0歳~5歳までの年齢別、絵本の選び方
絵本は想像力や感性を豊かにし、子どものたくさんの感動を与えてくれますよね。絵本を読む時間が子どもとのスキンシップの1つにもなり、親子の心と心のふれあう、満たされた時間になります。
おうちで、子どもと過ごす日々。絵本を読んであげたいけれど、何に興味を持ってくれるのかわからない、どの絵本を選べばいいのか分からないというママもいるのでは。
ここでは、人気の絵本を年齢別に紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。
0歳のおすすめ絵本
生後3か月位になると、赤ちゃんの聴力や視覚が発達し始め、いろんな物に興味を持ち始めると言われており、個人差はありますが生後10か月位になると、ママパパの言葉を聞きながら絵本が楽しめるようになります。
赤ちゃんにとって絵本との出会いは、言葉や心を育む大切なもの。ママ、パパのやさしい声、暖かい声、心のこもった声をたっぷり聞かせてあげましょう。
無理に始めから終わりまで読み聞かせしようとしたり、集中して見ていないからといって焦ったりしなくても大丈夫。愛する我が子を抱っこしたり、添い寝したりとスキンシップをとりながら、ゆったりとした気持ちで親子で読み聞かせの時間を楽しみましょう。
0歳児は、普段の生活の中で見ているもの、知っていることなどが絵本に描かれていると、絵本に興味を持ちやすいですよ。では、0歳児への絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- 身の回りのもの(乗り物・食べ物・動物)
- 親子で遊びを楽しむ絵本(仕掛け絵本・隠れている物を探す)
- 言葉のリズムや音を楽しむ絵本(おもしろい響きの言葉・自然の音など)
赤ちゃんにとって身近な存在である食べ物、動物、乗り物は赤ちゃんが興味を持ちやすく、初めての絵本にもぴったりのテーマです。大好きな果物やわんちゃん、ねこちゃん、車や電車など知っているものが描かれているだけで、きっと喜んでくれるはずです。
また、仕掛け絵本や何か隠れている物を絵本の中から探すとい絵本にも関心が湧きやすいです。親子で一緒に楽しみながら見つけることもスキンシップになり赤ちゃんもにこにこ笑顔になりそうです。風の音や太鼓の音など音の響きにリズムがあるものも好きなので、一緒に口ずさみながら楽しむのも良いかと思います。
- 福音館書店「赤ちゃんにおすすめの絵本」(https://www.fukuinkan.co.jp/bookguide/baby/,2021年4月9日最終閲覧)
- 東京都教育委員会「<参考> 0歳児から2歳児の発達過程」(kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/curriculum2/15_2_2_sankou.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
くだもの 作:平山和子
りんごやぶどう、梨など、子どもが大好きな果物がたくさん描かれている1冊。ページをめくるたびに、色鮮やかでみずみずしい果物が出てきます。色鉛筆で繊細に描かれた果物は、どれもとてもおいしそうです。
皮をむく前とカットした後とでは、全然違う姿になるということも絵を見てわかるので絵本を通して食育にもなりそうですね。離乳食がスタートし、食べ物に興味を持ち始めた0歳の子どもにぜひ手にとってほしい1冊です。
がたん ごとん がたん ごとん 作: 安西水丸
がたんごとんという繰り返しの音のリズムが楽しい絵本。かわいい蒸気機関車に、「乗せてくださーい」とほ乳びんやりんごにバナナなど赤ちゃんの身近にあるものが次々と乗っていきます。
がたんごとんと列車が動き出すたびに次は何がでてくるのか、赤ちゃんもわくわくしそうです。
シンプルで文字数も少なく読みやすいので、読み聞かせに慣れていないママ、パパもチャレンジしやすい絵本ですよ。この絵本には「がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん」という続編もあるので、お気に入りになったらぜひ「ざぶんざぶん」にもチャレンジしてみてください。
いないいないばあ 作:松谷みよ子
松谷みよ子さんの代表作品ともいえる、大ロングセラーの1冊。ママやパパも読んでもらった思い出のある方がいるかもしれませんね。
松谷みよ子さんが「あかちゃんの文学」を作るために考えた絵本ということもあり、繰り返しの言葉や動物など赤ちゃんが喜ぶポイントをしっかり押さえています。
赤ちゃんのかわいいリアクション見たさで、ついついおおげさに「いないいないばあ」してしまいそう。大人も子どもも笑顔になる魔法の言葉「いないいないばあ」、初めての絵本におすすめです。
