着替えはどのように教えたらよいの?
着替えは生活の一部として、生まれてから毎日行うもの。子供が成長していくうちに、自分で着替えができるようになってくれると、ママはとても助かりますね。
保育園や幼稚園に通うようになると、自分で着替えをする機会が増えます。なるべく子供自身がスムーズに着替えられるように教えていきたいものですが、いつから、どのように着替えのやり方を伝えればよいのでしょうか。
練習し始めて一ヶ月ほど経つのですが一向に上達しないようで、保育園からもお家でも練習させてくださいね、と言われました。
オムツとズボンを自分で履けるようにと練習しているようなのですが、息子よりも月齢が低い子も出来るようで、比べられてしまいました。
家でやらせてみても途中で気が逸れてしまいなかなかうまくいきません。
お着替えうまく出来るようにはどう教えたらいいのでしょうか?
着替えに興味があるかどうかは、子供によって個人差がありますが、成長と共に、手や足が器用に動くようになり、だんだんとできる作業が増えていきます。
年齢ごとに何からできるようになっていくのか、着替えを自立させるまでのステップがわかると良いですよね。
年齢別、着替えを自立させるステップ
子供の着替えはいつ、どのようなことから教えていけばよいのでしょうか。年齢別で、子供たちができるようになる着替えの項目や、伝えていきたいことについてまとめました。
年齢ごとにできることを自分でできるようにサポートしながら、次の段階にもチャレンジしていきたいですね。親子カフェで見守りスタッフとして活動している保育士のトマトさんに聞いた「次にチャレンジしたいコーディネート」も合わせてご紹介します。
2歳「本人の『できた』という嬉しさを大切に」
2歳頃ではまだ自分で着替えができなくても、着替えに対するやる気がでてきていることが大切です。
上着も、袖の位置を知らせてあげると自分で手を入れ、着ようとする姿勢が見えてきます。自分ですべて着るのは難しいですが、手をきちんと出せたら褒めてあげましょう。
ズボンは全て自分ではけなくても、穴の位置をママと一緒に確認して、自分で足をそれぞれの穴に入れてみたり、足が通った後にお尻まで引き上げたりできるようになってくるでしょう。
お尻が引っかかる時には、ママが一緒に引っ張ってあげるとよいですよ。自分でやりたいと思ってチャレンジし「できた」と喜べる達成感が大切なので、気長に見守りましょう。
トマトさんのアドバイス:自分で着やすい服装で、やる気をはぐくむ時期
トマトさんによると、この頃の服装は、自分で着脱しやすい服が良いそうです。Tシャツは肩にボタンがついていて、頭を簡単に出すことができるものが良いでしょう。
季節的に寒くないようなら、ウエストがゴムではきやすい半ズボンがおすすめです。足がひっかかりにくく、2歳でも足を通してはこうとすることができるようですよ。
「自分で着替えられた」という自信が、着替えの自立につながります。さりげなくサポートしてあげるようにしましょう。
3歳「洋服の前後がわかり、バランスを取る力がついてきます」
3歳頃では、衣服の前後ろがわかるようになり、パンツやズボンを前後正しくはけるようになってきます。個人差はありますが、半ズボンなら立ってはけるようになる子がでてきます。
やる気を出して自分で着脱しようと頑張るものの、なかなかできないことがあります。そのような時も「やってあげる」のではなく、できるだけ自分でできるように声掛けをして見守りましょう。子供自身に「自分はできる」という自信をつけさせたい時期です。
トマトさんによると、着脱しやすい衣服にするなら、丸首のTシャツ、ウエストがゴムのスカートやパンツがよいそうです。
トマトさんのアドバイス:丸首シャツなら、自分で引き下げて着られるように
3歳になるとだんだん腕の力が強くなり、肩ボタンではない丸首のTシャツやワンピースも、自分引き下げて頭を入れられるようになってくるそうです。
トマトさんによると、まだ体にぴったりするような服装は難しいので、大きさに余裕があり、自分で着やすい洋服を用意してあげるのが良いとのこと。
半ズボンは自分でお尻を入れて引き上げられるようになってきますが、まだウエストのホックやボタンは難しいため、ゴムのものがおすすめ。ポケットの位置などを伝え、前後を意識できるようにしてあげましょう。
4歳「ボタンやホックも経験を積めば上達します」
4歳になると、個人差はありますが、たいていの服は一人でスムーズに着脱できるようになっていきます。しかし、ボタンなどはまだ練習が必要かもしれません。
簡単に着られるものだけではなく、たまにはボタンやファスナー付きの衣類にチャレンジしてみましょう。前開きでボタンが付いた服では、第一ボタンはまだうまくいかないかもしれませんが、できる部分は自分でできるように声掛けをしてみてください。
ズボンやスカートは、前にホックなどがついて自分で留めるものにもチャレンジしてみましょう。
トマトさんのアドバイス:ズボンの前ホックや、大きめのボタンにチャレンジ
4歳では、ボタンやカギホック、ファスナーなどにチャレンジ。トマトさんによると、3~4歳でも頻繁にボタンのある服を着る子ならだんだん上達して、留められるようになってくるといいます。幼稚園の園服など、チャレンジの機会が多い場合は、できる部分をどんどん褒めて伸ばしていきましょう。
