©野原広子
子供に怒ってばかりの毎日…嫌になりますよね
日々の子育てとはなかなか切り離すことのできない「怒り」。皆さんは、1日にどれくらい子供に対して怒っていますか?
「怒ると叱るは別物」「冷静に子供に対して諭さないと」などと普段は思っているものの、疲れやストレスがたまっているときや、子供の聞き分けがあまりに悪いときにはついカッとなって「何度同じことを言わせるの!」「良い加減にして!」など、つい言ってしまう…皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
言ってしまったあとは、大抵「なんであんな風に言ってしまったのだろう」と自分自身が後悔するのが分かっているのに、子育てになると自分の怒りをコントロールできなくて困っている…というママは結構多いようす。
「毎日怒り過ぎて、子供まで怒りっぽくなってしまった。このままだと悪影響があるのでは…」と心配になるかもしれませんが、実は怒りのコントロール方法や子供に対しての叱り方には、ポイントがいくつかあります。今回はアンガーマネジメント講師の篠真希さんが執筆した本から、叱り方のコツや押さえるべきポイントについて紹介します。
「子供の心に響く叱り方」三つのポイント
厳しく怒って伝えても、その真意を分かってもらえない…と悩んでいる方もいると思いますが、それは子供の心に届いていない叱り方をしているのが原因かもしれません。
時間をかけず子供にも理解しやすい叱り方をするにはいくつかコツがある、と篠真希さんは著書で述べています。どのようなコツがあるのかをいくつか紹介します。
1.あれこれ叱るより一つに絞って伝える
©野原広子
子供を叱るときに、以前のことを蒸し返してグチグチ言ってしまった…そんな経験はありませんか?
筆者はわが子を叱るとき、「何で同じことを繰り返すの?この前も同じことで怒ったよね?」とつい言ってしまいがちです。次第に以前似たような内容で怒ったときの話まで持ち出し、感情に任せて言いたいことをマシンガントークで一気にしゃべりきる…。客観的に見てみると、ひどいと感じる叱り方しかできていませんでした。
篠さんによると、子供を叱るときにいちばん大事なのは「言うことを一つに絞ること」なのだそう。
大人の感覚からしてみると「なぜやってはいけないか」「それをしたら自分や周りの人がいかに困るか」などを一緒に伝えたいという気持ちから、あれもこれもいっぺんに言ってしまいがち。しかし、子供にとっては一度に多くのことを言われると、何を言われたのかがよく分からなくなってしまいます。「この前だって~」「あのときだって~」と言われると、「いつのこと?」と更に混乱する原因に。
「10言えば8くらいわかるだろう」ではなく「1を言って1をキッチリ伝える」方が意味がある叱り方となり、子供にも伝わりやすくなるのです。
2.「なんでやらないの?」ではなく「どうしたらできるの?」に
叱るときの言い方にも、子供に言いたいことを伝わりやすくするポイントがあります。
子供を叱る際、「何回言ったらやるの?」「良い加減にしなさい!」などのフレーズが出てきがちですが、素直な子供が文字通り受け取ってしまうと理解しづらい場合があります。親は「やらないこと=悪いこと、いつも言っているのだから理解しているはず」という大前提のもとに強調の意味合いを込めて言ったとしても、子供は「あと何回かな…」「良い加減って何だろう…」と、全く違った捉え方をしてしまう可能性も。
特に良くないのが、「なんでやらないの?」という聞き方です。「なんで?」と聞かれると、責められた気持ちになり言い訳を考えてしまうことも。さらに、とっさに考えた言い訳はだいたいがあいまいな内容なので、親が聞いても余計に怒りが増すものばかり。結局話の論点が更にずれていき、らちがあかなくなってしまいます。
これからすることに目を向けさせる
できなかったことを責めるような「なんで?」という聞き方や叱り方は、求めている返答がかえってくるわけでもなくイライラが増すばかり。