てん てん てん 作:わかやましずこ
てんてんてん、ぐるぐるぐる、ひらひらひらなど、シンプルではっきりした色合いの絵と耳なじみの良い擬音で表現される虫たちが表現されています。虫の特徴をしっかり捉えており、リズミカルな文章に赤ちゃんも喜びそうです。
ママが子どもの手を取りながら一緒に、てんてんてん、ぐるぐるぐると絵をなぞって楽しむことも、形を音から学ぶことができるので、おもしろいですよ。
きんぎょが にげた 作:五味太郎
発売から40年もたつ、五味太郎さんの代表作の一つ。五味さんの作品は言葉を楽しむ工夫がいっぱい詰め込まれた本が多く、1冊の本から成長に合わせた発見ができるのも素敵です。五味さんの作品、ママやパパも幼いころに1度は読んでもらったことがあるのでは。
「きんぎょがにげた」は色がカラフルで赤ちゃんにも絵本に意識がいきやすく、イラストもかわいい1冊です。
金魚鉢から逃げてしまった、金魚を探すというシンプルな絵本ですが、上手に紛れ込んでいるので、子どもも探すことに夢中になるかと思います。何度も何度もかわいい金魚を探したくなる絵本です。
1歳のおすすめ絵本
1歳を過ぎると、簡単なストーリーを理解できるようになります。単語を話せるようになるので、絵本の中に自分の知っているものを見つけると、覚えたばかりの言葉を使って思いを伝えようとすることも。
大好きなママと日々と絵本を楽しむ中で、子どもは言葉を聞く喜びを知っていきます。絵を見ながら、言葉を聞く楽しさや喜びを繰り返し味わった子どもは、言葉からイメージがどんどん広がり、心に描くことができるようになっていくのです。
そして、徐々に「ものがたり絵本」も楽しむことができるようになります。
1歳児向け絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- リズミカルな美しい言葉の絵本を選ぶ
- シンプルな絵で描かれている絵本
- 擬声語や擬態語が出てくる絵本
言葉を話し始める1歳ごろは、今までインプットしてきたたくさんの言葉を、少しずつ伝えようとし始めます。子どもの成長のためにも、絵本を読みきかせすることで、豊かな表現力が身に付きやすくなります。
感情の表現が豊かになる年齢なので、さまざまな絵本を通して子どもの想像力を高めてあげましょう。
- 東京都教育委員会「<参考> 0歳児から2歳児の発達過程」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/curriculum2/15_2_2_sankou.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
だるまさんが 作:かがくいひろし
子どもに絵本の楽しさを伝えるのにぴったりな、だるまさんシリーズ。赤くてまんまる手足ちょこんのぽてんとした赤いだるまさんが、ページをめくるたびにゆーらゆら。「だるまさんが~」の掛け声で、こけたり、しぼんだり…。シリーズは「だるまさんの」「だるまさんと」もあります。どれも赤ちゃんが楽しめる工夫がいっぱいです。
作者のかがくいひろしさんが絵本を作る時に「もの」「音」「うごき」「見立て」に重点をおき描いたそうです。見ているだけで、聞いているだけでなんだか笑ってしまう、、ユーモアたっぷりの絵本です。赤ちゃんも、次はだるまさんどうなるんだろうときっと目をきらきら輝かせてくれますよ。
じゃあじゃあびりびり 作:まついのりこ
「いぬ わんわんわんわん」「みず じゃあじゃあじゃあ」など、たくさんの音が絵本に詰まった1冊。「パ」や「ガ」といったインパクトのある破裂音や濁音に加え、「や」「な」など優しい音もふくめ、普段生活している中で感じる身近な音と、はっきりとした色使いの絵に赤ちゃんも興味津々。
我が子のかわいい表情を見るのがうれしくて、読み手側もついついテンションが上がってきてしまいます。
絵本の大きさも赤ちゃんが見やすいサイズで、ボードブックタイプの硬い絵本なので、赤ちゃんが誤って破いてしまったり、よだれがついてもサッとふけるのもママにとってもうれしいですね。
もこもこもこ 作:谷川俊太郎
詩人・谷川俊太郎さんと画家・元永定正さんがおりなす「異色な世界」と言われながらも傑作と称されるこの絵本。「もこ」「にょき」という奇妙な言葉の表現と不思議な絵の組み合わせが、知らない間に絵本の世界に引き込まれてしまいます。
絵本の色合いがグラデーションカラーがとてもきれいで、いろいろな色、形、と不思議な音がマッチしています。独特の世界観があり、大人にとっては不思議な世界。たくさんの擬音や形に赤ちゃんが思わず笑ってしまう1冊です。
