二語文を話す子供の姿
1歳半~2歳ごろにかけて、二語文を話し始める子が増えます。話せる言葉の数が100~200語ほどに達すると、だんだんと二語文が出てくるようになるでしょう。
二語文とは「ボール とって」「わんわん いた」など、名詞と動詞がセットになった言葉、あるいは「ママ こっち」「ぼく ごはん」など、名詞と名詞との組み合わせで意思を伝える言葉です。
二語文を話す子供は2つの言葉につながりがあることを理解し、ママが「ジュースは?」と聞くと「飲む」と答えるようになるでしょう。ものごとの前後関係や、ものの用途についてわかるからこそ、二語文を発することができるのです。
また、動詞に「ない」をつけて「しない」「食べない」なども言えるようになります。自己主張が強くなったと感じるかもしれません。思ったことを言葉にする力がぐんぐんついてきたあかしですね。
- 愛知県青い鳥医療福祉センター「福祉と障害者理解のための情報紙」(http://aoitori-center.com/pdf/toku1.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- 中野 茂「北海道医療大学心理科学部研究紀要」(https://hsuh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6145&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1,2019年12月10日最終閲覧)
- キッズコミュ「言語発達について」(http://fujisawakids.com/gengo2/,2019年12月10日最終閲覧)
- 西部地域療育センター「西部地域療育センターだより」(http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/cmsfiles/contents/0000010/10534/tayori32.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- ことばについて 「ことばについて 」(https://www.pref.saitama.lg.jp/scm-c/shokai/naikashinryo/idenka/documents/kotobanituite.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
子供の表現したい気持ちをふくらませる接し方
わが子が二語文を話すようになったら、さらに子供の表現したい気持ちを高め、伝わる楽しさを感じられるような接し方をしたいものです。ここからはその例を挙げてお伝えします。
絵本の展開に沿って会話をする
二語文が出たなら、次の段階は三語文です。言葉と言葉の組み合わせに、助詞(は、に、へなど)や、接続詞(だから、でもなど)を足して使うようになります。
三語文を話すには「靴を履く、歩く、公園へ行く」というような事柄が起きる順序、そして「手を洗うときれいになる」などといった因果関係を理解できることが必要です。この力を引き出すためには、絵本が役に立つでしょう。
絵本の展開に沿いながら、ママの質問に子供が答えるやり取りをします。例えば以下のようなやりとりです。
ママ:ねこさんはお散歩でどこへいくのかな?
子供:公園
(ページをめくる)
ママ:公園に着いたら何をするのかな?
子供:ブランコ
(ページをめくる)
ママ:ブランコでどうするの?
子供:乗るの
こうした話の流れが頭の中に入っていくと、「公園で ブランコに 乗るの」などというような文章につながっていきます。
絵本のほかに、普段の生活の中でお手伝いをお願いしてみるのもおすすめ。例えば「洗濯物をたたむ」「運ぶ」「片付ける」など一連の流れをやってみましょう。実際に子供が体験することで、より順序への理解が深まるはずです。
- 西部地域療育センター 「西部地域療育センターだより」(http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/cmsfiles/contents/0000010/10534/tayori32.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- キッズコミュ「言語発達について」(http://fujisawakids.com/gengo2/,2019年12月10日最終閲覧)
なんで?に答える
言葉の発達により二語文が話せるようになるころの子どもは「第一期語獲得期」に入っていて、複数の単語を連ねること、意味のある文章をつなげることを学び、その中で語彙力を高めていくのです。
そして第一期語獲得期で大切なのが、子どもが思ったことを口に出すことと、その子どもの質問に答えることです。その場でわかりやすく、子どもが理解できるように簡潔に答えてあげましょう。子どもの質問を増やしてあげられればなおよいですね。
- 富山県礪波市「子供の発達」(https://www.city.tonami.toyama.jp/doc/info/39/1467857039/s/doc_8.pdf?1558600288,2019年12月10日最終閲覧)
- 三原クリニック「言葉の発達」(http://www.mihara-clinic.com/shounika/library/sick/main64.html,2019年12月10日最終閲覧)
- POPO「POPOの小規模保育園」(http://www.popos.jp/info.html,2019年12月10日最終閲覧)
- 保育所保育指針解説書「子どもの発達・発達過程・発達の特性」(https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/gimukyoiku/singikai/youji/H26/siryou/siryou4.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- JSTAGE「乳幼児期のコミュニケーションの発達」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/uekusat/19/1/19_1_1/_pdf/-char/ja,2022年11月14日最終閲覧)
- 東洋英和女学院大学学術リポジトリ「子どもの言語習得と精神発達に与える大人の影響」(https://toyoeiwa.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1408&file_id=22&file_no=1,2022年11月14日最終閲覧)
見えているものごとを話し合う
二語文が出るころには、簡単な会話ができるようになります。まだつたない発語で、意味がわからないこともあるかもしれませんが、できるだけ聞いてあげてください。そのことが、子供が伝える楽しさを感じる機会になります。
子供が「しろ わんわん」と話したら、大人は「本当だ、白いわんわんだね。ボールで遊んでいるね」など、共感しつつ、見えている状態をプラスして伝えるようにしましょう。
そうすると、子供は「わんわん ボールね」などの返答をするでしょう。最初はオウム返しかもしれませんが、子供は一生懸命に言葉を選んだり理解したりしながら、会話をしようとします。前向きにコミュニケーションができるよう、会話が広がるような声掛けをしてあげてくださいね。
- 楡の会こどもクリニック院長 石川 丹「言葉の遅れのある子の言葉を促す方法、教えます」(http://nire.or.jp/wp-content/uploads/2015/12/02.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- 仲, 真紀子「会話の発達」(https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/44717/1/YKHH1994_27-36.pdf,2019年12月10日最終閲覧)
- 岩手県紫波町の子育ち・子育て応援サイト「キラッとちゃ.ちゃ.ちゃんねる」(http://www.town.shiwa.iwate.jp/kiracha/column/5493.html,2019年12月10日最終閲覧)
楽しいやりとりで言葉の力を伸ばそう
子供が二語文を話せるようになり、組み合わせられる言葉が増えていくと、いよいよ大人との会話ができるようになります。思ったことや見たことを一生懸命に伝えようとするわが子の姿はかわいらしく、たくましさも感じるでしょう。
まだまだ発音や言葉の数は未熟ですが、子供は身近な大人と会話を繰り返していくことで、どんどんお話が上手になっていきます。
忙しい毎日の中で、子供の話を聞いたり、返答をしてあげたりするのは大変ですが、無理のない範囲で子供の気持ちを受け止め、気持ちを伝えあう機会を持ってあげられるとよいですね。