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監修:児島史篤

未来のわが子のために。親がグレーゾーンの子どもと向き合う秘けつ

わが子は、何か発達上の困難を抱えている気がする…そのように思ったとき、すんなりと子どもの現状を受け止めるのはなかなか難しいものです。「育て方を工夫すれば、周りの子と同じようにできるはず」と思い、発達支援を受けたり、相談したりすることを躊躇(ちゅうちょ)することはありませんか。この記事では、都内で療育施設を運営する、臨床発達心理士の児島史篤(こじま ふみあつ)さんに、グレーゾーンの子どもと親の向き合い方について聞きました。

PIXTA

わが子がグレーゾーンかも…どう受け止めればよい?

発達が遅れていたり、他の子と比べて育てにくさを感じたりするとき「もしかして発達に問題があるのかも」という思いが頭をかすめることがあるでしょう。しかし、他の子とは違うという現状は受け入れがたいことも。

発達障害と診断されない状態だからこそ、親としてはわが子を「発達障害がある(かもしれない)子」あるいは発達障害のない、いわゆる「普通の子」のどちらだと考えて子育てをすれば良いのかわからず、気持ちが揺れることがあるかもしれません。

人によっては、子どもの将来を悲観したり、育児を続ける自信をなくしたりして、子どもよりも親の気持ちが不安定になることも。そんな親の気持ちと、子どもとの向き合い方について、臨床発達心理士の児島史篤(こじま ふみあつ)さんに聞きました。

Q1:子どもがグレーゾーンだと受け入れられないのは、親として未熟?

A1:「わが子に限ってそんなはずはない」と思う方は多い

2歳 走る amana images

児島さん:地域の乳幼児健診や保育園から指摘を受けて相談にくる方の中には、わが子に限って発達に問題があるなんて信じられないという方もいます。また、療育施設に相談に来る段階でも、療育を受けるべきか悩んでいる方もいます。最初は受け入れられない方が多いですよ。

そこで、発達障害の有無はさておき、生活上の困りごとがないか聞くと「夜寝ない」「言うことを聞かない」といった悩みを話してくれます。一方で、家庭ではあまり問題行動が出ていなくて、保育園やプレ幼稚園などの集団生活の場で「落ち着いて座っていられない」「他の子をかむ、たたく」などの行動があるという子もいます。

後者の場合は親が問題行動を目にする機会が少ないので、より受け入れがたく感じるのではないかと思います。

Q2:受け止めきれないと感じるとき、どう気持ちを切り替えたらいい?

A2:今ではなく、未来のわが子のことを考えて

2歳 寝る 布団 PIXTA

児島さん:結論から言うと「現時点で発達障害があるか知るより、未来の本人の幸せを考えましょう」と僕は伝えています。いわゆるグレーゾーンのまま診断を受けなくても、今困っていることを解決したり、未来の困りごとを減らしたりするためにできることはたくさんあります。

障害名ばかりに目が行きがちですが、小さいほど診断名は成長とともに変わりやすく、診断名に関わらず、困りごとの解消方法は基本的に同じです。まずは、本人や家族が今困っていたり不安だったりすることを解消する、という考えでいるとよいと思いますよ。

Q3:親が子育てで行き詰まらないコツは?

A3:「その子らしく育てよう」と考えて

2歳 PIXTA

児島さん:グレーゾーンでも、発達に問題がなくても同じですが、大切にしてほしいことは「わが子らしく、その子なりに育てよう」と思うことです。もちろん、親の理想はいろいろあるでしょう。しかし、それを押し付けようとしたり、理想と離れている部分を嘆いたりせず、まずはわが子が幸せであることを考えてください。

発達にでこぼこがある子には、苦手なことがあります。一方、得意だったり好きだったりすることもあるはずです。その部分を見つけて認めてあげると、好きなことを頑張れたり、楽しめたりする子になります。

親として悩むことや、もどかしさを感じることもあるでしょうが、わが子の良さを見つけるよう意識すると、行き詰まりにくいと思いますよ。

発達障害があるかどうかより、わが子のありのままを見て

2歳 笑顔 PIXTA

わが子の発達が心配なとき「まさかうちの子が」と受け入れがたかったり「どうしてこうなったのだろう」と悩んだりするのは珍しいことではありません。そんなときこそ、悩む親の気持ちに寄り添い、子どものことを親と同じ視点で考えてくれる専門家に出会えるとよいですね。

子ども一人一人、困った面もあれば良い面もたくさん持っているはず。人と比べたり、理想とのギャップにばかり目を向けたりせず、その子なりの成長を見守りましょう。

記事の監修

株式会社児島教育研究所代表取締役

児島史篤

保育士として活動する中で直面した様々な場面から、より専門的な知識を学びたいとアドラー心理学と出会い、心理学について学び始めたのが最初でした。現在は、自分で保育園を立ち上げ、児童発達支援や保育所等・学童保育等の運営、研修講師や子育て支援やカウンセリング、発達障害支援や保護者支援に力を入れて活動しています。

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本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

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