もうねんね 作:松谷みよ子
やわらかな言葉のリズムが心地よい、160万部をこえる松谷みよ子さんのロングセラー絵本。絵の色合いも優しく、動物たちがすやすや眠っている姿が描かれており、寝かしつけにもぴったりな絵本です。
繰り返しの言葉のリズムが耳心地が良く、読み手側も自然と穏やかで落ち着いた声になりますよ。ママもついつい子どもの一緒に寝てしまいそうです。
だっこ だっこ だーいすき 作: かみじょうゆみこ
甘えん坊のおさるの赤ちゃん。だっこだっことみんなに抱っこをせがむ姿がまるで自分の子どもに姿に思えて読み終わると、とてもいとおしい気持ちになります。家族や周りの人との関わりが子どもにとっていかに大切かということを読み手側に悟らせてくれるような絵本です。
いつか子どもが成長し抱っこができなくなる日が必ずやってくるので、抱っこと言ってくれる間は、その気持ちをしっかり受け止めてあげよう。愛する我が子をいっぱい抱っこしてあげようという気持ちにさせてくれます。読み終えたとき、親子で温かい気持ちを共有できる絵本です。
2歳向けのおすすめ絵本
2歳ごろになると、日常の生活体験が少しずつ積み重なり、ママやパパだけではなく、他の人への関心も強くなっていきます。話せる言葉も増え、自己主張も始まり魔の2歳児と言われるイヤイヤ期に突入する子どもも。じっとしていられなかったり、訳もなく怒ったりと、成長の一環とはいえ、大変な時期かと思います。
外遊びも活発になり、活発になる一方、観察力や想像力もついてくるので、少し文章のあるストーリーも楽しめるようになっていきます。その子その子で好みも出始めるので、自分と似ているものを喜んだり、絵本の登場人物のまねをしてみたり、自分から表現することにも興味を持ちだしますよ。
では2歳児向け絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- 子どもの日常生活に寄り添った絵本
- 絵と文がぴったりとけあった、ものがたり絵本
- 繰り返しを大切にした昔話の絵本
イヤイヤ期の子どもが自分と主人公を重ね合わせて共感できる、日常生活に寄り添った話を選んであげると良いでしょう。2歳ごろはマネをすることが好きなので、絵本を通して生活習慣を自然に身に付けることができますよ。
また、子どもは絵本の中の登場人物の気持ちになって、物語の世界にすっと入りこみます。その時に、ママが読む文章と、子どもが目で見る絵や場面の進み方がずれていると、うまく物語の世界に入っていけなくなるので、絵と文がしっかりマッチしたものがたり絵本を選ぶと良いでしょう。
- 福音館書店「2・3歳におすすめの絵本」(https://www.fukuinkan.co.jp/bookguide/baby/,2021年4月9日最終閲覧)
- 東京都教育委員会「<参考> 0歳児から2歳児の発達過程」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/curriculum2/15_2_2_sankou.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
- 大津市「2歳児」(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/242/kari_50.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
しろくまちゃんのほっとけーき 作: わかやまけん
みんな大好き、しろくまちゃんとこぐまちゃん。このシリーズにはいろいろなテーマがありますが、特にこちらのホットケーキの話は子どもたちに人気のお話ですよね。
ホットケーキを作る工程を擬音で表現しているのですが、ぽたんやぷつぷつなど焼いているところが子どもでもイメージしやすく、絵本の中からいい匂いがしてきそうです。見ているだけでホットケーキまだかなとワクワクしてきます。
色もはっきりしているので、見やすいの点もよいところ。子どもと一緒にホットケーキ作りをしたくなりますよ。
ちいさなうさこちゃん 作:ディック・ブルーナ
世界40言語以上に翻訳されているディック・ブルーナ「うさこちゃん」シリーズの代表作。うさぎの夫婦にかわいいうさぎの赤ちゃんが産まれるお話。天使がやってきたり、お祝いに牛さんが来たりみんなとってもうれしそう。
うさこちゃんを子ども自身と重ね合わせながら読めるので、愛に包まれ、祝福され産まれてきたことを絵本から感じ取ることができます。
親子で幸せな気持ちになる絵本です。
ねないこ だれだ 作:せなけいこ
