絵本の読み聞かせが大切な理由
子どもへの絵本の読み聞かせが大切だとされる理由はさまざまですが、主に子どもの言葉への関心を高めたり、共感力を養ったりすることに効果的だとされています。読み聞かせの大切さについて詳しく確認していきましょう。
子どもの共感性が育まれる
まず、絵本の読み聞かせが与える効果として共感力が養われるという報告があります。絵本の読み聞かせを聞くと、登場人物の心情がだんだんわかってきますよね。
今井・坊井(1994)では、幼児に絵本の読み聞かせを繰り返すと心情理解が促進されると報告しており、絵本の読み聞かせが幼児の共感性を育てる有効な方法のひとつであることを明らかにしている。 ※1
このように、絵本の読み聞かせは相手の気持ちを理解する能力を高めるために効果的。心優しく思いやりのある子どもに育てるためには、絵本の読み聞かせがかかせないのです。
言葉・感覚・好奇心などが幅広く養われる
絵本の読み聞かせで養われる能力は共感力だけではありません。次の資料にある内容を参考にすると、子どもの人間性自体を育むと言っても良いでしょう。
…中略…絵本や読み聞かせに関する言及は,五領域の「言葉」のみならず,様々な部分においてその内容の重要性に言及が及んでいることがわかる。中でも,文字・言葉・感覚・興味・関心・豊かという言葉によって表現されている内容が,絵本や読み聞かせに密接な関係があることが予想される。 ※2
絵本の読み聞かせが与える効果には、言葉を覚えたり、感覚を養ったり、興味・関心を高めたりとさまざまなことが期待できます。
子どもの心を養うだけでなく、文字を見ることで言葉への関心を持つ子もいるでしょうし、知育絵本であれば勉強へのきっかけとなる知的好奇心をくすぐることもあるでしょう。絵本の読み聞かせの大切さとは、子どもの心・頭・人間性を養うことなのです。
想像力が豊かになる
絵本の中では、現実に起こり得ることや、ファンタジー要素を含むものなど、さまざまなストーリーが展開されます。これらに触れることにより、想像力を育む効果が期待できますね。
子供が物語を聞いているときは、登場人物になりきって、想像の世界を自由に楽しみます。登場人物のうれしさや悲しさ、痛みなど、さまざまな気持ちにふれることで、他人の感情や思いを知ることができます。物語の中で、いろいろな世界を体験することにより、想像力などを身につけていきます。 ※3
まだ小さな子どもの場合、自分でできることは少ないですし、行動できる範囲も限られています。
絵本は、物語の登場人物に感情移入をして楽しむこともできるので「自分だったらどうする?」「どうしてこうなったと思う?」と質問をしてみましょう。より深く物語を考えられるようになるはずです。
本が好きになる
子どもには、将来的に本を好きになってもらいたいと考えているママもいるはず。小さいうちから絵本に触れていると、本好きになってくれる可能性があります。
絵本の読み聞かせが子どもに対してどのような影響をもたらすのか調べた研究では、読み聞かせによって本が好きになったとの声が見られたとのことです。
将来は本を通していろいろなことを学んでもらいたいと考えている場合も、絵本の読み聞かせが一つのきっかけになってくれそうですね。
- 鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学「絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響-テキストマイニング法を用いて-」(https://core.ac.uk/download/pdf/236641413.pdf,2022年4月14日最終閲覧)
- 摂南大学教育学研究「幼児期の絵本の読み聞かせが就学後の読書に及ぼす影響」(http://altmetrics.ceek.jp/article/id.nii.ac.jp/1213/00000842/,2022年4月14日最終閲覧)
子どもとの触れ合いにつながる
読み聞かせは、子どもとのコミュニケーションの一つであり、触れ合いにもなります。パパやママが読み聞かせをしてくれたといった記憶は、子どもの大切な思い出に。子どもと心を通わせたいと考えたときにも向いている方法です。
全く知らない人が行う読み聞かせよりも、自分の母親が行う読み聞かせの方が脳内ネットワークの強度が高くなるとの研究もあります。より集中度も高まるとの研究もあるので、お気に入りの絵本を読み聞かせてあげましょう。
- 人間環境学会「保育・教育現場における絵本の読み聞かせの意義」(https://kguopac.kanto-gakuin.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=NI30003300&elmid=Body&fname=004.pdf,2022年4月14日最終閲覧)
- 金沢大学「母親の読み聞かせの影響力 子どもが集中するのに伴い脳内ネットワーク強度も向上」(https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/94730,2022年4月14日最終閲覧)
絵本を読み聞かせる際の7つのコツ
子どもにさまざまな良い影響を与える絵本の読み聞かせ。しかしパパママの中には、どうやって絵本を読み聞かせたらよいのか分からない…という方もいるのではないでしょうか。
保育園、幼稚園や小学校の先生のような読み聞かせが難しくて苦手だというパパママは、ぜひ読み聞かせの基本とコツを覚えてください。今までより格段に子どもの心を引きつける読み聞かせができるようになるはずですよ。
山梨県立図書館が発行する、読み聞かせについての資料をもとに紹介します。
読み聞かせの導入部分のコツ
絵本の読み聞かせの導入部分は、子どもを絵本の世界に引き込むために子どもの気持ちを落ち着かせることから始めましょう。絵本に集中できるような環境を作り、絵本の表紙や見開きページを使い絵本に対して興味を持ってもらうことがポイントです。
絵本の中に出てくる歌を歌ったり、絵本に対して「これはなにかな?」と質問をしてみたりすることも効果的ですよ。
読み聞かせの導入部分は、あくまでも子どもの関心をひきつけることと、絵本の世界に集中してもらうことが大切です。そのためには子どもに届くよう、はっきりとした声で読み聞かせてあげることにも注意してくださいね。
読み聞かせの終わり方のコツ
絵本の読み聞かせでは、終わり方にもコツがあります。読み終わるとつい子どもに感想を聞いてしまいがちですが、絵本の余韻に浸らせて、子どもの想像力を刺激するためには感想は聞かないようにしましょう。絵本の読み聞かせの終わり方とは、「おしまい」で良いのです。
子どものほうから感想を話してきたら、その内容を否定せず全部受け止めてあげてください。ただし、パパママから感想を求めないように、あっさりと本を閉じることが終わり方のコツです。
上手な読み聞かせには絵本の持ち方もポイント!
