食育をもっと楽しく!絵本を通して伝える食べ物の大切さ
近年注目されるようになった「食育」という言葉。成長期の子どもにとっての食育は、健康な人生を送るための基礎を作る大切なものです。
最近は家族で食事をしたり、食材となる野菜を育てたりする機会が少なくなりました。朝食を食べない子どもや肥満などの健康問題を抱える子どもが増えていることも気がかりですよね。
食育は主に家庭でおこなうものなので、家族みんなが「食」について共通の意識を持ち、食事を楽しみながら学べる環境を作ることが充実した食育の基本です。
気軽に取り組める、絵本を使った食育について考えてみましょう。
- 厚生労働省「楽しく食べる子どもに」(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/dl/s0219-3a.pdf,2021年5月6日最終閲覧)
- 文部科学省「食育・栄養教諭に関してよくあるご質問Q&A」(https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/06121505/001.htm#a01,2021年5月6日最終閲覧)
- 日本栄養士会「好き嫌いのある子にも「食べてみようかな」と思わせる栄養教諭」(https://www.dietitian.or.jp/features/toprunner/20191202.html,2021年5月6日最終閲覧)
【0歳代】離乳食の始まる0歳代は食べ物への興味がもてる絵本を
離乳食期の食育の目標は、「よくかんで食べる」ことと「おいしいという経験をする」こと。
おなかが空くリズムが出てきて、食べることへの興味も増す時期です。子どもは、よくかんで上手にゴックンできるように頑張って食べることでしょう。安心して食事が楽しめるようにしましょう。
また、さまざまな味に触れられるように工夫することもできます。あまり食べてくれないこともありますが、おいしいという経験や実感が大事。
手づかみで食べる喜びも経験させてあげましょう。
- 大阪市「年代別の食育」(https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000248294.html,2021年5月6日最終閲覧)
- 栃木県足利市「6、発達段階に応じた年齢別食育目標」(https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/15482.pdf,2021年5月6日最終閲覧)
「くだもの」
やさしいタッチの絵と、くだものの名前を言いながら「はい、どうぞ」と一緒に食べるというシンプルなストーリー。楽しく学びながら読める、言葉を話し始める時期にぴったりの絵本です。
シリーズで「やさい」もあるので、食事や間食の時間、食べるものに合わせて読み聞かせてあげると、楽しく食べてくれそうです。
「パン ふわふわ」
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「もちもち」「ふわふわ」と、赤ちゃんにとって心地よく聞き取りやすい音が詰まった一冊。どのパンもとってもおいしそう。
手づかみで自分でも食べられるパンは、毎日のように食べる身近な食べ物です。そのパンを安心して笑顔で食べられるように、語りかけながら読んであげたいですね。
同シリーズの「ケーキやけました」もあるので、ケーキが食べられるようになったら、一緒に読んでみて。
【1~2歳代】イヤイヤ期突入の年代は食事の楽しさが伝わる絵本を
イヤイヤ期に入るこの時期は、食事の楽しさを実感するだけでなく、食事のマナーや生活のリズムを身に着けることを意識しましょう。
スプーンやフォークを使えるようになり、自分で食べたいものが食べられるため好き嫌いが目につくかもしれません。食べることへの興味が増しているこの時期からこそ、おいしく食べられるように工夫してあげましょう。
「いただきます」や「ごちそうさま」などの声かけをしたり、自分の食器はキッチンまで運ぶなどのお手伝いをしたりして、より積極的に食事に関われるようにすると良いでしょう。
- 大阪市「年代別の食育」(https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000248294.html,2021年5月6日最終閲覧)
- 栃木県足利市「6、発達段階に応じた年齢別食育目標」(https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/15482.pdf,2021年5月6日最終閲覧)
「おべんとうバス」
「おべんとうバス」に乗り込むお客さんは、ハンバーグやエビフライ、ブロッコリーやトマトなどお弁当に入れるおかずたち。元気に「はーい」と返事をして乗りましょう。
お弁当につめるときや、お皿におかずを並べるときなど、身近な場面で絵本のまねをして遊ぶこともできます。
バスに乗ることも楽しくなるので、幼稚園の入園前の練習にも活用できそうです。
「はらぺこあおむし」
小さなあおむしが美しいチョウへと成長していくようすが描かれた絵本は、カラフルな色使いのイラストがいっぱい。
あおむしが食べているものを一緒にもぐもぐ。食べるとページに穴があくしかけも楽しく、「しっかり食べて大きくなろうね」というわかりやすいメッセージが伝わってきます。
おそろいのキャラクターの食器やグッズも充実しているので、食事の時間も大好きなあおむしさんと一緒に楽しめますよ。
「しろいおひげ なにたべた?」
「ごはんを食べたらおひげができちゃった」。何を食べたか一緒に考えながら読み進めます。