せなけいこさんの傑作です。切り絵の絵と色合いがとてもきれいで何年たってもおしゃれです。子どもに読み聞かせをしていく間に、おばけは怖いものなんだという認識に。夜になるとおばけの時間になるから早く寝ないといけないという気持ちに子どもをさせてくれます。
怖いもの見たさか子どもはおばけの世界が気になるんですよね。ママは寝かしつけのために、子どもはおばけへの好奇心からこの絵本が人気なのかもしれません。
せなけいこさんの作品には「はっきりとしたオチ」がなく、その後の想像を読者に任せてくれる作品が多くあります。この「ねないこ だれだ」も明確なオチはないので、親子で「このあと、どうなっちゃったんだろう」と想像できるのも楽しいですよ。
できるかな? あたまからつまさきまで 作:エリック・カール
代表作「はらぺこあおむし」など世界的な絵本作家エリック・カールさんの絵本。ページをめくるときりんや、ワニ、ペンギンなど色鮮やかで愉快な動物たちが登場します。さあ!一緒に体を動かしマネっこしてみましょう。
親子のふれあいにもなり、イヤイヤ期でじっとできない2歳の子どもでもきっと楽しめるはず。
それぞれの動物の特長を活かしたマネっこなので、動物に関心を持つきっかけづくりにもなりそうですね。絵本だけれど思わず体を動かしたくなる1冊です。
はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう! 作:くぼまちこ
生活習慣を絵本から楽しく学べる「はみがきれっしゃ」。幼児食になり、お菓子も含めさまざま物を食べるようになる2歳児。個人差はありますが、乳歯が生えそろうころなので歯みがきは毎日したいところ。
しかし、イヤイヤ期と重なってなのか、口を開いてくれなかったり、歯ブラシを用意しだすとどこかに逃げたりと歯みがきタイムは一苦労というママの声はよく聞きます。
この絵本は、はみがきれっしゃが登場しお口の中で、シュッシュッシュッと歯をきれいにしてくれます。乗り好きの子どもがハマる1冊。はみがきれっしゃがパパママの救世主になりそうですね。
3歳のおすすめ絵本
トイレや食事も自分でできるようになり、自分の気持ちを言葉で表現することもできるようになる3歳。知的好奇心、探求心も高まるので、さまざま物事に興味が湧き「何で?」「どうして?」の質問攻めになることも。
そんな好奇心いっぱいの姿を見ると、なんだかお兄ちゃんお姉ちゃんになったなとママもうれしくなってしまいますよね。
それまで自宅で過ごしていた場合でも、幼稚園へ入園することでがらっと生活スタイルが変わり、お友達や先生と過ごす時間が増え新しい世界へ飛びこみます。自分の気持ちだけではなく、お友達の気持ちになって考えることを学ぶこと大切になる年齢ですね。
3歳は集中力もついてくる年齢なので、しっかりとしたものがたり絵本が読めるようになっていきます。絵本の世界がいよいよ楽しめるようになるのでママとしては、いろいろなタイプの作品を読んであげたいところです。
では3歳児向け絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- 子どもにとって身近なものが登場する絵本(動物・花・虫など)
- 好奇心が満たされる絵本
- ストーリーのある絵本
想像力も想像力もぐんぐん伸びていく3歳児。そのため、絵本の中のファンタジーな世界、物語にもすっと入ってくことができます。
子どもに絵本の世界の素晴らしさを知ってもらうために、まずはよく知っているものや好きなものに関する絵本を読んであげたり、もっと知りたいと思うような絵本を読んであげると良いでしょう。うんち、おなら、おしっこといった言葉が出てくる絵本も喜びますよ。
- 大津市「3歳児」(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/242/kari_62.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
- 厚生労働省「保育所保育指針解説書」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0001.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
三びきのやぎのがらがらどん 作:マーシャ・ブラウン
パパママも子どものころきっと読んだことのある、ノルウェーの昔話。幼稚園などで劇のテーマになったり、児童センターでは人形劇になったりと、とても有名な物語です。
主役は、3匹みんな同じ名前のヤギのがらがらどん。3匹が橋を渡ろうとするのですが、橋の下には怖い鬼のトロルが。橋を渡らせまいと驚かすトロルと知恵を振り絞りながら勇敢に立ち向かうがらがらどん。3匹の個性も分かりやすく描かれており、話の世界にみるみる入っていきます。
