環境省が発表する「暑さ指数(WBGT)」とは?
環境省が発表する「暑さ指数(WBGT)」とは、湿度・気温・熱環境の三つの要素から出される体感的な暑さを示す指標のことです。熱環境とは、日射や放射される熱を指します。
同じ気温でも晴天と曇天、乾燥した日と湿度の高い日では感じる暑さに違いがあるのは、皆さんも経験したことがありますよね。環境省が発表する暑さ指数とは、人が外気と熱のやりとりをすることに着目し、人が感じる暑さを数値化したものです。
具体的には「黒球温度」「湿球温度」「乾球温度」という三つの装置を使用して算出されます。それぞれの装置の役割は次のとおりです。
- 黒球温度:銅板で作られた黒い球で、直射日光下での人の体感温度を測定する
- 湿球温度:水に濡らしたガーゼを巻いた温度計で、人が汗を蒸発させるときの涼しさを測定する
- 乾球温度:通常の温度計で気温を測定する
環境省は三つの装置を使用してそれぞれの値を測定し、その結果を「暑さ指数」として発表しています。
- 環境省「暑さ指数とは?」熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php,2021年7月15日最終閲覧)
- 環境省「暑さ指数(WBGT)の詳しい説明」熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php,2021年7月15日最終閲覧)
なぜ暑さ指数(WBGT)を出す必要がある?
それではなぜ、環境省は暑さ指数を発表するのでしょうか。暑さ指数は昨今増えてきた「熱中症」を予防するために必要だからです。
熱中症は気温が高いという理由だけで引き起こされるわけではありません。熱中症の発症は気温と湿度に大きく影響を受けています。気温や湿度、周辺からの熱など人が体感する暑さを指標化した暑さ指数は、熱中症の危険度を示すために必要な数値なのですね。
- 環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数はなぜ有効なのか?」(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_ex.php,2021年7月15日最終閲覧)
暑さ指数(WBGT)の指針について
環境省が発表する暑さ指数は、日常生活・労働・運動と幅広いシーンで活用されています。それぞれのシーンに適した暑さ指数を知っておけば、夏の健康を維持するために役立つはずです。
そこでここからは、日常生活と運動での暑さ指数の指針について解説していきます。
日常生活における暑さ指数の指針
まずは日常生活で熱中症にならず、健康に過ごすための指針から見ていきましょう。
- WBGT25未満(注意):熱中症の危険性は少ないが活動量がかなり多いと起こる可能性がある
- WBGT25~28(警戒):激しい作業などで活動量が多くなる場合は休息を十分にとる必要がある
- WBGT28~31(厳重警戒):通常の生活で熱中症になる危険性が高く、炎天下を避けて外出する必要がある
- WBGT31以上(危険):通常の生活で熱中症になる危険性が高く、外出は控えて涼しい部屋に移動すること
暑さ指数が31以上になると、高齢者の方であれば安静にしていても熱中症になる危険性が高くなるそうです。暑さ指数25以上であれば、激しく動いていなくても危険だとされるレベルになるので、涼しい部屋の中で過ごして体を十分に休めましょう。
- 環境省「暑さ指数とは?」熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php,2021年7月15日最終閲覧)
運動における暑さ指数の指針
それでは次に、運動をする際の暑さ指数の指針を紹介しますね。
- WBGT21未満(ほぼ安全):熱中症の危険性は少ないが、水分・塩分補給が必要
- WBGT21~25(注意):熱中症により死亡する可能性があり、積極的に水分・塩分補給が必要
- WBGT25~28(警戒):熱中症の危険性が高く、30分おきの休憩と水分・塩分補給が必要
- WBGT28~31(厳重警戒):熱中症の危険性がかなり高く、10~20分おきの休憩と水分・塩分補給が必要
- WBGT31以上(運動中止):特別な場合を除いて運動は中止すること
運動シーンで熱中症の危険性が高いとされるのは、暑さ指数25以上になったときです。さらに、暑さ指数が28以上になった場合は、体温が上がりやすい持久走などの激しい運動はやめましょう。
以上のように運動でも暑さ指数の指針が決められていますが、子どもや体力のない方、暑さに弱い方であればより警戒が必要です。暑さ指数を目安にしながら、ご自身の体と相談することも大切ですね。
- 環境省「暑さ指数とは?」熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php,2021年7月15日最終閲覧)
暑さ指数(WBGT)を確認する方法
お話してきたように、暑さ指数はさまざまなシーンで熱中症のリスクを教えてくれる重要な数値です。しかし、暑さ指数の確認方法をご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
暑さ指数を確認する主な方法は、次の四つです。
- 熱中症予防情報サイトからCSV形式の表としてダウンロードする
- 熱中症予防情報サイトの「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」で確認する
- 熱中症予防情報サイトから「暑さ指数メール配信サービス」に申し込む
【環境省熱中症予防情報サイト】暑さ指数メール配信サービスについて
- 熱中症予防情報サイトを友だち追加してLINEアプリで情報を受け取る
【環境省熱中症予防情報サイト】LINEアプリを活用した熱中症警戒アラート・暑さ指数の情報配信
環境省が運営する「熱中症予防情報サイト」では、暑さ指数をCSV形式の表としてダウンロードしたり、地図形式で全国の数値を実況する暑さ指数マップを確認したりできます。
もし手軽に情報を受け取りたいなら、暑さ指数メール配信サービスに登録するか、環境省の公式アカウントをLINEアプリで友だち登録しましょう。日々の暑さ指数はもちろん、環境省による熱中症警戒アラートの発表情報も自動で受け取れるようになりますよ。
暑さ指数とも関係する「熱中症警戒アラート」とは
LINEアプリで環境省の公式アカウントを友だち登録すると、「熱中症警戒アラート」の情報も受け取れます。熱中症警戒アラートとは暑さ指数を用いたアラートのことで、環境省と気象庁の連携により発表されます。
環境省により暑さ指数が33以上になると予測された場合、気象庁が報道機関や民間事業者、自治体などに熱中症アラートを発表。テレビやデジタルサイネージを通じてわたしたち国民に熱中症の危険性が知らされる仕組みです。
発表される内容には暑さ指数の予測だけでなく、予想最高気温や熱中症を予防するために取るべき行動なども含まれます。熱中症警戒アラートは暑さ指数よりも具体的なので、欠かさずチェックして熱中症予防のための行動をとりましょう。
- 環境省熱中症予防情報サイト「熱中症警戒アラートとは」(https://www.wbgt.env.go.jp/about_alert.php,2021年7月15日最終閲覧)
環境省の暑さ指針を参考に熱中症対策を
熱中症を予防して夏を健康に過ごすには、環境省が発表する「暑さ指針」を参考にすることが欠かせません。暑さ指針は「熱中症予防情報サイト」で暑さ指針マップを確認するほか、表としてダウンロードしたり、LINEアプリで情報を受け取ったりとさまざまな形で知ることができます。
また、熱中症警戒アラートとは、暑さ指針を用いて熱中症の危険性をわかりやすく知らせてくれるアラートのことです。環境省の暑さ指針と熱中症アラートの両方を活用し、効率的に熱中症対策をしていきましょう。