育休中の社会保険支払い免除条件が変更に
育児休業(以下、育休)とは、子どもが1歳になるまで(特別な事情がある場合は最長2歳まで)の間、条件を満たせば男女問わず休業できる制度です。
育休中は育児休業給付金が支給される上に、社会保険料の支払いが免除されます。いずれも経済的負担を軽くするためのものです。ただ、この「育休中の社会保険料免除」が本来の目的とは異なる使われ方をしているため、厚労省は見直しの方針を明らかにしています。
ボーナス支給月の月末を狙って育休取得するケースも
育休中の社会保険料免除はボーナスも対象です。また、現在の制度では、月末時点の育休取得状況で保険料免除になるかどうかが判断されています。
つまり、ボーナス支給月の月末1日だけ育休を取得すれば、ボーナス分も含めた1か月分の社会保険料がまるまる免除されることに。ボーナスの手取りをより多く残すため、育休を使うケースがあるというのです。
一方、同じ短期間の育休取得でも「10日から23日まで」など月末を含まないと、社会保険料が免除にならないという不公平が生じているのです。
不公平を改善するため、何がどう変わる?
ボーナスに関する社会保険料の免除は、「連続して1か月以上取得した場合のみにする」など、要件を厳しくするという案が出ています。
また、同じ月に2週間以上の育休取得をしたら、月末を含まずとも免除を認めるよう変更される見込みです。2週間未満の育休取得に配慮して、月末を含んで取得する場合の免除は引き続き残す方針とのことです。
男性の育休取得を促す流れはますます加速
政府は男性による育児休業の取得率を、2025年には30%にまで引き上げる目標を掲げています。しかし、2020年において男性の育休取得率は13%。上昇傾向にはあるものの、まだまだ目標には遠い状態です。
今回ご紹介した社会保険料免除の変更なども含め、男性の育休取得を促すさまざまな案が議論されています。
現在育休をしている男性のほとんどが、子どもが生まれて8週以内に取得していることを受けて、対象期間を出生後8週までにするという案や、育休を分割して2回程度取得する案などが浮上しています。
出産直後はママが不安定になりやすい時期。そんなときにパパの助けがあり、経済的負担が減る制度があれば、安心して子育てできますね。今後の動きに注目したいところです。
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業を取得・延長したときの手続き」(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20140327-05.html,2020年12月24日最終閲覧)
- 厚生労働省「育児休業中の保険料免除について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000698355.pdf,2020年12月24日最終閲覧)
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html,2020年12月24日最終閲覧)