トロルのセリフが残酷で頭に残り、初めて絵本の中で恐怖というものを感じさせられたような気がします。迫力もある絵とどきどきのストーリーにきっと3歳の子どもも夢中になるでしょう。
ぞうくんのさんぽ 作:なかのひろたか
とても良い天気の日にぞうくんはのんびりお散歩。すると、かばくんに出会いまた歩くとお友達に出会い…でもみんなぞうくんの背中の上に乗りたがります。ぞうくんはとっても力持ち、でもぞうくんの表情はどんどん険しくなってきて…。
いやし系の動物たちのキャラクターがかわいく、読み手側も子どもの表情を見ながら楽しく読み聞かせができます。
短い話の中にきちんと起承転結があり、みんな笑顔でハッピーエンドで終わるのも良い点です。3歳児が分かりやすい物語ですよ。
せんたくかあちゃん 作:さとうわきこ
「ばばばあちゃんシリーズ」で有名なさとうわきこさんの1冊。洗濯することが大好きな、せんたくかあちゃん。はつらつとして、太陽のように明るい性格のかあちゃんです。
いつも元気なかあちゃんは、晴れた日たらいをつかってせっせと庭でお洗濯。なんでもゴシゴシ洗い上げていく姿は見ていてとても爽快です。たくさんの木に洗濯縄を結ぶところも、今から何が始まるのだろうとワクワクしますよ。
そんなある日、空から鬼がやってきてかあちゃんはびっくり。鬼の目的はさて何なのでしょう。かあちゃんからパワーと笑いをもらえる絵本です。
たろうのおでかけ 作:村山桂子
今日は大好きなまみちゃんのお誕生日。すみれの花とアイスクリームを持って動物たちと一緒におでかけです。たろうを先頭に動物たちが並ぶ姿もかわいく本の色合いも明るくてきれいです。
たろうが、横断歩道ではないところを歩いたり、黄色の信号で渡ろうとする行動に対して、大人が「だめだめだめ」と注意します。
たろうはうきうきした気持ちだったのになんだか「つまらい」。でも、だめにはちゃんと理由があるんだよと交通のルールを絵本を通して子どもに教えてくれます。文章のリズムが良く、繰り返しの言葉が多いので、子どもにとっても見ていて楽しいと思いますよ。
ぐるんぱのようちえん 作: 西内ミナミ
ぐるんぱは、とても大きなぞう。でも、ずっとひとりぼっちでさみしく暮らしてきたのです。体も汚れ臭いにおいも。そこでぞうたちに体を洗ってもらい、見違えるほど立派になったぐるんぱは仕事を探し始めます。
ビスケットやのびーさんや靴作りのくーさんのところに行ったけれど「もうけっこう」と言われ、ぐるんぱはしょんぼりしょんぼり。でも、最後にぐるんぱにぴったりの仕事が見つかります。絵本を通して、今までやってきたことには意味があるし、無駄にはならないんだよと子どもに教えてくれます。
最後のページには、大きな靴に、お皿に美味しそうなビスケットなど見開きいっぱいに描かれています。ぐるんぱの作ったものが子どもたちが喜ぶものに大変身。カラフルで印象的な絵は子どもたちをわくわくさせてくれることでしょう。
4歳のおすすめ絵本
心も体もぐんぐん成長する4歳児。家族の人以外の関りの増え、保育園や幼稚園など、お友達といろいろなことを経験ししていきます。急に大人っぽい発言をしたり、相手に気づかうような行動をしたりするので、イヤイヤ期も終わったんだなと大人は解釈してしまいがちです。
しかしまだ4歳。子ども自身も成長に追いつけなくて戸惑っている時期でもあります。自分の中に芽生えるさまざまな気持ちに対応できるよう、幅広いジャンルの絵本を読み聞かせし、情緒を安定させてあげましょう。
では4歳児の絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- 出版から20年以上たっている人気の絵本
- 昔話の絵本
絵本選びの1つの指標として「成人式を終えた絵本」と言われています。20年以上もの間、子どもたちに喜ばれて人気というのは本当に愛された絵本なのだと分かりますよね。
時代が変わっても一過性で終わらず、選ばれている絵本は、子どもの心にきっと響くはずです。4歳はさまざまなことに関心があるので、新しく出た絵本に加えてものがたり絵本を中心に昔から選ばれている良質な絵本もぜひたくさん選んであげてください。
また「ももたろう」や「一寸法師」などの昔話は、新しく登場した絵本の中には物語の内容がすっかり変えられていたり、登場人物がキャラクター化されてしまったりと、昔話の本質をふまえていないものもあります。
昔話の絵本を選ぶ際には、図書館などで一度中身を確認してから選ぶと「昔話の本質」を伝えている絵本が選べますよ。
