きょうだいの世話をしているうちに、乳児が浴槽内で溺れた事故も報告されています。このほかにも、水遊びとして首掛け式浮き輪を浴槽で使用して、保護者が目を離したときに乳幼児がおぼれる事故も発生しています。
また、踏み台があれば洗濯機でおぼれてしまう可能性があることも認識しておきましょう。
「おぼれ」を防ぐ対策
赤ちゃんの体を清潔にするために入浴は欠かせませんが、一歩間違えると事故につながります。ちょっとした意識を心掛けるだけで、子供の「おぼれ」を防ぐことができます。
- 乳幼児をお風呂に入れているとき、水遊びをさせているときは、決して目を離さない
- 子供だけで浴室に入れないようにしておく
- 洗濯機に上る可能性があるので、踏み台を置かない、フタを閉めておく
食卓やキッチンでは「やけど」に注意
「やけど」事故に遭遇するシチュエーションも想定しておきましょう。味噌汁やお茶、スープなど、食卓に置いてあるありふれたものでも、子供がやけどをする危険性をもっています。
ハイハイができるくらいの乳児が「テーブルクロスを引っ張りテーブルに置いてあったスープがかかった」「床に置いてあるポットのコードに引っ掛かってポットがひっくり返り、沸騰した湯をかぶった」などのやけど事故の報告もされています。
また、子供を抱いたままの飲食にも注意です。母親が味噌汁を飲んでいる最中、抱っこ紐で前に抱かれた1歳児が目を覚まして急に動いた際に、味噌汁が左頬にかかり受傷したというケースも。
「やけど」を防ぐ対策
子供の「やけど」を防ぐためには、思わぬところから熱い液体が体にかからないようにしたり、熱をもつものに触れないようにしたりしなければいけません。
- やけどの恐れのあるものは、子供の手の届くところに置かない
- 子供を抱いた状態での調理、熱いものを飲食をしない
- ストーブの上にやかんや餅を置かない。ストーブの周りは柵で囲う
- タバコを灰皿に放置しない
0歳から要注意!「窒息・誤食」
乳児は、6か月になった頃から何でも口に入れたがるため、窒息・誤食で緊急搬送されることが多くなります。
突然食べ物を喉に詰まらせたり、体温計に入っていたボタン電池を飲み込んだりするほか、洗面所にあった洗濯用パック型液体洗剤の誤食という事故も。
重症または重篤と診断された事例として、プチトマト、スーパーボール、ゴム風船、ピーナッツなどもあげられています。
また、赤ちゃんは自分で頭をあげることができないため、ふかふかの布団や枕でうつ伏せになった状態のままだと窒息の危険性が潜んでいます。ベッド内に柔らかいぬいぐるみを置いたままにすることも避けましょう。
「窒息・誤飲」を防ぐ対策
思いもよらないものを口に入れてしまうのが子供というもの。
誤飲しやすいものや、誤飲したときに危険なものを置かないことが大切です。
また、ふかふかの布団や枕などといった寝具も見直してみましょう。
- 誤って飲み込んだ時に危険性の高いもの(灯油、ボタン電池、洗濯用パック型液体洗剤…)が何かを認識する
- 食べ物は年齢に応じた大きさや形にして食べさせる、食事中びっくりさせない
- 仰向け寝で寝かしつける、子供の寝具を見直す
- スーパーのビニール袋やクリーニングのビニールで遊ばせない
- 国立保健医療科学院「年齢別に多い事故(0~1歳)」子供に安全をプレゼント 事故防止支援サイト(https://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/jikoboshi/general/infomation/jiko0_1.html#jiko1,2017年8月17日最終閲覧)
予想外の事故になる前に発生源を認識することが大事
毎日の育児に追われる中、子供の動き全てを把握することは困難なもの。しかし、一瞬の油断が予想外の事故につながることもありえます。だからこそ、家庭内で起きやすい事故の発生源を認識して、対策を講じることで、我が子を危険から遠ざけましょう。
行動範囲が広がった子供が「どこにいって何をするのか」。視点を変えるだけで安全性は高まるはずです。
日々成長する子供を見守るためにも、事故が起きるような危険がないか、前もってチェックする習慣をつけるようにしましょう。
- 東京消防庁「東京消防庁調査「子供の事故を防止しよう」」(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/camp/2016/201605/camp1.html,2017年8月7日最終閲覧)
- 国立保健医療科学院「子供に安全をプレゼント 事故防止支援サイト」(https://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/jikoboshi/general/infomation/jiko0_1.html,2017年8月7日最終閲覧)