「にょろにょろりん」「ちゅるちゅるりん」と、聞いているだけでも楽しくなるような音を立てて、一緒にもぐもぐパクパクしましょう。
スパゲッティやラーメンなど、その日のメニューに合わせて、本を見ながら「今日のごはんは、これ!」と遊ぶこともできますよ。
【3~4歳代】理解が深まる3歳からは食べ物の役割が伝わる絵本を
3歳になると言葉や運動機能がかなり発達し、一緒に食べることを通じてコミュニケーションを図ることができるようになります。
友だちと一緒に食べることを楽しみ、さまざまな料理や味にチャレンジしたくなるのもこの時期。この好奇心を生かして、料理のバリエーションを増やし、マナーを守って食べられるように練習できるでしょう。
指先の細かい動きができるようになるので、お箸を使う練習を始めることができます。
食事のマナーや楽しさを学べるような絵本を見つけてあげましょう。
- 大阪市「年代別の食育」(https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000248294.html,2021年5月6日最終閲覧)
- 栃木県足利市「6、発達段階に応じた年齢別食育目標」(https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/15482.pdf,2021年5月6日最終閲覧)
「とびだす!うごく!たべもの」
お弁当やピザ、ソフトクリームなど、子どもたちの大好きなメニューが絵本から飛び出してくる。楽しいしかけ絵本です。
プリンやケーキなどのデザートも充実。手のひらサイズの本の中に、細部までこだわった作りのおいしそうな食べ物がいっぱいです。
繊細な作りなので、あまり小さな時期だとちぎってしまうことも。3歳くらいになって、ものを大事に扱えるようになったころに楽しむと良さそうです。
「いちごちゃん」
こちらは電子書籍版の絵本。スマホに入れて持ち運べるので、お気に入りをどこにいても楽しむことができます。
かわいらしい「いちごちゃん」が、果物や野菜たちと一緒にドッジボールをして遊んだり、カビラーたちに狙われてしまったり。いちごちゃんを助けてくれる「やくみレンジャー」たちが大活躍。
子どもにあまりなじみのない野菜たちにも親しむことができるしっかりとしたストーリーと、かわいらしいキャラクターたちが大冒険する、長く楽しめる絵本です。紙版では「レモンちゃん」や「ももちゃん」など他シリーズもあるので集めるのも楽しいです。
「ちゅるちゅる」
絵本とは思えないほどリアルに食べ物を描いていて、大人も一緒に楽しめる一冊。
うどんやラーメン、冷やし中華や鍋焼きうどん。麺類のオンパレードです。ちゅるちゅるとおいしそうに食べる音が聞こえてきそう。
シリーズに「ごはんごはん」も合わせて、食べ物の種類やメニューの名前、味を想像しながら読むことができます。
【5~6歳代】就学の見えてくる5歳以上は給食のことも見すえた絵本を
社会性を身に着けるこの時期、友だちと助け合い、食事の準備をしたり食材の栽培に挑戦したりできます。自分たちが栽培した野菜を食べることで、好き嫌いを克服しようとする姿が見られるかもしれません。
当番活動や調理体験などを通じて主体性を育み、食材や料理を作ってくれた人への感謝を培うことができます。食べることへの感謝と共に、「命をいただく」ということの意味も理解できるようになります。
食材や栄養への理解を深め、「ためになるような食べ方」を考えるきっかけになるような絵本選びをしましょう。
- 文部科学省「日本の学校給食と食育」(https://www.mext.go.jp/content/20200713-mxt_kenshoku-100003364_1.pdf,2021年5月6日最終閲覧)
「たべもの なにからできている?」
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パンやチョコレートなど、子どもたちにとって身近な食べ物が何からできているのか、かわいい絵で楽しく学べる、まさに食育にぴったりの絵本です。
毎日何気なく食べているものが何からできているのか、本で紹介されている以外のものについても知りたくなる、子どもの好奇心や学びたい気持ちを刺激してくれます。
読んだ後、家族の会話も弾みそうです。
「あきらがあけてあげるから」
ヨシタケシンスケさん作の、ユーモアのセンスあふれた一冊。自分のことは自分でできるようになりたい「あきら」の奮闘がほほえましいストーリーです。
「りんごかもしれない」とどちらをおすすめしようか迷ったのですが、小学校入学も視野に入れて自立心を育みたい時期であることを考えて、今回はこちらにしました。
食べることと子どもの成長が切り離せないつながりがあるんだなと、改めて考えさせられます。大人も一緒に楽しみながら読んでくださいね。
「じゃない!」
食べ物をテーマにした芸術作品を一緒に鑑賞してみるのはいかがですか。
これは、絵本と言うより作品集といった感じの一冊です。食べ物にリアルなペイントを施し、予想を裏切るものへと変身させています。あえて言うなら「もうちょっと見たい」。
食べ物を通じて、子どもの感性を磨いたり家族で意外な発見ができたりするかもしれません。
楽しく食べて、楽しく学べる「食育」を
一日3度の食事は、生きることにつながる大切な学びの時間です。愛する家族と一緒の楽しい時間を過ごし、自分で食べることの喜びを学びます。
ただ好き嫌いなく食べるだけでなく、命の大切さや残さず食べることで「もったいない」という感覚や「作ってくれてありがとう」という気持ちが育ちます。
食育をするうえで、絵本は食べることの意味や食材の役割をイメージできるようサポートしてくれます。年齢に合った絵本選びをして、家族みんなで楽しく食べて、楽しく学びましょう。