- 福音館書店「4歳におすすめの絵本」(https://www.fukuinkan.co.jp/bookguide/age4/,2021年4月9日最終閲覧)
- 大津市「4歳児」(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/242/kari_76.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
- 文部科学省「幼稚園教育要領」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/you/nerai.htm,2021年4月9日最終閲覧)
からすのパンやさん 作:加古里子
いずみがもりに住んでいる、パン屋さんのからす家族のお話。子どもの名前も、ちょこちゃん、おもちちゃん、レモンちゃん、りんごちゃんと食べ物にちなんだ、かわいい名前なんです。
働き者のお父さんお母さんは朝早くからパン作りに大忙し。お店を切り盛りして、家事をして合間にチョコちゃんたちのお世話…。息つく暇もありません。しかし、どんどん貧乏になってしまって…。売れないパン屋さんから、繁盛店になるまでのとっても愉快なお話です。
絵本の中に登場するパンはどれもとてもおいしそう。口の中でパンの匂いが広がっていきます。子どもたちが食べる、おやつの焦げたパンですら、香ばしそうで不思議と食べてみたくなります。絵本見開きいっぱいに描かれたパンは圧巻です。子どもと一緒にどのパンが食べたいかわくわくしながら見ることができます。
長めのストーリーですが、話の展開もおもしろく、80種類以上あるパンに親子でテンションが上がりますよ。
こんとあき 作:林明子
あきが赤ちゃんのころからずっと一緒に遊んでいるのは、きつねのお人形のこん。2人はいつでもどこでも一緒です。ある日2は、さきゅうまちに住んでいるおばあちゃんのお家に行くことに。
旅の道中の、列車の中や砂丘でトラブルが起こるのですが、子どもも読み手側も感情移入してしまうくらい、ハラハラどきどき。ぬいぐるみのこんがあきちゃんを守る姿が、まるでお兄ちゃんのようで胸が打たれます。
こんの「大丈夫、大丈夫」という思いやりに溢れた言葉に何度も元気をもらいます。絵もとてもきれいで繊細で、読み終わった最後に心がほんわか温まる絵本です。
わゴムはどのくらいのびるかしら? 作:マイク・サーラ
ある日、ぼうやは、わゴムがどのくらいのびるか、ためしてみることにしました。という言葉から始まる、子どもの想像力を掻き立てられるマイク・サーラさんの名作です。
1人の男の子がわゴムをどんどん伸ばしていろいろなところに行くというシンプルな設定なのですが、子どものころにふと思いつく「試してみたい」という純粋な気持ちがよく表現されている1冊。
わゴムをベットの端に引っかけて、冒険はスタート!列車に乗ったり船に乗ったり、宇宙にいったり…普段家にあるわゴムでこんなに楽しめるんだとワクワクしつつも、わゴムのデメリットも知っている分、ハラハラもあり。最後はしっかりオチまでついているのもすっきりして良いところ。
見るもの全てに興味津々の4歳児の読み聞かせにぴったりの絵本です。
はじめてのおつかい 作:筒井頼子
5歳のみいちゃんがママに頼まれ、牛乳を買いに初めておつかいに行く物語。みいちゃんの緊張している様子や頑張っている様子がとても伝わってくる本。
100円玉も2枚小さな手に握りしめ、歩いている姿はとても頼もしいです。途中で転んでしまったり、いろんな人に出会い戸惑ったりと読み手側もドキドキするけれど頑張る子どもの心を等身大に描いています。
いつも家族でお買い物することが当たり前の子どもにとって、おつかいは大冒険ですよね。表紙の牛乳を持っているみいちゃんの顔がとても誇らしげでかわいいです。
どこか懐かしく、親子で読み終わった後にほっこりする絵本です。
かいじゅうたちのいるところ 作: モーリス・センダック
コルデコット賞を受賞し、世界中の子どもたちを惹きつけてやまないセンダックの代表作。いたずらばかりするマックスを見かねて、怒ったママに夕飯抜きで寝室に放り込まれます。さあ、想像の世界の中の旅に出発です。
怪獣と聞くと怖い生き物のイメージ。でも、マックスは王様になって、そんな怪獣ですら手なずけてしまいます。威圧感もなくなって、なんだか愛着が湧いてきます。一緒に怪獣おどりをする姿なんてとっても愉快。みんなすごく楽しそうです。
怪獣と遊ぶことも楽しいけれど、やっぱりママのところが良いと恋しくなる姿がかわいらしいです。絵のタッチも独特で不思議な世界観で溢れていますよ。
5歳のおすすめ絵本
