プレイヤイヤ期の子どもの心
1歳半ごろから子どもの自我が強まります。自分の意志を「イヤ」という態度で示したり、できないことまで「自分でやる」とアピールする行動は、親としては困ったと感じる面もあるかもしれませんが、心の成長の一つです。
一方、1歳代はまだ言葉で思いを表現できず、「後でね」などのちょっとした我慢もできない時期。大人が優しく諭しても気持ちを整理できないため、ぐずぐずが止まらずに親が途方にくれることもあるかもしれません。
- 焼津市乳幼児教育推進会議「第2回 イヤ!自分で!から始まる自我~大きくなるのは、楽ではない~ 年齢別に見る自我の発達と保育」(https://www.city.yaizu.lg.jp/g04-005/documents/dai2kaih28.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 東京都教育委員会「きまりをまもる こころを育てる -幼児期の「規範意識の芽生え」の醸成 指導資料-」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/handbook_for_instructor/9.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
親子双方の心を大切にする、関わり方のコツ
プレイヤイヤ期のだだこねやある程度のわがままは仕方ないとはいえ、親が無理して全てを受け入れていたら、疲れ果ててしまいます。
ここからは、親子双方の心を大切にする関わり方のヒントをお伝えします。
1. 欲しい気持ちに共感する
例えば、子どもがお店でお菓子やおもちゃを欲しがるとき、すぐに「ダメ」と伝えず、まず共感してあげましょう。「これが欲しいんだね」と、欲しいと思った気持ちに共感すると、子どもの気持ちが満たされます。
その上で、要求が叶えられないときは「でも、今日は買わないよ」とおだやかに伝えます。この段階でだだをこねてどうしようもないなら、説得せずにエネルギーが発散されるまで少し待ちましょう。親が感情に飲み込まれないことが大事です。また、気持ちを切り替えられた時には「気持ちを切り替えられたね!」など認める声かけもおすすめです。
「欲しい気持ちはわかる、でも買わないよ」という伝え方にすると、子どもをただ否定する形にならず、親の気持ちもトゲトゲしにくいかもしれません。
- 西宮市保健所「1歳半頃の育児」(https://www.nishi.or.jp/kosodate/kosodate/kodomonokenko/kenkoshinsa/kenkoshinsa-d.files/1saihangoronoikuzi.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 奈良県健康福祉部こども・女性局 子育て支援課「子育て支援プログラム・幼児期編 」(http://www.pref.nara.jp/secure/158555/youjiki2.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 東京都教育委員会「きまりをまもる こころを育てる -幼児期の「規範意識の芽生え」の醸成 指導資料-」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/handbook_for_instructor/9.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
2. 「自分で!」はできるだけ見守る
少し無謀に思えるようなチャレンジでも、危険性がないことなら「自分で」というチャレンジ精神を見守りたいところです。自分でできた!という経験は自信になり、子どもの心を強くします。
また、ほんの少しのことでも「できたことは何でもほめる」という関わり方ができるとさらに良いですね。この時期の子どもは少しずつ自立心が育っています。ほめられると喜んで、もっと多くのことにチャレンジしてみようと思うはず。その結果、いずれ着脱やトイレの自立につながれば、親としてもうれしいものです。
- 公益財団法人 ソニー教育財団「「心をはぐくむ」 ―― 乳幼児期に大切にしたいこと ――」(https://www.sony-ef.or.jp/about/pdf/kokoro_hagukumu.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 東京都教育委員会「きまりをまもる こころを育てる -幼児期の「規範意識の芽生え」の醸成 指導資料-」(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/handbook_for_instructor/9.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 西宮市「1歳半ごろの育児」(https://www.nishi.or.jp/kosodate/kosodate/kodomonokenko/kenkoshinsa/kenkoshinsa-d.files/2021.16goronoikuji.pdf,2021年6月25日最終閲覧)
3. 甘えるときは、たっぷり抱っこを
プレイヤイヤ期の子どもは、時々親を突っぱねるような態度を取りますが、まだ甘えて、親とのつながりを感じたい時期。親が受け止めてくれるという安心感があるからこそ、自我を確立できるのです。
普段はイヤイヤだらけの子どもでも、甘えたい様子のときは、抱っこでたっぷりの愛情を伝えてあげましょう。触れ合うと、子どもは安らぎを感じられます。ママも「まだ赤ちゃんだなあ」とゆったりした気持ちになれるかもしれませんね。
- 公益財団法人 ソニー教育財団「「心をはぐくむ」 ―― 乳幼児期に大切にしたいこと ――」(https://www.sony-ef.or.jp/about/pdf/kokoro_hagukumu.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
- 梅崎高行「 1 歳児期の親のかかわりと愛着関係」(https://berd.benesse.jp/jisedaiken/research/pdf/research10_6.pdf,2021年6月3日最終閲覧)
親子ともに、無理をしない関わり方を
イヤイヤに向き合うのは、親にとって大変なこと。イライラをため込むと心の余裕がなくなり、ちょっとした子どもの自己主張にも「ダメ!」「やめて!」と強く当たりそうになるかもしれません。
そんな時期だからこそ、子どもの主張に対して「まず共感する」「危なくないなら見守る」といった自分なりのルールを持っておくと、毎回の自己主張に対処しやすいはず。気持ちのコントロールが難しいプレイヤイヤ期の子どもの思いを受け止めつつ、親のイライラも回避できる親子の落としどころを見つけていけるとよいですね。