そこで、視点を変えて「どうしたらできる?」といった質問を利用します。怒られたことに対し何ができなかったのかを悩んだり分析したりするのではなく、「これからできるようにするためには?」「どういう状況を作り上げたいか?」という点を考えて未来に目を向けさせる、という方法。これを「ソリューション・フォーカス・アプローチ(未来解決思考)」といいます。
ソリューション・フォーカス・アプローチを使うことで、叱られた子供側もできなかった過去ではなく、これからの未来に意識が向くので「よし、これからは頑張るぞ」と自分自身でやる気が起きるようになっていくのです。
3.「うるさい!」よりも「10分静かに」と伝えよう
前述したように、大人にとっては簡単に聞こえる叱り方や指示も子供には理解しにくいと感じるものがります。叱ったつもりでも、相手に伝わるように言わなければ効果はありません。
例えば「うるさい!ちょっと静かにしてなさい」を「10分間だけ静かにしててくれる?」と言い換えるだけで、どういう行動をとったらいいのかが明確になり、子供たちも理解してから行動に取り掛かるスピードが速くなります。
「抽象的ではなく具体的に伝える」ことは叱るときだけでなく、褒めるときやリクエストをするときにも有効です。親が具体的に伝えることを習慣づけていれば、子供も次第にそのコミュニケーション法を学んでいき、結果としてお互いにストレスを感じにくい会話をすることができるようになるでしょう。
子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない
子供を叱るのは想像以上に難しいもの。大人同士であっても相手に対し叱る・怒るという行為は、相手の反応や話したい内容を整理しながらでないと伝わりづらいのに、大人のように話を理解できない子供が相手であってはなおさらです。
「自分は子供のことをまともに叱ることができない…」と悩むのであれば、一度関連本を読んでノウハウを知るということもとても大事です。今回の記事で紹介した篠真希さんの著書では、記載した内容以外にも具体例や実例を交えながら分かりやすく子供との接し方を説明してくれています。
とにかく子供にイライラ、どうしてこうイライラするの?という人が手に取るには良い本かなと思います。具体例や、うんうん、わかる!という実例がたくさん載っていて、共感しながら読めました。 ※1
育児の参考になりました。
基本を抑えればどの年にも使えるのかなぁと個人的に感じました。 ※2
まさに今のわたし。イライラの原因はこどもではなくて、自分に合わせようとする自分の考えということを突きつけてくれた。こどもとわたしは分身ではなく、それぞれひとりの人間。合わせようと強いらないようにしよう。 ※3
すでに本を読まれた方たちからも「参考になった!」という声がずいぶんと上がっているようですね。
人との接し方のノウハウは対子供だけでなく、どんな人相手でも使えるもの。ママやパパは子育てを通して以前とは違う年代の人や知らなかったジャンル・世界の人とも関わる機会が増えてきます。今後の人付き合いを円満にするためにも参考にしてみるのもいいかもしれませんね。
コツを覚えれば円満な親子関係を保ちながら子育てできます
©野原広子
子供を叱らずに子育てをするのは難しいもの。未来ある子供に、きちんと正しい概念や価値観を伝えていくのが親として、そして大人として果たすべき責任なのではないか、と筆者は思います。
しかし、その気持ちが強すぎてしまうと次第に独りよがりになってしまい、気づけば押し付けのような口調になったり、自分の思い通りにならずにイライラを募らせたり…といった事態にもなりかねません。
筆者自身もよく娘から「きちんとゆっくり言ってくれたら分かるよ!だからぷんぷん怒らないでね」と言われます。恐らく娘の言う「ゆっくり」は、「何が駄目なのか」「分かりやすく具体的に」ということを言いたいのだろうな…と感じます。
子供は親が考えている以上に親の言動を見ていますし、きちんと個をもった1人の人間です。だからこそ、早いうちから正しい接し方を確立し、円満な親子関係を築いていくのが大事なのかもしれませんね。皆さんもコツを覚え、行動を少しだけ変えてみて、今より楽しい親子関係を築いてみませんか?