5歳というと年長さんになる年齢です。お友達のこと、家族のことなど周りこともよく見て行動するようになっていきます。絵本の感想など、自分の感情を伝えるようになるのもこの時期です。大人が思っている以上に物語に込められたメッセージをしっかり受け止めているのでしょうね。
また、小学校入学を意識して、たくさんの種類の絵本を子どもに与えたり、文字を覚えさせるなど、勉強のためにも1人で絵本を読ませたりと考える、ママやパパが増えていきます。
先を見据えて、先回りした本を与えてしまうという気持ちも分かるのですが、今は親子の時間を大切にすることが1番。これまで通りママパパが絵本を読み聞かせしてあげると良いでしょう。
では5歳児の絵本の選び方のポイントを見ていきましょう。
- 童話への第一歩である、絵童話を読む
- 絵本体験を積み重ねた上で、長めの文章の絵本を読む
絵本が大好きな子どもにおすすめなのが、絵童話の読み聞かせです。童話は子どもが1人で読むものというイメージもあるかと思いますが、まずはママパパに読んでもらうことで、想像力をぐんぐん掻き立てることができ、絵本のように童話の面白さを知るきっかけになります。
5歳ごろは目には見えない絵本の世界を思い思いに理解し楽しむ年齢です。ママやパパに絵本を繰り返し読んでもらった子どもは「読解力」を自然と身に付けています。そのため、目に見える世界のように想像できるようになるので、文章の長い話や複雑な内容の物語でも十分楽しめるようになっていきますよ。
- 福音館書店「5・6歳におすすめの絵本」(https://www.fukuinkan.co.jp/bookguide/age5_6/,2021年4月9日最終閲覧)
- 大津市「5歳児」(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/242/kari_90.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
- 文部科学省「幼稚園教育要領」(https://www.mext.go.jp/content/1384661_3_2.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
おおきな おおきな おいも 作: 市村久子
発売から40年以上たった現在もたくさんの子どもたちに読まれ続けているお話。「雨でいもほり遠足が中止なってしまった」というハプニングから始まるお話。黒と赤紫の素朴な絵で、空想の世界を子どもたちが描いていきます。
白い紙を継ぎ足し継ぎ足し、おおきなおおきなおいもの絵をどんどん大きくなっていく様子は見ていると気持ちが高まっていきます。子どもの自由でのびのびとした発想って素晴らしいですよね。
テンポ良く話が進むので子どもも飽きずに絵本を見てくれるかと思います。
じごくのそうべえ 作: 田島征彦
上方落語の「地獄八景亡者戯」を題材にした落語絵本。落語と聞くと、子どもには難しいイメージですが、地獄の世界をおもしろく描いており、大人も子どもも楽しめるような物語になっています。
綱渡り中、転落死してしまった軽業師のそうべい。三途の川を下り、えんま大王に地獄行きそ命じられます。絵だけ見ると鬼やゆらゆら燃え上がる炎、ちょっぴり怖いけれど、現実には存在しない地獄の世界をコミカルに描かれており、話の展開がとてもおもしろいです。
上方落語ということもあり、関西弁の文章というところも、面白さに拍車をかけている理由の1つ。言葉のリズムがとても楽しいですよ。
地獄のへのイメージがなんだか変わってしまうような、見ごたえありの絵本です。子どもが大きくなっても折々に読み返しては新しい発見ができる絵本でもあります。
ふたりはともだち 作: アーノルド・ローベル
アーノルド・ローベルの人気絵本「がまくんとかえるくん」シリーズの1作目。仲よしのがまくんとかえるくんが主人公のユーモラスな友情物語を5編収録されています。
5つのお話の中の1つ「おてがみ」は、光村図書の小学生の国語の教科書にも長年掲載されている有名なお話。大人になっても覚えている方が多いかもしれません。
2匹は性格が正反対。かえるくはポジティブでがまくんはネガティブ、でもいつも一緒にいて仲良し。お互いを想い合う関係性が素晴らしく、友達っていいなと思わせてくれる絵本です。短い話だけど、たくさんの感情が詰まっており、親子で優しい気持ちになれますよ。
きょうはなんのひ? 作:瀬田貞二
まみこちゃんが両親の結婚記念日にサプライズを用意するお話。幼いころまみこちゃんのマネをして遊んだ記憶がある方もいるのではないでしょうか。
ある日、お父さんとお母さんを喜ばせようと謎解きを仕掛けます。実は表紙からお話は始まっているのです。家中に隠された手紙をお母さんが苦労して見つけると、そこには・・・。手紙を見つける度に、まみこちゃんが一生懸命考えて隠したり、文字を書いたりしている姿が想像でき、キュンとしてしまいます。