保育園・幼稚園・小学校で絵本の読み聞かせをするときには、絵本の持ち方を工夫することもコツのひとつ。参加している子ども全員が絵本を見られるように、角度や位置を途中で変えないであげてください。手で絵を隠さないことにも注意が必要ですね。
そして、ついやってしまいがちな「絵本を動かす」という行為。シーンによっては効果的なこともありますが、絵本を動かすと子どもの集中力が途切れてしまうので、なるべく動かさないようにしっかりとした持ち方で持ちましょう。
- 山梨県立図書館「読み聞かせとは」(https://www.lib.pref.yamanashi.jp/H25guide_yomikikase.pdf,2021年2月17日最終閲覧)
リラックスして読む
絵本を読み聞かせする人が緊張していると、子どもにまでその緊張が伝わってしまうことがあります。特に、たくさんの子どもの前で読み聞かせをするときは焦って緊張してしまいますが、リラックスして読むのがコツ。
絵本には難しい言葉などは基本的に使われていません。ですが、初めてみた文章を読むとつまずいてしまうことがあります。そのため、簡単そうに見える絵本も何度か読み聞かせの練習をしてから挑みたいですね。
大げさな声色の変化は避ける
あまりにも大げさに声色を変えて登場人物を演じ分けるのは、避けた方がよいです。子どもからすると、絵本に集中したいのに読み手の方が気になってしまいます。
面白い本など、声色を変えて読むことによって子どもが楽しんでくれるのであれば、そういった読み方をしてもよいですね。
ただ、登場人物を演じ分ける際、基本は少し声を高くする、低くする程度の変化で問題ありません。声量を調整して体の大きさの違いを演じ分けるのもコツです。
絵をしっかり見せる
絵本はその名の通り、絵がポイントになる本です。文章を読むことばかりに集中してしまうと、子どもが絵を楽しんでいることに気付けず、ページをめくってしまう可能性もありますよね。特にまだ言葉がわからない小さな子どもの場合、絵本の絵から情報を得ています。
ゆっくり読み聞かせを行い、ページもゆっくりめくるようにしましょう。描きこみがたくさんされている絵本については見るポイントも多いので、特にゆっくりめを意識してみてください。
反省点を次に生かす
読み聞かせに慣れていないパパママの場合、初めからうまくはできません。そこで、読み聞かせが終わったら自分の中で反省会を行ってみましょう。
「ページはもう少しゆっくりめくった方がよかったかも」「子どもがうまく感情移入できなかったみたい」など、気になることは次回改善できると良いですね。
うまくできたと感じている部分があれば、次からはそれを伸ばしていくのもおすすめ。いろいろな工夫をしてみてください。
ママリで見つけた、読み聞かせのコツ
実際に先輩ママはどのように読み聞かせをしているのでしょうか?ママリで見つけた体験談をご紹介します。
絵本はなるべく揺らさない、早口にならないようにする、次のページにいくときには一呼吸おいてから読み始める、変に文章を変えずに読む、地声で読む、表紙や裏表紙も見せる、
ですかね!上の子には上記を意識して読んでます😊最近はひらがなに興味をもってきたので、表紙の題名読むときに一文字ずつ指差したりしてます。
下の子にはパッパッと絵が変わるようになるべく早くページをめくるようにして読んでます🥳
想像力を育てたいなら淡々と、子どもにわかりやすく読みたいなら人物ごとに声色を変えて…など、目的によって読み方がいろいろあるのですね。
複数の意見があったものとして、「本を揺らさない」というものがありました。子どもが集中できるということなのかもしれませんね。
絵本の読み聞かせはコツをマスターして楽しく!
絵本の読み聞かせが苦手…というパパママは、まず読み聞かせの基本とコツをマスターして、楽しく読み聞かせを行うことを意識してみてください。
絵本の読み聞かせが与える効果は大きいとされているので、「しっかりと読み聞かせなくちゃ」と思うかもしれません。しかし、子どもにとって絵本は楽しい世界。パパママが楽しく読み聞かせてくれたほうが、きっと子どもも楽しめますよね。
コツをマスターしたら、絵本の読み聞かせの大切さを意識しながら、子どもと一緒に楽しく絵本を読んでいきましょう。