一番上のボタンは見えにくく難しいものですが、ズボンやジャケットについた大きめのボタンなら自分で見ながらチャレンジしやすいでしょう。ママが時間に余裕がある時に、すぐに手を出さないことを意識しながら見守りましょう。
5歳「簡単な服装なら、大人と同じくらいスムーズに着替えられるように」
5歳ではカギホックやファスナー、ボタンが4歳よりもだいぶ上達してくるでしょう。大人と同じように立ってほとんどの着脱が可能ですが、長ズボンはバランスを取るのが難しい場合もあります。
4歳では難しかったシャツなどの第一ボタンも、この頃には挑戦させてみると良いかもしれません。初めはできなくても、日々積み重ねていく中でできるようになりますよ。洋服や靴のひもを結ぶのはまだ難しいかもしれませんが、やり方を少しずつ教えてあげると興味を持ってチャレンジできるでしょう。
着脱以外にも、脱いだ服を自分で畳み、片づけられる子が出てきますが、まだまだ上手にできないことがあるでしょう。お手本を見せながら、できたらしっかり褒めてあげたいですね。
トマトさんのアドバイス:ポロシャツの小さなボタンや、立って長ズボンにも挑戦
5歳では、ポロシャツなどの首周りの小さなボタンも、地道にチャレンジしていくうちに留められるようになっていくとトマトさんはいいます。初めはうまくいかずにいら立つ場面が見られるかもしれませんが、励ましながらチャレンジしてみましょう。
ボタンやファスナー、ホックは扱いにコツがいるため、特に自信がなくてやりたがらない子がいるかもしれません。そのような時には、遊びの中で人形の洋服に取り入れたり、おもちゃのファスナーを使ったりして、着替え以外の機会でストレスにならないように練習すると良いそうですよ。
また、長いズボンは立ってはくのが難しいですが、少しずつ挑戦してみると良いですね。とくにデニムのズボンは、伸縮せずに難しい場合があるとトマトさんは話します。ストレッチタイプでよく伸びるものからやってみると自信につながるでしょう。
大人のような服装がスムーズに着られるようになると、いよいよお兄さん、お姉さんになったように感じられますね。
- 布施谷節子「用事の着脱行動からみた衣服のあきに関する提言」(https://wayo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=536&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1,2017年7月19日最終閲覧)
- いまいずみ保育園「着脱に関して」いまいずみ保育園(http://imaizumi-hoikuen.sakura.ne.jp/tyakudatsu.pdf,2017年7月19日最終閲覧)
- 港区保育を学ぶ会「0歳~6歳子どもの発達と保育の本」54(学研教育出版,2011)
- 岩屋こども園アカンパニ「着脱のマニュアル」岩屋こども園アカンパニ(http://www.iwayanomori.org/images/pdf/tyakudatsu.pdf,2017年7月19日最終閲覧)
- 日本教材文化研究財団「5.着脱衣の意義と習慣のつけ方」日本教材文化研究財団(http://www.jfecr.or.jp/publication/pub-data/kiyou/h20_37/t1-1.html#d7,2017年7月19日最終閲覧)
- 全国保育士会「保育士がこたえる子育てQ&A」全国保育士会(http://www.z-hoikushikai.com/qa/study.html,2017年7月19日最終閲覧)
- 学研教育みらい「工夫や声掛けで、やる気がアップ!”ひとりでできる”を伸ばすコツ」おやこCAN(http://www.oyakocan.jp/tokushu/201311.html,2017年7月19日最終閲覧)
- 龍谷幼稚園「園の一日」龍谷幼稚園(http://ryuukoku.ed.jp/flow_day,2017年7月21日最終閲覧)
- 鈴鹿市磯山 白百合幼稚園「一日の生活」鈴鹿市磯山 白百合幼稚園(http://shirayuri.youchien.to/day/,2017年7月21日最終閲覧)
- みと保育園「お知らせ」みと保育園(http://mitohoikuen.com/m/blog/bow/1012627/np:1/l:10/snp:9,2017年7月21日最終閲覧)
着脱しやすい服装で、ゆっくり着替えのステップを上がろう!
着替えの自立は一気に進むものではなく、毎日の繰り返しで自然に身についていくものだとトマトさんはいいます。子供が小さいうちは特に、ママが着替えをさせた方が早いため、すぐに手を出してしまいがちです。しかし、できるだけ見守る意識を持って接することが、着替えの自立にとっては、とても大切なことのようです。
普段は子供たちが着脱しやすい服を意識して「できた!」という感覚を大切にしながら、着替えのステップをクリアしていきたいですね。
取材協力:親子カフェHedgehog the Rainbow見守りスタッフ トマトさん
公立保育園に15年間勤める保育士。保育士をする傍ら、アロマセラピストやボディケアの仕事もする中で「もっとママたちを癒し、子供に関わる仕事がしたい」と感じ、親子カフェの見守りスタッフを始める。日々頑張るママたちがホッとする時間を作ることが、仕事のやりがい。