とても温かで、幸せな家族が描かれており、家族っていいなと読み手側に改めて、感じさせてくれる絵本です。
はははのはなし 作: 加古里子
歯の大切さと歯を丈夫に守る方法を、子どもに分かりやすく、楽しく考えていく絵本。
虫歯になっていく過程が絵で大きく描かれているので、小さな子どもでも虫歯になると、どの位体に影響を及ぼしてしまうのか、ダイレクトに伝わっていくかと思います。歯の仕組みも良く分かるので大人も勉強になります。
加古里子さんは工学博士でもあるので、科学的な根拠や見地がしっかりと裏付けされた絵本も多く、絵本から正しい知識が得られるのも素敵です。
何よりノスタルジックで味のある絵がほっこりと心地よいですよね。ラストで大人の歯の本数と子どもの歯の本数を「はははは…」と数えるところがおもしろく、自然と笑みがこぼれてしまいますよ。
子どもが喜ぶ絵本の読み聞かせ方法
読み聞かせは本の中の世界の楽しさを教えてくれるきっかけになります。自分の頭の中で物語をふくらませ、感情移入することで、登場人物の気持ちを知ることができ、心が豊かになっていくのです。
出版不況といわれるなかにあっても日本国内では毎年約1,500タイトルほどが新しい絵本として出版されています。幼児期にいろいろな絵本を読み聞かせし、本を好きになるきっかけになってほしいと思うパパママもいるかと思います。
どのように絵本を読んであげたら、喜んでくれるのか、目をキラキラしてくれるのか気になるところですよね。さっそく、子どもへの絵本の読み聞かせのポイントを見ていきましょう。
- 国立国会図書館 国際子どもと初夏「国際子ども図書館の蔵書からみる国内の児童図書の出版状況」(https://www.kodomo.go.jp/info/publication/index.html,2021年4月9日最終閲覧)
絵本の読み聞かせに集中させる
小さい子どもは初めのころ、落ち着きがなく同じ場所にじっと座ることができず、最後のページまで読み切ることができないかもしれません。しかし、お昼ご飯の後や寝かしつけの前など、絵本の読み聞かせが習慣化すると、集中力がつき、最後まで聞いてくれるようになりますよ。
また、読み聞かせの前に手あそびをしたり、絵本の表紙を見せて「これは何かな?」「何の動物かな?」など、子どもに対して、絵本に関係する問いかけをし、これから読む絵本に自然と意識を持っていくということも、読み聞かせの導入として良いかと思います。
子どもたちの反応を見ながら読み聞かせる
まずは、読み側であるパパママが絵本に集中し子どもと一緒に物語を楽しみましょう。子どもは大人の表情や感情を敏感に察知します。ママが面倒くさそうに読んだり、テレビを見ながら片手間で読んでいたりすると、せっかく読み聞かせをしても子どもは聞こうとしませんし、すぐに飽きてしまう可能性も。
また、子どもの反応を見ながら、子どものペースに合わせて読むことも大切です。物語の中の絵に興味を持っているようであれば、すぐにページをめくらずに絵を見せてあげるようにするなど、子どもが絵本を楽しめるように工夫し読み聞かせをすると良いでしょう。
内容に合わせて読み方に変化をつける
読み聞かせは耳からの読書と言われています。読み手側が大げさに声色を変えたり、身振り手振りをつけたり、表情を変えたりとオーバーリアクションをすると、子どもは絵本ではなくママやパパを見てしまい、本の世界から現実世界に引き戻されてしまいます。
しかしながら、幼児期は特に理解力の差が大きいので、絵本の世界に入りやすくするために、読み方に強弱をつけることや、間を開けるなどの演出を加えても良いでしょう。
- 山梨県立図書館「読み聞かせ」(https://www.lib.pref.yamanashi.jp/H25guide_yomikikase.pdf,2021年4月9日最終閲覧)
- 新興出版社「幼児に本を読み聞かせるメリット」(https://www.shinko-keirin.co.jp/shinko/pittarinavi/20200930-01/,2021年4月9日最終閲覧)
年齢に合わせた絵本を親子で楽しもう!
年齢別におすすめの絵本を紹介しましたが、気になる作品はありましたか。読み聞かせは、絵本を通じた子どもとのコミュニケーション。親子の絆が深まります。
忙しい日々の中で、なかなか子どもと触れ合ったり遊ぶ時間が少ない時あるかと思います。寝かしつけの前など少しでも絵本の時間があると、子どもはママパパの声に情緒も安定し、幸せな気持ちで満たされるかと思います。ぜひ、親子で絵本の世界を楽しみましょう。